MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Devin Townsend Project / Deconstruction

Deconstruction

Deconstruction

Amazon

 カナダ出身の ヘヴィメタルシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendのソロ通算13作目、Devin Townsend Project名義での3作
目(2011年)。

 

 前作より1年7カ月ぶりと割と短スパンでのリリースなのに、何ともう一つの新作「Ghost」と同時発売で、当然それぞれ作風も全く異なるという。こちらの方はOpethのMikael Åkerfeldt、EmperorのIhsahn、GojiraのJoe Duplantier、Novembers DoomのPaul Kuhrなどなど…メタル界から何と9名もの名だたるボーカリストが参加。しかしゲストボーカルとの単純な二人三脚ではなく、管弦楽団によるフルオーケストラやクワイヤを用いた大仰なシンフォニックアレンジを基盤に採用しているのが最大の特長。その上で普通に聴きやすい曲なんかは見受けられず、ソフトタッチで緩やかな場面から一気にレッドゾーンに振りきれたかのように激しくなる極端なまでの緩急、変拍子のような複雑怪奇なリフや曲調、またそれを巧みに駆使したプログレッシブな曲展開/構成…といった混沌っぷりが圧巻。久々にStrapping Young Ladばりに連打されるブ厚い音、どこか過去のソロ名義楽曲を彷彿とさせるユニークなフレーズ、16分超(!)にも及ぶハイライト曲「The Mighty Masturbator」中にはめまぐるしい転調の中でダンスビートやワルツまで登場するなど盛られた要素は多く、しかも何やら全体が一本のストーリーに沿っているようで、ナレーションやコメディ色も若干挿入されているという。この人の頭の中どうなってるの!?と思わず笑えてしまうほどに色んな意味で凄まじい、全9曲70分超の怒涛の内容。しかし、彼のコアなファンやアヴァンギャルドヘヴィメタルをこよなく愛するような人くらいしか完全についていくのは無理だとしても、意外なほどすんなり聴けてしまうのは彼の手腕によるものなのか。その才能と創作意欲には恐れ入るばかりです。

 

 

 今回の記事に合わせ、過去に書いたThe Devin Townsend Band名義での1作目、Devin Townsendソロ名義での6作目の紹介記事の文章を少し見直しているので、よろしければ合わせてご覧下さい。