MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

MUCC 『カルマ』

 茨城県出身のヴィジュアル系ロックバンドの10thアルバム(2010年)。

 

 デジタルアレンジやダンスビートをこれまでになく大きく取り込んだ意欲作であり、メンバーも認める一種の問題作。メタルに振り切った前作『球体』との落差には驚かされるけど、そもそも前作の制作時点で次にやりたい方向性がある程度明確に存在しつつも、メタルバンドとアメリカツアーを敢行していた当時の活動を反映させた作品作りを選択。そして今作は、その時に一旦見送ったアイデアや、バンドの頭脳でもあるギタリスト・ミヤが当時活発に行っていたというDJ活動からの新たなインスパイアなどを結実させたことで、無理に極端から極端へ路線変更したとかそういうことではなく、必然とも言える流れの中で完成したようです。まぁここに至るチャレンジはそれこそ前々作『志恩』の時点でも感じ取れたし、他ジャンルとの交流も活発で常に壁を壊しながら音楽性を広げてきた彼ららしい作品とも言えます。本作を最も象徴する「アイアムコンピュータ」とそのまま繋がるインスト「業」を境に、後半は全英詞ジャズ「堕落」やブラスポップ「サーカス」、本作では逆に異色なHRナンバー「ライオン」など、ベーシックなバンドスタイルでの自由度の高い楽曲を並べているけど、前半のインパクトや全体的により「踊れる」サウンドを標榜した一体感は、やはり初期からのファンやヘヴィな音楽愛好家を中心に賛否両論を巻き起こした模様。しかし個人的には彼らの音楽的な意欲や姿勢、覚悟までもが伝わり、演奏者/表現者としての成長も感じられる好感触な一枚だったりします。

 

 

 今回の記事に合わせ、「大昔に書いたけどいつだったか何かの手違いで非公開になったまま長らく放置していたMUCCの過去記事の文章見直し&再公開作戦」(長い)の続きとして、彼らの4thアルバムと5thアルバムの紹介記事を改めて公開しましたので、よろしければ合わせてご覧ください。