X JAPANのギタリスト・hideによる編集盤(2004年)。
七回忌を記念してリリースされた3作目の編集盤で、彼のソロワークの中から“PSYBORG ROCK”という独自のコンセプトを持たせていた楽曲を中心に収録。まぁ要はインダストリアルロック/メタル方面の楽曲/アレンジ曲を主に選出したベスト盤ということになるので、そっち系を愛好するリスナー(管理人含む)にとっては実に“話が早い”(謎)アルバムと言えます。彼がジャンル問わず幅広い音楽性を展開していたというのは大前提として、この手のジャンルの表現には特に力を入れていたのもまた事実で、それが連なることで一つの作品性が明確に浮かび上がっています。“PSYBORG ROCK”というのが単にインダストリアルロックを伝わりやすいように言い換えただけなのかも知れないけど、ただ海外的な音へ寄せて終わりというわけではなく、当時の最先端のテクノロジーを興味の赴くままに駆使した何重ものスタジオ作業を経て、実験や遊び心までもふんだんに注ぎ込むことで、機械的な響きの効果と人間の演奏の強みが融合したような、まさに“PSYBORG ROCK”という表現が相応しい独自性と面白みに溢れた内容になっています。とことんヘヴィ&メタリックな楽曲であっても彼らしいポップさやノリが通底していて決してマニアックにはなり過ぎず、今聴いても古くなっていない…とまでは言わないにしても十分な聴き応え。シングルB面曲からのセレクトが多く、X JAPAN「MISCAST」のセルフカバーやLUNA SEAのJ, INORANと結成したユニット曲「FROZEN BUG (MxAxSxS)」などコンピ盤のみ収録だった楽曲などもあり、その辺りまで細かく追い切れなかった人にとっても有り難い選曲だし、所々のライブ音源が良いアクセントになっていたり、一部の楽曲間を繋げて臨場感を保つ編集が施されていたりと、痒い所に手が届く優良な一枚ではないかと。