ドイツ出身のインダストリアルバンドの編集盤(2008年)。
シングル盤等に収録されたアルバム未収録曲をかき集め2枚組でパッケージングした『Extra』シリーズ。その全3作の第一弾である本作は、古くは1986年の音源から始まり、1992年作『Money』までを収録。楽曲は年代順で機械的にただ羅列されるのみとカタログ的なアイテムであり、そのため同じ楽曲のバージョン違いが何曲も続いたりもするので、その辺りには割り切りが必要。しかしそんな『Extra』の中でも本作のDisc-1は重複部分が少なく、初期の代表曲が偶然にも綺麗に並んでいる上に、シングル盤以外からのレア曲も幾つか入っているということもあり、アーリーベストのようにも聴けるなかなか優秀な一枚に。セールス全盛期の華やかな楽曲に比べるとぽっかりと穴が開いたような物足りなさもあるけど、この時期ならではのタイトで緻密かつ実験色強めのEBMや、それがダブやファンクの要素を取り入れながらインダストリアルロックとして形作られていく様が楽しめるし、また音質の向上により細かい音の絡みもはっきりと、しかも2008年ver.といった感じで迫力十分で聴けるのが大変嬉しい。元が古いので特にその恩恵は大きそう。Disc-2はアルバム初収録のシングル曲「Split」近辺も網羅しているのも有り難い。曲により艶やかさが出てきた頃だけど、『Money』原曲を大破壊したスラッシュメタル化の別mixがまた素晴らしい!さすがに本作をKMFDMの入門とかには勧められないけど(当たり前)、アルバム収録ver.と全然違って新鮮に聴ける曲も多いし、オリジナル作品をひと通り聴いたけどまだ掘りたい!というような濃いめのリスナーにぴったりの一作。
最初にも書いた通り、この『Extra』シリーズはVol. 3までリリースされているのですが、管理人は最初は重複が比較的少なめで、レア曲集として最も意義がありそうなこの「Vol. 1」しか手を出しませんでした。「Vol. 2」の収録曲リストとか見てみると、同じ曲がずらずらっと3~4曲とか、Disc-2に至っては9曲とか並んでるんだもの!さすがにそれは敬遠しちゃう。…しかし管理人にとってKMFDMは大好きなのはもちろん数少ない収集癖のあるバンドだし、スルーしたままだとなんやかんやいつまでも気になってしまうので、結局あとから「Vol. 2」も「Vol. 3」も入手しちゃいました。というわけで、次回へつづく(たぶん)。