ドイツ出身のインダストリアルバンドのリミックスアルバム（2010年）。
前年リリースの16thアルバム「Blitz」のリミックス作。「Hau Ruck」に対する「Ruck Zuck」、「Tohuvabohu」に対する「Brimborium」、そして本作となぜか彼らはこの時期に定期的にフルアルバムを基にしたリミックス作を発表していました。それも一旦ここで終わるので、そんなリミックスモード（？）を締めくくる一作。出す度にこなれていったなんてことはないだろうけど、作品の出来というか楽しめた度合としては個人的には本作がピカイチ。リミキサーにはCombichrist、Prong、Tweaker、Assemblage 23など「Brimborium」にも引けを取らない豪華な実力者が目白押し。その上でリミックスも大胆というか、そもそも原作「Blitz」が割と堅実というかスマートな仕上がりだったのを踏まえてか、全体的に自由かつ大きな改変がなされているものが目立ちます。エレクトロインダストリアルに接近しビビッドなダークさで彩ったり、ファンク色を強めたり、サイケデリックトランス風だったり…中でも激シブのインダストリアルドゥームに塗り替えられた「Potz Blitz (Harmonic Tremors Mix)」やKoichi Fukuda (Static-X)の手による意外など真ん中バラード「People Of The Lie (Requiem Mix)」、Dave Oglivieに至ってはガーリッシュなシンセポップに改造した「Never Say Never (Candy Apple Mix)」とやりたい放題！曲単位の引きや幅の広さはもちろん、原曲のココがアクセントでいいよね的な持ち味を拡大再解釈したかのような、ある種のリミックスの醍醐味がしっかりと味わえる佳作。
今回の記事に合わせ、過去に書いたMDFMK名義の唯一のアルバムの紹介記事、KMFDMが再結成しての一発目のアルバム「Attak」の紹介記事の文章を少し見直しているので、よろしければ合わせてご覧下さい。
