MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Blitz

Blitz

Blitz

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの15thアルバム(2009年)。

 

 レア曲集「Extra」シリーズを挟み前作より約1年半ぶりで、当時Marilyn Mansonを脱退したTim Skoldが約7年ぶりに制作に参加した作品。本作の1カ月前にはSkoldとのスプリット盤「Skold Vs. KMFDM」を発売しているので、恐らくは2作品の同時期での制作が計画的に進められたものかと。そして、手法や表現としてはスプリット盤の方でいくらか実験性に重きを置いたというのもあってか、本作では割と前々作「Hau Ruck」以降のKMFDMの潮流にしっかり則った感じ。過去のTim Skold参加曲や彼のソロ作品だと、彼の十八番とも言えるメランコリーな聴き味が強く出るケースが多いのだけど、本作においてはそういう色づけはほぼ感じられず(裏方作業を重視したっぽい)、重たい手応えの4つ打ち&厚みのあるシンセベースを基調とする低音~エレクトロ重視のインダストリアルロックに、KMFDMらしいノリや作風、少し懐かしいソウルフルさ、耳を引く音の加工や組み合わせなどをまとめ上げ、特定の要素を尖らせすぎることなくスマートに構築することに終始した印象。そんな堅実な土台の上に、華やかな高速ナンバー「Never Say Never」、ヘヴィで爆発力のある「Potz Blitz!」、The Human League「Being Boiled」の名カバーなど曲ごとのカラーや打ち出し方の良さが生き、終盤までワクワクが途切れない曲順の良さもあって、総合力では「Hau Ruck」に比肩する快作になったかと。かつてPIGとのスプリット盤の後に名盤「Nihil」を生み出した流れの再現…というのは大げさかもだけど内容は確かだし、現時点でTim Skoldが参加した最終作ということも合わせ、押さえておきたい一枚。

 

 

 今回の更新に合わせ、過去に書いた彼らの10thアルバムと、Skoldとのスプリット盤「Skold Vs. KMFDM」の記事の文章を少し見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。