MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Devin Townsend Project "Ghost"

Ghost

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 カナダ出身のヘヴィメタルシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendのソロ通算14作目、Devin Townsend Project名義での4作目(2011年)。

 

 13作目「Deconstruction」と同時発売で、当初アナウンスされた同プロジェクト4部作の最終作。「Deconstruction」がトチ狂ったメタルアルバムなのに対し、こちらは環境音楽の方面へ本格的に接続。これまでもソロ名義を中心にプログレッシブ志向やアンビエントなアプローチを積極的に取り入れてきたものの、ここまで作品を通して、かつ一方向に徹底したものは恐らく初。しかも過去にもソロ/別バンドでの異なる作風の同時期リリースはあったけど、同時発売の2作でここまで落差があるのも凄い。過去作でのそういった極端な作風の違いは自身の疾病や薬物によるものも大きかったと公言しており、既にそれを克服しているはずなのに今回の落差が過去最大なのは驚きを通り越して笑ってしまうし、それも最初にぶち上げた4部作の流れ──つまり計算通りなのだと思うと、彼の発想や手腕の図抜けっぷりを実感。フルートの音から始まり、アコギのストロークや絹糸のようなボーカルが優しく重なり、ピアノやシンセや民族楽器、自然環境音までも伴って映画のように進行していく楽曲群は、どの曲が~という感想が入る隙を与えないくらいに横一線で完結しており、音像には癒されつつも別の意味で圧倒されてしまうこと必至。再現ライブは教会で実施されたということで、さぞ映えたことでしょう。好みは分かれるかも知れないけど、完成度の高さや彼の作品としての収まりの良さには文句のつけようがない一作。

 

 

 今回の記事に合わせ、彼を中心に活動していたエクストリームメタルバンド・Strapping Young Ladの4作目、ソロとしては通算8作目となるThe Devin Townsend Band名義の2作目の過去記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。