MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

自分語りとFANTASTIC◇CIRCUS『Not Greatest Hits ADD TO ROCK FOR LIVE』

出典:FANTASTIC◇CIRCUS

 

Not Greatest Hits ADD TO ROCK FOR LIVE【DISC_FANATIC】

Not Greatest Hits ADD TO ROCK FOR LIVE【DISC_CRISIS】

 

 90年代~2000年代前半にかけて活動していたヴィジュアル系ロックバンド・FANATIC◇CRISISが、音楽活動を続けていた3名のメンバーによる新バンド【FANTASTIC◇CIRCUS】での転生劇という、結成30周年を記念しての本格的な復活が実現したのが2022年。そこからそれに端を発したライブ活動やリテイクベスト盤のリリースなどが行われていました。そして前リリースより約2年半を経て、『Not Greatest Hits ADD TO ROCK FOR LIVE』という新たな作品が【DISC_FANATIC】と【DISC_CRISIS】というかつてのバンド名を冠した2枚に分けられ同日リリース。管理人なりに、今回も、それらのアルバムに触れた感想をつらつらっと書き記しておこうと思います。軽く暴走しちゃってますが、よろしければお付き合いください。

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Flesh Field 『Voice Of The Echo Chamber』

Voice Of The Echo Chamber

Voice Of The Echo Chamber

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 アメリカ・オハイオ出身のダークエレクトロ/エレクトロインダストリアルユニットの5thアルバム(2023年)。

 

 メンバー間での何がしかの事情から、2011年にユニットの活動終了を宣言。しかし約12年の沈黙を経て(3作目と同じ)Metropolis Recordsより復帰、通算5作目となる本作がリリースされました。3作目までは女性ボーカリストとIan Rossの2人組でツインボーカルを展開していたけど、4作目での実質的なインスト作(活動終了を機に、未完のまま無償公開)を経て、復帰第1弾となった本作では、Ian Rossのソロプロジェクトとして、単独ボーカルでの制作となっています。音楽的には基本線はここまでと大きく変わらない、インダストリアルロックの要素を内包したダークエレクトロ。その上で、大仰なオーケストレーションや強力に打ちつけるバスドラムを駆使し、スケール感や緊迫感をより前面に押し出したような作り。4つ打ちやEBMをルーツにしたようなビート主体の楽曲もあるけど、エレクトロな要素やダンス/ロック的な爆発力はそれほど重視されず、アトモスフェリックな技法やピアノ/オーケストラ的な手法で丹念に作品を編み上げています。ブランク明けだからと無駄に肩に力が入っているわけでもなし、アメリカの社会情勢への憤りのようなものがテーマにある割には、分かりやすく攻撃/破壊的なサウンドというわけでもなし。もともとそういう傾向のアーティストではあったけど、女性ボーカルとの対比構造を捨てたことで、よりその路線が推し進められたような印象。ただし、冷静かつ丁寧な仕事ぶりには驚かされる一方で、ボーカルを恐らく意図的に音量を落とし背景に埋もれさせているのは、ちょっと中途半端というか、全体の完成度に水を差している感が否めない。それでも、かつてのファンにとってはいち復帰作であることに留まらず、安心感を持って手に取れる期待通りの一作ではないかと。

 

 

 今回の記事に合わせ、彼らの1~4作目の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。

 

Jakalope 『Things That Go Jump In The Night』

 カナダ出身のポップロック/インダストリアルロックプロジェクトの3rdアルバム(2010年)。

 

 Skinny PuppyやMarilyn Mansonなどのスタジオワークで名を馳せる、この手のジャンルの著名プロデューサー・Dave Ogilvieによって結成されたプロジェクトバンドで、1~2作目にはNine Inch NailsのTrent Reznorもプロデューサーとして(特に1作目は作曲や演奏という形でも)関わっていたことで知られています。

 本作は約4年ぶりとなった3作目。2007年にボーカリスト・Katie Bがソロ活動に専念するために脱退し、新ボーカリストとして元The Perfect StrangersのChrystal Leighが加入。そして新しいレーベルを探しながら単発のライブやWeb上で新曲を発表するなどの活動を経て、2010年に新レーベルと契約。そういった経緯があったために少し間が空いたのだと思われます。Chrystal Leighの歌声は、やや舌足らずで少し幼さを想起させる歌声で、それがこのプロジェクトや作品の持つ雰囲気──どこか不思議の国のアリス的な寓話性に貢献。Katie Bにも劣らない魅力が感じられます。しかしサウンドの方は、シンセやオルガンを多用したエレクトロなポップス/ニューウェイブが主軸で、ロック要素のある楽曲が少なめ。逆に際立つとも言えるけど、インダストリアル色も薄く、代わりにこれといった目を見張るアレンジでもない。本作でも多数のゲストミュージシャンが参加しているようだけど、Trent Reznorの不在の影響か、あるいは意図的なものか、もともとのファンベースであるインダストリアルリスナーの耳を引くような、それこそ1作目のような絶妙なバランスがあるとは言い難い。ロックバンド感やアコースティックサウンドに大きく注力した前作からは軌道修正したかのように見えなくもないけど、1作目に重点を置くリスナーであれば賛否が分かれそうな作品というのは変わらないかな。しかも本作、ほんの数曲だけど男性ボーカルとのデュエットやゴスペルに接近した楽曲もあったりして何だか蛇足に感じるし、中でも「Magnolia」の多幸感溢れるコーラスワークには異ジャンルすぎてひっくり返りそうになった。ただ、本作をもってJakalopeは活動を停止したようだけど、それはそれで残念というか、この先を見てみたかったというのはあります。

 

 

 今回の記事に合わせ、彼らの1~2作目の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。

 

Dope Stars Inc. 『21st Century Slave』

21st Century Slave

21st Century Slave

  • Dope Stars Inc.
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 イタリア出身のインダストリアルロック/エレクトロニックロックバンドの3rdアルバム(2009年)。

 

 彼らにしては少し期間が空き約3年ぶりとなった3作目。日本語が密かに散りばめられたジャケットが目を引きます。時間をかけて制作されただけに内容も充実していて、実際に評価も高いようです。歌詞のテーマなどはこれまでと同じSF/サイバーパンクで、今作では一枚を通して一筋の物語性を持たせたコンセプト作の側面もあるそう。そのせいなのか、一部の楽曲の展開(終盤など)や楽曲同士の繋がりなど、構造や演出にさりげない範囲で少し凝ったところが見受けられ、歌詞を追わずともその特殊性を感じ取れます。そのサウンド面では、1作目ばりにシンセを重用する場面も復活しつつ、ギターもヘヴィな質感は保っていて、コーラスを取り入れたスピードチューンも、ノイジーなギター偏重の楽曲も、ゴシカルでグラマラスな楽曲もある。そしてシャッフルビートやブレイクビーツを巧みに取り入れた楽曲もある…と、本筋のアレンジの軸は保ちながら楽曲ごとの個性も強化。原点回帰ではなく、ここまでの3作分の蓄積を反映させ、丁寧に足元を固めた上で新しいアプローチにも果敢に挑戦。特にラストの11曲目がまた異色で、もともとは全10曲を予定していたところに追加された楽曲らしく、アコースティックギターのストロークとイノセントなピアノ、つまり生楽器の絡みから始まっていくという、彼らとしては逆に実験極まる一曲。しかしそこには新鮮なだけでは終わらない説得力があり、アルバムに心地よい余韻をもたらします。そういったバランス感覚が全体の完成度を底上げしている印象があり、本作の評価を高めているであろう点にも納得。順当な進化を証明した一作。

 

 

 今回の記事に合わせ、彼らの1st~2ndアルバムの紹介記事の文章を少々見直したので、よろしければ合わせてご覧ください。

 

Marilyn Manson 『Remix & Repent』

 アメリカ・フロリダ出身のインダストリアルロック/オルタナティブメタルバンドのEP(1997年)。

 

 『Antichrist Superstar』の約1年後にリリースされたアイテムで、『Antichrist~』収録曲のリミックス、ライブ、アコースティックの音源を5曲収録した、アルバムの世界観の補完や拡充とも言える内容。ただ、リミックスにはアルバム本編とは異なる人脈や外部プロデューサーが関わっている模様。バンドを代表するまでになった名曲「The Beautiful People」のリミックス「The Horrible People」は出来も良いけど、発売済みのシングルから引っ張ってきたものだし、ライブ音源もカオスさが増した感はあるけどオマケ寄りの印象。もともとはリミックスを1曲制作する予定が、アイデアが想定外に膨らみ数々のリミックス、インタールード、カバー、実験などがごちゃ混ぜになった前EP『Smells Like Children』と比較すると、良くも悪くもかなりギュッと整理された構成である分、物足りなさは拭えない。『Smells~』のあの混沌ぶりは、Marilyn Mansonというバンドの個性や野心をよく表していたのだなと改めて実感させられます。とはいえ、ラストのアコースティック曲「Man That You Fear (Acoustic Requiem For Antichrist Superstar) 」は興味深く、『Antichrist~』のラストナンバーを“レクイエム”という副題を追加してここに置くことで、当時の活動全体の物語性をさらに示唆的なものにしています。次作までの橋渡し的な小品かもしれないけど、『Antichrist~』が好きであれば満足できる一枚かなと。

 

 

 今回の記事に合わせ、彼らの3rdアルバムと4thアルバムの紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。『Holy Wood~』はあまりいい評価をしていなかったけど、この度しばらく聴き直した結果、手のひらクルーしちゃいました(笑)。少々じゃねえ!