MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

GARNET CROW コンピレーションアルバム巡り

出典:Profile : GARNET CROW official website : ガーネットクロウ オフィシャルサイト

 

 突然のプチ長編企画。管理人が超絶大好きだったJ-Popグループ・GARNET CROW(2013年解散)が残したディスコグラフィから【コンピレーションアルバム】全7作を振り返るという、痒いところに手が届いてるのかどうか微妙なラインをいくゆるゆる記事になります。ご興味がある方は是非とも!

 

 この記事は【SIRENSONGS】(管理人:昇さん)が先日書かれたオリジナルアルバム全10(+1)作のご紹介記事に便乗した歩み寄らせてもらった勝手な合同企画で、ならば自分はあえてのコンピレーションアルバムだ!と、いう勢い任せによるものです。

 

 

 彼らの歴史を別角度から補完し、昇さんの記事と合わせれば全アルバムの歴史を振り返ることができる(かも知れない)という目論み。例えば彼らを初めて聴くような人はどれを選べばいいのか?特徴は?とか、多少触れている人が今から手に取る場合は?みたいな疑問の回答のささやかな一助になれば幸いです。では、どうぞ!

 

 

 デビュー5周年を記念した初のベスト盤で、リリース時点までの全シングル曲にアルバム曲・若干のB面曲を加えた2枚組でバランス良く振り返っている。一部シングル曲があえて?別ver.を採用していたり「Timeless Sleep」が再録されていたりと、見落としがちな部分へのこだわりと意欲を感じたりも。シングル曲が多めなのでどうしても彼らの深さに辿り着くのには限界もあるが、後のコンピ盤の多くが事務的 or 企画色が強いことを考えると、純粋なベスト盤としての機能性は案外一番高いかも。特に初期のB面曲でもかなり高い人気の「未完成な音色」の収録はGJすぎる。彼ら唯一の提供曲のセルフカバーやライブで先行披露されていた(ここだけの)新曲、シークレットトラックとして「夢みたあとで」のライブ音源の収録など、+αの部分の充実も既存ファンには嬉しい。彼らの活動はこの後も続いていくが、黄金期の魅力を端的に詰め込んだ一作として手堅いものがあり、「とりあえずどれか1つ聴いてみよう」的な需要には今でもかなり適していそう。

 

 

 デビュー10周年を記念したベスト盤で、リリース時点までのシングル全31曲と新曲「As the Dew」を2枚組で収録。豪華な装丁を思わせるジャケと自負を感じるタイトルからも決定版という意気込みが見て取れる。が、当然シングル曲は前ベスト盤と半数以上が重複しているし(しかもver.違い楽曲がほぼ共通している)「As the Dew」もアルバムver.としてではあるが次作オリジナルアルバムに収録され、後にコンプリートシングル集が出たこともあって、今となってはあまり手を出す意味のない作品になってしまった。初回限定盤にのみDisc-3が存在し、アルバム曲・B面曲から半々ずつメンバーがセレクトした楽曲を15曲収録。年代もコンセプトもバラバラながらも、通して聴くと一つの確固とした世界を感じ流れるように聴き通せるのは、ひとえに楽曲の完成度の高さや彼らの音楽に対する情熱の賜物かと。Disc-3はサブスクでは解禁されていないけど、興味のある人は同じ曲目のプレイリストを作って聴いてみるのもいいかも。

 

 

 前ベスト盤より半年ぶりの作品で、「大切な人に贈りたい曲、大切な人に聴いてもらいたい曲」を主題にしたコンセプトアルバム。ただこの企画はグループ発というよりはレーベル主導的な匂いがするし、テーマに沿った…というよりも「前ベスト盤2作とは被らない」選曲を優先していることもあり、本作の価値を高めよう・細かく追いかけてくれるファンにも手に取る意味を持たせよう、とする配慮が逆に作品の意義をぼやかしてしまっている感も。ベスト盤から漏れた良曲の編集盤、または前ベスト盤Disc-3の続編的なニュアンスでサラっと聴くが吉か。一応別アレンジ楽曲2曲、オーケストラver.で次作オリジナルアルバムに収録された新曲「空に花火」の原曲が聴けるのはここだけなので、ver.違いまでコンプしたいファンならば抑えておきたい。ちなみに管理人イチ押しの楽曲「Cried a little」が唯一アルバム収録されている作品でもある(念押)。

 

 

 3作目のベストにしてカップリングベスト盤で、ファンからのリクエストを反映した32曲を2枚組で収録。B面曲こそ真骨頂なんてのは大抵どのアーティストのファンも言ってそうだけど、彼らに関しては本当に本当にそうで(強調)、タイアップ曲ほどにキャッチーさを重んじておらず、かと言って特段マニアックなことをやるわけでもない、それでいてA面曲にも引けを取らないというGARNET CROWの良さがニュートラルに出た良質なポップ曲が目白押し。B面の隅々まで聴いてくれるファンに1曲でも良い曲を届けようという真摯な姿勢が垣間見える。曲順は発売順や人気順でなくバラバラだけど、B面曲すべてが網羅できたわけではないし、つまみ食いできる気楽さや新鮮な曲順が新たな魅力の発見に繋がったりもするからこれはこれで。彼らの楽曲を理解してきたら是非ともチャレンジしてほしい一作。投票1位の「廻り道」、若干V系を感じる疾走ロック曲「whiteout」等々お勧め多数。ボーナストラックとして9thアルバム曲「JUDY」の英語ver.を収録。

 

 

 2013年3月の解散発表と同時に告知された、満を持したオールシングルベスト。13年に渡る彼らの歴史から全35曲のシングルA面曲を時系列に沿って収録した3枚組の大ボリューム盤。結果的にそうなったのかも知れないけど、彼らのベスト盤は期間を区切って続編的に出すものではなく、都度そこまでのシングル曲を網羅していたため、本作においては前ベスト盤+4曲というほとんどが重複した内容でのリリースとなった。しかしこれまでのベスト盤と違い全曲シングルver.で統一されていること、解散までの全シングルが収まっていることで資料的な価値も高く、よくある「とりあえずお気に入りのシングル曲を見つけて、それが入ったアルバムへ深掘りしていく」的な聴き方のガイドにも最良な間口の広さもあり、非常に有り難い存在。本作のみのオマケ収録曲などはないが、彼らの歩みを大掴みで総括した贅沢な一作として、また良質なポップス集としてもお勧め。

 

 

 ファンからのリクエストを元に選曲された5作目のベスト盤。と言っても意義が半ば謎で、前ベストからほとんど間を空けないまま発売していること、選曲が初期と末期に不自然なまでに偏っていること、かと言ってアルバム初収録曲を多く含むような売りもないことなどが重なり、あまり魅力的な内容とは言えない。一応1~2作目のベスト盤にのみ収録された楽曲の回収(それも一部だけど)や、前ベスト盤の特典としてチラ見せされていた未発表曲「バタフライ・ノット」の解禁(収録)などのトピックはあるけども、ではこれが何がしかの独自性を持つのか、入門なり決定版として優れた何かがあるのかと言われると、うーん?だし、解散間もないファン心理が形になった結果だと言われてもなんか納得しづらいものが。これならレアトラック集あるいはタイアップ集みたいな開き直った企画盤とかライブアルバムとかの方がいっそ有り難かったかも。もしくはもっと後年、解散してしばらく経ってからリクエストを募っての制作とかね。

 

 

 前ベスト盤から1年2カ月ぶりのバラードベスト。3連続でベスト盤はさすがに擦りすぎだし、「バラードに定評のあるグループならではの企画盤」みたいな意図があるようだけど、そりゃそうだろうというか、意外性も特別感も薄い。彼らの方向性を鑑みるに、それならばせめて逆にアグレッシブな曲を集めたアップテンポベストとかの方が面白さがあったと思う…というのは安直だろうか?ただ選曲自体はシングル曲・B面曲・アルバム曲・年代ともに上手くバラけながらも的確と言えるし、スペシャルディスクと題されたDisc-2には3曲のライブ音源を収録。オーケストラを背負った荘厳さや生バンドによる表情豊かな演奏、解散ライブの最後を飾った「夢みたあとで」のMCや思いの丈を振り絞るような歌唱などが味わえるのは大きなポイント。アルバム初収録曲などはないものの、解散の余韻に浸る一作(あるいは映像作品へ興味を促す導線)として聴くとより楽しめるかも。

 

 

 

 以上です(ゼーハー)。もうちょっと手短に書くつもりだったけど、やっぱり大好きなアーティストなので自然と力が入ってしまいました。

 管理人は彼らを知ったのがメジャーデビュー時で、2枚同時のデビューシングル…特に「君の家に着くまでずっと走ってゆく」を聴いて衝撃を受けたのが全ての始まりで。これがシングル曲なんだ!?(正確にはインディーズ盤からのカット)という驚きや、何かお洒落な映画を観た後のような読後感?が鮮烈で、一瞬で惹き込まれたものでした。 その後もゲームファンには一足先に広まった名曲「flying」、スマッシュヒットした「夢みたあとで」などを経て、気がつけば自分の中で確固たる位置を確立し、解散するまで長年愛聴しておりました。

 徐々に音楽性を広げ、後年には商業的なコミットに向けよりポップさを追求したりライブツアーを経てロック色を強めたり…といった変遷もあったけど、特に最初期におけるネオアコやフォークやインディーポップを下地にしたような、欧州っぽさ~下手したらケルト音楽あたりすらにも通じる雰囲気が濃かった時期が特に好きで。透明感、幻想性、陰影、無常感、寂寥感などが混じり合ったような音/詞世界や、リスナーに過剰に寄りかかるわけでもなく、かと言って突き放すでもない哲学のようなものを勝手に感じて魅せられていたのですよね、大袈裟に言うと。

 そんな音楽を築いていたのが4人のミュージシャンによる完全分業制という職人気質なスタイルなのもまた良くて。キーボーディストが2人いるとか、てっきり作曲がキーボーディストで作詞がボーカリストかと思ったら逆だったとかも引っかかるポイントだったけど、楽曲と溶け合うような中村由利の中低音域の歌声や、AZUKI七による神話や学術/文学の匂いと当て字の多用からなる独特の詞作もツボにハマった重要なマテリアル。より注意深く耳を傾け、歌詞カードを読みたくなる音楽として非常に新鮮かつ魅力的でした。中には楽曲名にタイアップ作品/番組名を入れるなど世界観をぶち壊す勢いでサービス精神を見せた時期もありましたが(苦笑)。

 

 ここしばらくは思い立ったら少し聴くくらいで集中的に聴き返すことはしていなかったけど(近々したかったけど)それを踏まえるとこのライブラリの数字はなかなかのものかも。

 

 名前くらいなら or 何曲かくらいは知ってる人とかだと、アニソンタイアップが多かった彼らをアニソン色の強いグループだという先入観を持つ傾向も多少あるかも知れないけど、改めて聴くとアニメとの親和性は(仕事として寄せたというのもあるだろうけど)もちろん、やっぱりその範疇に留まらない独特の音楽性を誇っていたなぁと。もちろんオリジナルアルバムごとのカラーや変遷を辿るほうがそんな彼らの特長/魅力をより理解できるのは間違いないけど、そこを踏まえた上でコンピレーションアルバムの性格も押さえ、選択肢の一つとして興味を見出してみるのも良いのではないかなと。

 

 さてそんな彼らの近々のトピックとして、デビュー20周年にあたる2020年からアニバーサリー企画が始動。サブスク解禁を始め色々な企画が動き、2023年6月をもって終了した模様。再結成はおろか本人たちの稼働などは一切なかったものの、そもそもグループとしての活動を「やりきった」として終わりを見据えた制作と宣言通りの解散劇で綺麗に幕引きをし、有終の美を飾ったことから、それでファンには十分だったと思われます。この辺の潔さとかプロ意識も彼ららしいと言えるかも。

 そしてそのタイミングと入れ替わるように、彼らの意思を再現するトリビュートバンド・青いガーネットが活動中とのことで、今後はそちらに注目していこうと思います。

 

 

 長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございました。GARNET CROWは本当に好きなグループなので、4月恒例(ではない…)企画記事の題材として考えたこともあったのだけど、めっっっちゃくちゃ大変になるのが明らかで諦めていたので、今回こういう形で彼らについての長編記事を書く機会ができて良かったなと思います。昔聴いていたな~という人やほとんど知らないな~という人が彼らに触れる/思い出す何かのきっかけになれれば幸いです。