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SMAP 「全アルバム」 ミニレビュー&おすすめ紹介

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 出典:SMAP - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/SMAP

 

 今はなき国民的アイドルグループ・SMAPの全アルバム(たぶん)のプチ紹介記事です。読んで字の如くだし、長くなりそうだしで、前置きは不要ということで。では、どうぞ!

 

  

 光GENJIのバックダンサー・スケートボーイズから選抜され誕生した6人組・SMAPの記念すべき1st。デビューシングルがオリコン1位を逃した逸話は有名だけど本作ではなんとトップ10入りすら逃したという。アイドル冬の時代、歌番組衰退の時代という当時の恐ろしさが垣間見える。まだ全員10代だったメンバーがお揃いの謎衣装を身にまとい、幼さの残る変声期の声で80年代の空気が残るキラキラとしたアイドルポップをやっている姿は時代を感じずにいられない。とは言え、後に「ウラスマ」に選出された曲も2つあるので、何だかんだここが原点と言えるのかも。メンバーのデュオ曲がある中で森に唯一ソロ曲が存在するのも当時の期待の表れか。

★★

 

 9カ月ぶりの2nd。前作にも未収録だった問題作の2ndシングル「正義の味方はあてにならない」は今作でもすっ飛ばされオリジナルアルバムには完全スルーされた。TV披露時にはデビュー前のTOKIOがバックバンドを務めたという3rdシングル「心の鏡」の再構成版を頭に据え、全体的にロックバンド感でまとめられた一作で、実際にFENCE OF DEFENSETHE SHAMROCKといったバンドが楽曲提供や編曲を行っている。それ以外の曲でも少しずつ時代を進めている感はあり、中でもCHOKKAKUが編曲を担当した楽曲は頭一つ出た存在感。チャート順位的にはまずまずだった模様。今回は木村にソロ曲あり。

★★

 

 前作から4カ月という短スパンとなった3rd。前作では見送られた4thシングル「負けるなBaby! ~Never give up~」が誰得リミックス版で収録された一方、本作前に発売した5・6thシングルがスルーされたりと、シングルの収録によく分からんこだわりが。1曲目「The Theme of 003」の小粋かつスケールの大きいビッグバンドなオープニング、続く「Scarface Groove」の勢いのあるラップなどは少しだけ後のSMAPっぽさもあるけど、基本的にはコットン100%のふんわり仕上げアイドルポップが並び、目玉の曲やこれといった柱がないためインパクトは落ちる。そんな中、初の中居ソロ(しかも直球バラード)は注目かも。当時は森・木村以外がまだまだだったせいか上手く聴こえるのが面白い。

★☆ 

 

 半年ぶりの4th。ここで最初の変革が起き、ジャケットにメンバーの写真を使わなくなり、音楽制作も事務所主体からレコード会社主体になったとか。音楽面でブレイクしきれずにいたここまでの戦略を見直した結果だと思うけど、当時としてはそれがバッシングされたそうだし、大きな賭けでもあったことは想像に難くない。しかしこれが功を奏し初のトップ3を獲得。音楽的にも、ファンクやスウィングバンド系の要素が増えトラックが華やかかつお洒落になり、平凡な楽曲でも退屈しにくくはなった。メンバー全員のソロ曲が初めて用意されたのも意気込みの表れか。ただ、香取(当時16歳)だけはまだ圧倒的に声が若く違和感が凄い。ラストを飾る「雪が降ってきた」は初期の名曲。

★★☆

 

 7カ月ぶりの5th。音楽活動では今一つな状態が続いた彼らが初めて掴んだヒット曲「$10」がとにかく突き抜けて良い。クールに洗練されたサウンドは勿論、リアリズムを語感の良い英詞で転がしていく歌詞も取り合わせが良く、この大人びた雰囲気は後のSMAPのイメージ形成にも大きく貢献。実はカバー曲ながらとても幸福な化学反応だったし、個人的にもSMAPを知ったきっかけの曲で思い入れも深い。「$10」だけでなく「君色思い」も書いた林田健司や、後に名曲「夜空ノムコウ」を生む川村結花らの布陣で、新しい境地へ踏み出そうとした一作といったところ。全体的には後の路線への橋渡し的なアルバムだけど、それだけに後追いで違和感なく聴けるのは大体この辺りまでか。

★★★

 

 5カ月ぶりの6thで初の副題つき。最初の(ほぼ)インスト曲からして今までと全く異なるオーラを纏う。初めてNYレコーディングされた作品で、一部の楽曲には海外の一流ミュージシャンが演奏。常時ブインブインと鳴ってるベースや、明朗に響き渡り時には身をのけ反るようなソロを聴かせるサックス/トランペットなどが特に印象的。副題通り "大人の音" だ。それ以外の楽曲も、重要アレンジャー・CHOKKAKUの楽曲を始め全体的に引っ張られるように底上げされ、クオリティ/統一感で1つ上に行くと同時にSMAPの進むべき方向性が固まった重要作でもある。ただし初の1位を獲得したシングル「Hey Hey おおきに毎度あり」はラストに別アレンジで収録するも激しく浮く始末。

★★★☆  

 

 初のベストアルバムで、初のチャート1位を獲得&好セールスを記録。ファン投票を元に選曲されたシングル曲中心の13曲+新曲1曲で、過去曲の大半は前作に倣って海外一流ミュージシャンの手によって、生演奏オケへの置き換えまたは楽器の追加/再録などで再構築(うち2曲はコンテンポラリーに完全リアレンジ)。雑に言えばSMAP版「殺シノ調ベ」である(そうか?)。安っぽさが消えテクニカルな演奏がさり気なく差し込まれるなどトラックは確実に洗練されながら、基本は原曲に忠実で違和感なく聴ける。今となっては「本格ブレイク前夜」までの期間のベストで若干影は薄いけど、ここでしか聴けない演奏/アレンジという価値は失われておらず、隠れた名盤的な一枚でもある。

★★★★  

 

 「Cool」より半年ぶり、「006」からは丁度1年ぶりの7th。ヒットシングルを連発しついにオリジナルアルバムでも1位を獲得、本格的なスターダムへの足掛かりとなった作品。「006」では数曲に留まっていた海外ミュージシャンの参加が本格化し、ほぼ全曲に渡り「Smappies」と称された一流の演奏家が名演を披露。リアレンジされた「KANSHAして」を始め豪華なファンク/フュージョン/R&Bで統一されたトラックは耳にも良い栄養になるし、当時はそれ系の詳しい人やファン以外の層にも「SMAPのアルバムが凄いらしい」と話題になったとか。それでいて、SMAPの歌唱、恋愛における本音や裏側・普通の若者視点などの詞によってJ-Popとしての親しみやすさも抜群。これぞ名盤。 

★★★★ 

 

 初(唯一)のリミックスアルバム。ジャニーズのリミックスアルバムはかなり珍しいとかなんとか。ライブ用に制作された楽曲のうち未発表のものを集めたもの、らしい。洋楽カバーを含むラップメドレーのトラック2つと、既存曲に「MOD Mix」「#○」とタイトのついた楽曲と大まかに分けられ、後者の「#○」は○番目に発表したアレンジ作という意味を持つのでリミックスというよりは別バージョン感覚で聴ける。常時パワフルなHRギターがやかましく鳴り続ける「がんばりましょう#2」は思わず笑ってしまう。Jr.時代の未発表曲「SMAP#2」も単体ではここでしか聴けない。全体としては特になんてことない作品だけど、ファンなら面白く聴けるかも?

★★

 

 「BOO」より4カ月ぶり、「007」より8カ月ぶりの8th。チャート的には2位と落としながらもセールスはここまで上昇を続けピークを迎えた。通常盤では久々にメンバーの写真がジャケを飾るのも勢いを感じる。内容的には前作の兄弟作といった感じで、ほぼ全曲が一流ミュージシャンによるNYレコーディング制作。魔改造されたヒットシングル3曲を筆頭にゴージャスでムーディな名演が満載。今回はラテンやボサノバ風の曲も。もはや歌より間奏がメインみたいな曲もあるけど、やはりポップスとしてのクオリティは超安定。歌唱力2トップの森・木村での久々のソロ曲もあり、魅せ方のバランスは6人時代のSMAPの完成形であると同時に、6人では最後のアルバムにもなった。 

★★★★

 

 5カ月ぶりの9th。個人的にこれが彼らのアルバム初体験だったかも。それまではアイドルのアルバムを聴くという発想がなかったので。だってこんな格好良いジャケ素通りできませんて!森が脱退し5人組になってからの1作目だけど、人気の衰えない "無敵感" が出てますね。反面、制作は急ピッチだったようでスパンも短く、副題もない、恒例のテーマ曲もない、曲数も少ない、直前の大ヒット曲「青いイナズマ」が入ってないと無い無いづくしではあるけど、内容的には "一流演奏家路線" の盤石ぶりが際立つ。歌唱面で主力だった森が抜けた穴を埋めるべくコーラスワークに力を入れたり、(中居以外の)ソロ曲で各人の個性を再アピール。「はだかの王様 ~シブトクつよく~」のリメイク版も絶品!

★★★☆

 

 ベスト盤としては2年2カ月ぶりの2作目。 "W" の "Cool" という意味を込めたタイトルで、文字通り「Cool」を踏襲したような2枚組。シングル曲は最新の「青いイナズマ」「SHAKE」以外は全てアルバムver.で収録。それ以外の曲も大半が近々のアルバムや「Cool」から選出されているので、ほぼ全て一流演奏家の生演奏版の楽曲で固められ、それが曲調に合わせ「WOO side」「LOO side」の2枚に振り分けられている。選曲にゆとりがあるので大ブレイク前後の時期中心のベスト盤としてもバリューがあるし、Smappies路線の集大成も兼ねたような内容なので、後の「SMAP Vest」等のベスト盤とは別に手元に置いて損はない一作。大きい特殊パッケがめっちゃ邪魔なのが難点。

★★★★

 

 「Wool」より4カ月ぶり、「009」より1年ぶりの10th。「010」は映像作品につけられたため数字が1つ飛んだ。副題の「ス」には一応尤もらしい意味があるようだけど、こんな脱力タイトルを平気でつけるあたり当時の自信と余裕が伺える。山崎まさよしのカバー「セロリ」から新たな展開に入り、本作ではスガシカオ佐藤伸治忌野清志郎らの楽曲提供 × 「004」以来の全員ソロ曲収録で、曲の幅の拡大とメンバーの個性の強調の両方へ挑んだ作品に。前作までの一流演奏家路線は4曲程度に抑えられつつも要所で存在感を示し、それ以上に今までにないジャンル感の新鮮さとソロ曲の多様さ(中居はついに自身の音痴を自らネタに)で一気に聴け、全体が短く感じるほどにバラエティ豊か。 

★★★★

 

 10カ月ぶりの11th。こんな副題とジャケなので全体的にラテンとかサンバなのかなと思ったら全然そんなことなかった。むしろ過半数が一流演奏家の演奏やCHOKKAKUのアレンジで構造的には「008」に近く、テクニカルでファンキーな楽曲の連発にはウットリするし、フォーキーな歌モノ「ひと駅歩こう」やR&Bにラップを乗せた「Trouble」もいいスパイス。前作と打って変わりソロ曲はないがその分まとまりもあるし、メンバーの年齢(当時21~26歳)的にも脂が乗り、「008」当時からの成長と充実を感じさせる出来。その人気は「夜空ノムコウ」のミリオンセラーにて国民的となり、それが収録された本作をもってデビュー作以来の制作陣が退き、Smappies路線も最後となった。

★★★☆

 

 「012」より僅か2カ月で発売した唯一のミニアルバム。「Pet Sounds」を模したレコードサイズ特殊ジャケで、タイトルはイタリア語で「パーティー」の意。内容は全員のソロ曲が収録された全5曲で、ソロ曲のない「012」と分けた試みで制作されたものかと。森脱退以降に打ち出した「011」ソロ曲の方向性を基本に、R&Bを色気たっぷりに歌う木村やハワイ愛をギャグ強めのサンバで表現する香取はとりわけ印象的だが、最も衝撃的な中居は、コギャル(死語)の会話、中居のお経、ゲストの台詞などを使用した9分超のヤケクソラップソング。ファン以外お断りの独自路線に磨きをかけてきた。なおこのCDの試みは今回限りになり、後の「016」以降はソロ曲集との2枚組仕様になる。

★★☆

 

 1年1か月ぶりの12th。 "心に翼を持った男たち(BIRDMAN)" を活動テーマに掲げた年の作品で、タイトルもそちらを前に配置し強調。加えて制作陣が一新されたこともあり、前後のアルバムとも一味違うムードを持つ作品。見た目にも黒でシックにキメ、ブレイク前のm-floとコラボした本格ヒップホップ「living large」をリードに、全体的にブラックな匂いのする渋く落ち着いた曲調/アレンジが耳に残る。歌唱は木村メインとそれ以外でハッキリ線が引かれ、インストや無音トラックで統一感演出と曲数調整を図るなど実験色も濃い。好みは分かれそうだけど個人的には実は結構お気に入り。ジャンルではなく姿勢に "ロック" を感じるのだ。中居作メンバー紹介ソング「Five True Love」も見所。

★★★★

 

 1年2カ月ぶりの13th。タイトルの読みは「エス マップ」。意味は知りません。ちなみにこれ以降ほぼ全てのアルバムのジャケットデザインは同じ人物が担当することに。R&Bブームに乗せて2度目のミリオンセラーになった「らいおんハート」、ソウル界の巨匠・James Brownとコラボした「ジャラジャラJAPAN ~for the Japanese~」が2大インパクトで、前者のロングヒット効果もありセールス的には前作より少しだけ売れた。ただ借り物とはいえ「013」以前の豪華サウンド路線や「016」以降の有名歌手提供路線の間に位置するせいか、好きな曲はあるにせよちょっと地味。発売時期が恒例の夏から秋にズレたせいかクリスマスソングで締められるというのも(どうでもいいけど)本作ならでは。

★★★

 

 4年ぶりのベスト盤3作目で、デビュー10周年を記念した、デビュー作から当時の最新作までのシングル集2枚組。自身最大のヒットになり、当時のジャニーズの売上記録も更新。彼らはシングル曲がアルバム未収録になったり、収録されても大きく手が加えられることも多く(特にこの頃)、ついでにここまでのほぼ全てが8cmCDだったので、シングルver.が余さず並べられた本作は資料的価値の面でも重要。アイドルの常識を壊し続けた曲を、 "どこにでもいる若者" の視点の詞で歌い、男女関係なく幅広く支持を集めながら長期間に渡るヒットを連発。間違いなく当時の時代のど真ん中にいた彼らの軌跡が記録された一作。一家にお一つどうぞ。余裕があればSmappies演奏ver.と聴き比べるのも一興。

★★★★☆

 

 「SMAP Vest」から4カ月ぶりの、同じくデビュー10周年を記念した編集盤。シングル曲ではない人気曲・隠れた名曲が17曲収録された裏ベスト的存在で、通称「ウラスマ」。アルバム曲やB面曲から多く選出され、そのうち半数ほどが新録されている。彼らのB面曲の中では最も有名かつ人気の高いとされる「オレンジ」やTVなどでよく流れた「BEST FRIEND」あたりが頭一つ抜けつつも、全体を通してもそれに負けない良メロディの曲が並ぶ。なので感触としてはバラードや歌い上げる楽曲が多くなるが、その分強固な一体感もあるし微笑ましくなるような若々しさも控えめ。名前に偽りなしの好盤。「世界に一つだけの花」以降からのファンであっても手に取る価値は大いにあるかと。

★★★★

 

 ベスト盤2種を挟み「014」からは1年9カ月ぶりの14th。 "渇いた心を潤す" がテーマで、同名の(微妙な味の)炭酸飲料も同時期に発売。チャート1位は逃すも、後にシングル化され最終的に300万枚に達した国民的ヒット曲「世界に一つだけの花」効果でロングランし「008」を抜きオリジナル作最大の売上に。「013」以降は毎回ほぼ全面的に作家を入れ替えながら続いた試行錯誤も今回はカッチリとハマり、最初のブレイク以降ずっと軸に置いていたソウル/ファンク系・ノスタルジックな歌モノ・新しい挑戦と色が豊富だし、TVの企画で英語を習得した香取による全英詞曲などソロにも目玉が増え、メンバー紹介曲第2弾かつ普通に大名曲の「FIVE RESPECT」で締める充実した一作。

★★★★

 

 11カ月ぶりの15thで、「012」以来久々に1位を獲得。初の2枚組で、Disc-2にソロ曲と「世界に一つだけの花」の別ver.を収録。全員ソロ曲ありは「011」以来で、2枚組仕様は今後も恒例となる。副題は「MADE IN JAPAN」の頭文字で、制作/演奏ともに日本人で固められたことに由来。専業作家だけでなく、トータス松本や元JAMのTAKUYAなどロック/ポップス畑から著名ミュージシャンも多数参加。シングル曲のないアルバムという点では挑戦的だが、トップを獲ったテレビスター・SMAPにただ楽曲を投げ込んでみた的な内容はポップスとして質は高くとも刺激はまちまち。ソロは久々に中居が暴れる激ヤバ曲「トイレットペッパーマン」、キャイーンとミュージカルを披露する香取が変わり種。 

★★★

 

 2年1か月ぶりの16th。本作よりタイトルから数字が消失。デビュー以来唯一CDリリースや5人での音楽活動のなかった2004年を経て最長スパンとなった。そのせいではないだろうけど、ソロ曲集に加え5曲入りリミックス集も含む初の3枚組に。前作ほどの数ではないが横山剣宮沢和史といった著名ミュージシャンの提供曲、またEric Claptonが手掛けた万博の曲のカバーなど無難だが良く出来たプロダクトで、本編のDisc-1は前作よりも流れが良いかも。ソロ曲は韓国語に初挑戦した草彅を始めどれも悪くないが中居が若干空回り気味。リミックスは過去のヒット曲の「歌」を抜いてBGM用に再解釈したような内容で悪くない。特に「SHAKE (BOOM BOOM SATELLITES REMIX)」が鬼ヤバ!

★★★

 

 1年ぶりの17th。ここから先はアルバムのリリースが2年間隔になる。今回はHOME MADE 家族SOFFetAqua Timezらが(カバー含む)楽曲を提供。「016」以降の、音楽的コンセプトよりも著名ミュージシャンを始めとした提供曲に染まりながら、巨大になったSMAP人気を維持する "優等生路線" とでも言うべき展開は、「世界に一つだけの花」の正しく後継な「Triangle」やファン人気で「オレンジ」を超えた名曲「STAY」、そして少し昔のSMAPっぽさもある完成度の高いヒット曲「Dear WOMAN」で終わる流れなどもあって、ここでポップスとしての親しみやすさに磨きがかかる。ソロでは久々に真面目にデュエットで熱唱する中居、ジャズをカバーし曲中に自己と曲の紹介を挟む稲垣が面白い。

★★★☆

 

 2年2カ月ぶりの18th。タイトルは頭文字でSMAPを形成する本来の単語ではなく、本作のテーマである "モダンで芸術的な新しいSMAP" の意。ハードル上がりすぎでは?とは思うけど、菅野よう子作の真正面ジャズ、サビに「グノーのアヴェ・マリア」を使用した怪ラップ曲、韓国産ミクスチャーロック、中田ヤスタカ作のテクノポップなどと確かに今までにない挑戦が多めで、どれも(所々笑っちゃうけど)ちゃんと面白い。国内外の多数の著名作家らによる抑えるべき安全パイ曲の安心感との共存が、おもちゃ箱のような雑多なポップさに繋がった。久々に一般層へ浸透したヒット曲「ありがとう」は未収録だが、十分にお釣りの来る一作。歌唱面でも一皮剥け、5人揃ったときの輝きも増したと思う。

★★★☆

 

 1年10カ月ぶりの19th。恒例のインストOP曲(=ナンバリング)の消失、直球のタイトル、地球のジャケ絵。後の海外(中国)進出を視野に入れ、改めての自己紹介に挑んだような作品。音楽面では、いつも以上に豪華&個性的な作家(小室哲哉相対性理論、山口一郎、石野卓球久石譲ら)から提供を受けた楽曲が広がり、12年ぶりにSmappiesも一部で演奏。スウィングジャズからテクノまで様々で、最後は宇宙スケールの管弦楽に辿り着く、一種の決定版のような全16曲の大ボリューム。しかもどれもSMAPに寄せる気がない(笑)。それでも、もはや何を歌ってもSMAPになるところまで来た感すらあり、まさにタイトル通りの一作。草彅はソロ曲で不祥事を自虐ネタに。天晴れな捨て身。

★★★☆ 

 

 "CDデビュー20周年を記念したベスト盤" という形をとった、東日本大震災に対するチャリティーアルバム。 "みんなを勇気づける曲" をテーマに「Cool」以来のファン投票企画が行われ、上位15位までの楽曲と「世界に一つだけの花」の中国語ver.が収録された。内容が内容だけに直接的な応援ソングやソフトタッチな曲、また極端な人気曲等で構成されるが、近年の未CD化曲やアルバム未収録だったシングル曲のいくつかが収録されたし、他の選曲自体も意外と(?)新しめの曲が多く、「世界に~」以降の曲をざっくりと聴くためのCDとして捉えても割と有用。ただ、ほぼ全ての曲が後のベスト盤「SMAP 25 YEARS」にも収録されたので、今からあえて本作を手に取る意味は薄い。

★★★☆

 

 ベスト盤より1年ぶり、前作より2年1か月ぶりの20th。記念すべき一作を最高の贈り物にすべく命名された。シングル曲は前作以降の3つの内「さかさまの空」のみ収録され、それとインスト曲/リード曲の4曲を提供した菅野よう子が軸になりつつ、前山田健一ナオト・インティライミ椎名林檎らによる楽曲が散りばめられた。EDMやブルースロックなどの別方向の目新しい作風と、フュージョンや「らいおんハート」のアンサーソング「エンジェルはーと」などの馴染みのある楽曲が、年齢を重ねてきたからこそ出せる味と、年齢を感じさせない少年性の両方で歌われ、SMAPという5人の特別感を証明していく。Disc-2のメンバー紹介曲第3弾「CRAZY FIVE」も聴き逃せない。

★★★☆

 

 約2年1か月ぶりの21st。前作以降の大量のシングル曲から2曲ほど収録され、両A面を含め都合7曲が未収録。そんなことある!?と一瞬驚くが、納得の内容。 "最低で最高の男=Mr.S" をテーマに、ニヒルなダンディズム、逆に屈託のない子供っぽさなど様々な人間臭さが増し、オールドジャズもパーティロックもスタイリッシュなダンスナンバーもエレクトロニカも全てを着こなし、エンタメとして一段上に上がった印象。中居ソロ曲がないせいか本編・ソロがごちゃ混ぜの2枚組仕様だが、浮くことなく見せ方でもプラス働いた。40代に差しかかったSMAPの成熟と、和田唱川谷絵音津野米咲中村弘二、TKといった名だたるロック畑の作家との化学反応が実を結んだ、「016」以降の最高傑作。

★★★

 

 ベスト盤としては5年ぶりとなる6作目。25周年を迎えファンへの感謝として投票企画が行われ、上位50曲が年代順に3枚組で収録。最終的には「SMAP Vest」に続く大ヒットに。表向きには言及されていないが、解散発表を受けての制作のため騒動の影響も否めず、応援・友情ソングや前向きな曲などが多めになり、初期の隠れた曲やSmappies路線は一切なく、サウンド的に面白い曲や意欲的な曲などが控えめな点は本当に「25周年」を冠するのなら物足りなくもある。しかし投票時の選択肢になかった「チョモランマの唄」の初CD化はコアファンの面目躍如だし、他にも近年のアルバム初収録曲も多く、代表的な楽曲は全年代に渡り充実した作品にはなっている。思い出をありがとう。

★★★

 

 

 以上です(ゼーハー)。なんで突然こんな記事を書いたかというとですね、管理人は個人的に女性アイドルは1ミリも詳しくないんですが、男性アイドル…というかジャニーズは昔からずっと好意的に見ており、特にSMAPは幼少時にJ-Popに目覚めたきっかけの1つでもあり、その後のブレイク~CDバブル時や彼らのドラマ・バラエティ全盛期にずっと身近に感じて追っていたこともあり、波はあれど人生を通して好きな期間が長く、かなり思い入れの深いグループでもあるのです。

 

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 ライブラリ上でも割と再生されていました。なんだこの並び!

 

 昨年の緊急事態宣言の時期あたりに、NHKが「プロフェッショナル」の再放送リクエストをTwitter上で受けつけたとき、「SMAPスペシャル完全版」の要望が殺到しトレンドになったことがありました。過去にもSMAPが災害などに寄り添った活動をしてきたことや、当該番組でそれを扱った背景も恐らくあってのことで、コロナ禍で落ち込んだ日本が元気になれば的なファンのムードをTwitterでそれとなく感じ取りつつ、その時にふと今回の記事を思いつきました。(ちなみに管理人は前述のプロフェッショナル、SMAP×SMAPの5人旅やシングル50曲ノンストップメドレー、ビストロSMAP傑作選や最終回などを録画しており、今でもたまに観たりしています)。

 もうこのブログを始めた時期だったと思うけど、何年も前に、目当てのCDを探すついでにSMAPの持っていない音源もコンプリートしようということで、たくさんのリサイクルショップを巡っては中古の棚やワゴンを眺め、持っていないアルバムやシングルを買い漁った日々を思い出します。まさかこんな風に役立つ(?)日が来るとは。

 で、管理人はエイプリルフールに何か嘘に絡めた記事を書くことはもうしないようにしているんですが、こんな「嘘みたいな企画」は、どうせならその日にアップロードしよう、ということで、今回このような運びになりました。いや、このブログの普段の方針にカスリもしない方向性の超絶自己満足だし、全く求められていないことは理解しています。ほとんど読まれないのも覚悟の上です。でも書いていて大変だったけどめちゃくちゃ楽しかった!(笑)。

 とはいえ、死ぬほど長い記事になりそうなのは予想がつき、かなり急ぎ&粗雑に走り書きしたので、言い足りないことや間違いもあるかも知れませんが、大目にみてやってください。いつの日か、SMAPが5人で…いや6人で!再集結するようなことがあれば、過去の楽曲やCDを振り返りたくなるかも。そんな奇跡が起き、その時にこの記事が何かしらの参考や暇つぶし的な読み物になる日が来ることを祈って。来年は嵐をやります!(嘘)