MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Skold Vs. KMFDM

Skold Vs Kmfdm

Skold Vs Kmfdm

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 スウェーデン出身のインダストリアルロックシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Tim Skoldと、ドイツ出身のインダストリアルバンド・KMFDMの中心人物・Sascha Konietzkoによるスプリットアルバム(2009年)。

 

 当時Marilyn Mansonを脱退した直後くらいのTim Skold。彼はもともと1997年~2002年にKMFDMに参加/在籍していたこともあり、KMFDMのSascha Konietzkoとの組み合わせは意外でも何でもなく、むしろインダストリアルロック愛好家にとっては見慣れたタッグ。そんな彼らが2002年以来久しぶりに手を組み、スプリット盤という形で新作を発表ということでファンには期待が高まったことでしょう。その内容は、エレクトロニックやサンプリングを濃密に駆使したエレクトロインダストリアル/ダンス。テンポの速い曲もあるにせよ基本はミドルテンポが主体で、ほとんどギターレスと言っても差し支えがないくらいギターの存在感はなく、ボーカルが歌い上げるわけでも鮮やかなシンセが響き渡るわけでもないという。その低音重視に作り込まれたサウンドは迫力や厚みを感じさせるにせよ、印象としてはとっても渋い。しかしかつては自身のソロで、また参加したKMFDMの楽曲で顕著だったTim Skoldのお家芸とも言えるダーク&メランコリーな曲展開の機微や、KMFDMが長年培ったアレンジの妙によって唯一無二の世界を実現させています。そしてもう一つ特長的なのが、収録曲と同名の1分前後に渡るダークアンビエント風インタールード曲を交互に配置するという構造。これによる1曲ごとの立たせ方、全体の構成の今までにない見せ方が、彼(ら)の得意とする面と実験性の高いレベルでの融合を演出しているかのようで、全22曲という長丁場ながらもズブズブと惹き込まれ、次を次をと聴きたくなるうちに気がつけば聴き終えている。そんな興味深い一作になっています。