Dope / Blood Money Part 1

BLOOD MONEY PART 1

BLOOD MONEY PART 1

  • アーティスト:DOPE
  • 発売日:2016/10/28
  • STEAM
Amazon

 US出身のオルタナティブメタル/インダストリアルメタルバンドの6thアルバム。

 

 当初の予定より約2年半もずれ込み、結局前作より約7年という最長スパンでのリリースに。二部作での構想が予定されており、タイトル通り本作はその1作目のようです。やはりというか今作でも当然のように制作陣が(Virus以外)入れ替わっているけど、Edsel DopeとVirusの2人が中核を担うといういつもの形ではなさそうで、楽曲制作や各種パートに境界を設けず広く重用しているようだし、本作の発売前に初期のメンバーで初期アルバムのツアーを行ったのを契機に久々に合流した人物もいるなど、割と和気藹々とやってるっぽいです。良かった。かと言って別に例えばバラエティ豊かだとか大きく作風が変わるわけでもなく、ここに来てそれまでさほど重要視してこなかったインダストリアルメタルとしての側面を強調する方向で統一。激しいメタルリフの裏で別の色を加える機械的な効果音、引っ掻き傷を残すようなエレクトロニックなどが重なり、ダークでクールなヘヴィサウンドとして磨きをかけています。不穏なインタールードを複数挟んでいるのもその印象を強めていたり。しかしそこだけに特化という訳でもなく、ニューメタルの作法やメタルコアのスピード感、テクニカルなギターソロなどを駆使し、積み上げたキャリアと今鳴らすべきトレンドを融合させ、総合力でしっかりと勝負をかける。 "理屈抜きの格好良さ" を体現しています。ちょっとギャングスタ感というか従来のワルいノリはやや抑え気味だけど、楽曲の良さや切れ味だけで十分に満足できるレベル。彼らが現役であることに感謝したくなる傑作であります。しかし、次作Part 2についてはあまり待たせず作るみたいな感じだったのに、結局また長くなりそうな…まぁ こんな仕事 してたら仕方ないか。

 

 

 そんな彼らの過去作についても、だいぶ前に紹介記事をひと通り書いており、今回を機に全体的に文章を見直していますので、よろしければ合わせてご覧ください。思えば我が心の師・TCRさんが大好きなバンドだったよなぁDope…。そのお陰で管理人もかなり聴いたし、この手のジャンルの入り口としても助けられた記憶があります。初期はMarilyn Mansonに激似だったというのも大きいけど。

 

KMFDM / Brimborium

Brimborium

Brimborium

  • アーティスト:KMFDM
  • 発売日:2008/02/19
  • Metropolis
Amazon

 ドイツ出身のインダストリアルバンドのリミックスアルバム。

 

 リミックスアルバムとしては約2年ぶり2作目(「Naïve」のリイシュー盤「Naïve Hell To Go」を除く)で、本作の約半年前にリリースされた15thアルバム「Tohuvabohu」の楽曲を主体とした作品。ちなみにタイトルはドイツ語で「理解不能」「(驚き)」「デタラメ」などを意味するようです。実質全8曲でほぼセルフリミックスだった前リミックス作と比べると、曲数が少しだけ増加したり、Combichrist、Die Krupps、Angelspit、16Voltなどの実績のある同業他者バンドがリミキサーとして参加するなど、拡張された内容となっています。そのCombichristがいきなり1曲目に王道のダークエレクトロに作り変えたような楽曲を放ってビックリもするんですが、他にはそこまで逸脱したような曲はなく、原作「Tohuvabohu」に多かったメタルギター&シンセベース&キックで勢いよく突っ走る!的な単調だけど強力な様式を一度解体し、原曲からあまり遠ざけずにストイックでハードタッチな四つ打ち、エレクトロ/ダンスに再構築したような全体像でほぼ統一されています。KMFDMのメカニックから大きく外れていないので安心して聴けるけど、カバー曲や突飛なアレンジなどのアクセントはないので企画盤的な面白みは薄め。 

 

101A / unknown

f:id:xnoybis:20210708120441j:plain

 3人組ポストロック/シューゲイザーバンドの6曲入りCD(2008年)。

 

 彼らが6曲入り──というかフルサイズではない作品をリリースするのは2作目だけど(とはいえ1作目は「Before 1st」という位置づけのものだけど)、本作は「シングルでもミニアルバムでもない "not album"」と公式に解説された、これまたやや特殊な性質の作品のようです。その内容は新曲2曲+カバー1曲+インスト1曲+(初の)リミックス同2曲という、タイプの異なる楽曲のひしめく小品で、前作で晴れて3人体制(完成形)での再出発を遂げた次の一手として、特定のコンセプトを定めずに曲を寄せ集め形にしたものと言えそう。儚くも鋭い、期待を裏切らないポストロック新曲や、悍ましさすら感じさせる原型を留めないPortisheadのカバー「glory box」、ノイズインダストリアルなインスト「ZOAZOA」、コアなインダストリアル系アーティスト/エンジニア・Luke Chaosが手掛けた「come down」のヘヴィなリミックス(特に"Unknown Fire mix"と題された方は激重のインダストリアルダブで痺れる!)と、バンドの特異点や魅力を複数の側面から端的に伝えることに成功している一枚。入門用にも良さそうだけど、今となっては入手困難品なのでお勧めしづらい。しかし本作の象徴的な1曲目「0 [rei]」は後のベスト盤に収録され、また2020年からは配信でも聴けるようになりました。

 

Foetus / Thaw

Thaw

Thaw

 

 オーストラリア出身のJG Thirlwellによるインダストリアルプロジェクトの5thアルバム(1988年)。本作においては「Foetus Interruptus」名義となっています。

 

 「手にした日から、誰にだって、プロ感覚でシンセが弾けるようになる画期的なシンセ講座ができたんだ!!」の有名な文句でお馴染みの一作。活動の拠点をロンドンからニューヨークに移しての1作目で、エンジニアリングにはSwansやSonic Youthらを手掛けたMartin Bisiがクレジット。元SwansのRoli Mosimannと結成したWisebloodの活動を経た後ということもあり、その辺り──NYアンダーグラウンドの文化/人脈の影響が十分に成果として上がったアルバムと言えます。最も耳につくポイントは、とにかく重い。とりわけリズムトラックを中心に低音の層の一音一音がビシバシとお腹に響くような重さだし、明るく狂っていたかのような過去作の歌い方から、より迫真に迫るかのようなボーカルの変化もあり、聴こえてくる全ての重さ・密度・濁りっぷりが尋常じゃない。その上で、知性と本能を同時に封じ込めるような雑多な音楽構築センスは健在だし、戦々恐々としたインダストリアル・オーケストラな複数のインスト曲も、決して勢いを分断することなくアルバムの要所に散らばり、全体でひとつの凶暴な音塊を形成するかのように収まっています。画期的なシンセ講座かどうかはともかくとして(えっ)、本作以降オリジナルアルバムの発表がしばらく途絶えるのを鑑みても、彼の一つのターニングポイントを迎えた作品であり、名作とされる「Hole」「Nail」のいずれにも劣らない存在感を示す傑作。 凄みがダイレクトに伝わる分、その中では意外と一番聴きやすいかも?

 

Skrew / Burning In Water, Drowning In Flame

Burning in Water

Burning in Water, Drowning In Flame

  • アーティスト:Skrew
  • 発売日: 1999/04/06
  • メディア: CD
 

 US出身のインダストリアルメタルバンドの1stアルバム(1992年)。

 

 元々は別のバンドで活動していたAdam GrossmanとDanny Lohnerを中心に結成されたバンド。Danny Lohnerは別の名義でも活躍していたり、後にギタリストとしてNine Inch NailsMarilyn Mansonの制作に関与したり、またベーシストやプログラマーとして他の界隈の著名ミュージシャンにも広く関わった凄腕の人物。ただ、Skrewとして活動したのは本作限りのようです。そんな立ち上がりの1作目。どう聴いてもMinistryです、本当に(ry や、このヘヴィでメタリックなギターリフと無機質に響き渡るマシーナリービートはドンピシャすぎる。しかし本作の場合ただのフォロワーというよりも、そもそもMinistryのAl Jourgensen、Paul Barker、Mike Scacciaが制作に関わっているようで、そりゃそうなるかというか、これも一種のお墨付き(?)と言っていいんだろうか。注意深く見ると、Ministryの冷たさや鋭さの再現というよりも、全体のバンド感や一体感でモリモリとグルーヴメタルのように突き進むアグレッシブさが特徴的か。10曲目「Poisonus」では突如スクラッチを用いたラップメタルも披露(謎)。ミッドテンポの多さと薄味な作り&無骨さで内容も位置づけも地味な印象の拭えない一作だけど、彼らの中では最も評価も高く好セールスの作品でもあるんだとか。Ministryファンならどうぞ。

 


 先に書いていた(すっかり忘れていた)2ndアルバムの記事はこちら。よろしければ合わせてご覧ください。