MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM "Don't Blow Your Top"

Don't Blow Your Top

Don't Blow Your Top

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis Records
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの2ndアルバム(1988年)。

 

 彼らと長きに渡り蜜月関係を築き上げるシカゴのインダストリアル/ニューウェイブ系の有名レーベル・Wax Trax! Recordsからの第1弾作品。当時すでにCabaret Voltaire「Code」やMinistry「Twitch」などを手掛けていた名プロデューサー・Adrian Sherwoodがタイトル曲/シングル曲の「Don't Blow Your Top」ほか数曲をミックス/プロデュースしており、そこに関しては明らかに一つ抜けた出来。より硬くシャープに処理されたリズムトラックやメタルパーカッション的なジャンク音、女性コーラスの導入など、後のKMFDMの原型のような攻撃性と享楽性の萌芽が見受けられ、地味さや実験っぽさが拭えなかった前作からの中庸感をはみ出すことに成功しています。ただやはり他の楽曲に関しては前作の延長の域を出ておらず、特に本作を最後にソロプロジェクト(PIG)始動のために脱退するRaymond Wattsがボーカルで存在感を示す楽曲と、終始サンプリングボイスだったりボーカルなしだったりの楽曲との落差も大きく、全体としての聴き応えやメルクマール的な印象としては、あと一歩という物足りなさが残ります。しかし彼らのコアリスナーになった人であれば、後追いで聴いても何らかの発見がある作品ではないかと。

 

 

 これで彼らの初期オリジナルアルバムの紹介抜けが埋まった…かな?そして今回を機に4th・5thアルバムの記事の文章を少しだけ見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。