MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Flesh Field "Tyranny Of The Majority"

 アメリカ/オハイオ出身のダークエレクトロ/エレクトロインダストリアルユニットの4thアルバム(2011年)。

 

 前作以降も制作は続いていたものの、メンバー間での何かしらの事情があって新作の正式なリリースには至らず、2011年に解散を発表。同時に、制作中だった音源がパッケージングされ、未完の4thアルバムという形で無料公開されました。それがこの本作になるんですが、ことの推移から半分はデモや素材のようなものかなと思っていたら、しっかりと作り込まれた音源で驚愕。しかも歌ナシ状態の完成音源かと思いきやIan Rossと思しきボーカルは所々だけどちゃんと入っているので、明らかに「あとは女性ボーカルを入れるだけ」という状態で、ここまで作り上げられたものを無料で公開するというのは太っ腹というか、逆にいいのか?と尻込みしちゃったりも。音楽的には完成度の高かった前作をそのまま踏襲する形になっているようで、同路線でもう一作くらい続いても望むところだったこちら側としても納得の内容。機械的な質感の中に光るドラマチックさ、スピード感で増していくスリリングさは特筆すべきものがあり、オケだけでも十分に聴けちゃいます。でも、一部ではブレイクビーツを取り入れたりガバのような高速ビートを刻んだりと新たなアプローチを試みた形跡もあるし、歌のない時間帯の長さからして女性ボーカルの比重を増やすつもりだったであろうことを考えると、やはり完成形を聴いてみたかった。

 

 

 今回の記事に合わせ、過去に書いた彼らの1~3作目の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。

 

 

 当時コンポーザー・Ian Rossは、脱退した女性ボーカリストに代わる人物を探すのではなく、あくまでも「解散」という形をとり、異なる新しいプロジェクトへ意欲を見せていたようだけど、結局大きい動きはないままでした。この手のジャンルでもゴシック色の強いアーティストにはあまりハマれなかった管理人にとって、彼らは珍しくかなり好きになった存在だったので残念な思いだったのだけど、今年になって突然の復活を発表。同時にこの最終作からは約12年ぶり、正式な流通作品としては3rdアルバム以来約19年ぶりとなる新作(しかも同レコード会社・Metropolis Recordsから)も発表、先日(11月3日)にリリースされました。期待を裏切らない内容に満足しております。