MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

河村隆一 アルバムヒストリー 1997-2021

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出典:RYUICHI KAWAMURA Official Website https://www.kawamura-fc.com/

 

 突然ですが、1年ぶりの読んで字の如くな長編企画です。河村隆一の全アルバム(たぶん)プチ紹介記事をお送りします。長いので少しずつでも読んで頂けると幸いです。では、どうぞ!

 

 

 シングル「Glass」のロングヒット中にリリースされた1stミニ。シングル収録こそないものの最終的にはこの時点でLUNA SEAを超えるセールスに到達。一聴した瞬間一気に別世界へ連れていく濃厚なボーカルは、持ち前の歌唱力と相まって既に完成されている。作風的には「Love」の前身のような一枚で、短めのボリューム、ポップな曲の間に挟まれるシリアスめの曲、タイトル通りデモ曲をそのまんま収録した「DEMO」といった試みもあってそれ程クドくもならず聴き通せるし、ここだけの独自の世界というのものも案外キッチリと出来上がっている。後々から振り返ってみると、実は彼の、特に初期の頃の "核" となるものが最も顕著に表れた作品と言えるかも。

 

 ヒットシングル4曲に加え、前作より1曲、提供曲のセルフカバー5曲、「DEMO」の完成版(のライブテイク)など盛り沢山の1stフル。当時の多作・多方面の活動の軌跡が詰め込まれているし、元より確かな実力と一定の人気のあるところから始まり、翌年にはLUNA SEAの再開も決まっていたため、ソロ1作目というより "1997年の集大成" という特別感の強い一作。アコースティックを下地にした包容力豊かなサウンドと、ナルシシズム全開で自信に満ち溢れた歌からは無敵のオーラを漂わせており、お茶の間レベルで世間を席巻したことで最終的に278万枚という男性ソロ歴代1位の売上記録を樹立。これは現在も破られていない。今改めて聴いても他の追随を許さない存在感をもつ名盤だと思える。

 

 LUNA SEAの終幕を挟み約4年ぶりとなる2nd。ソロ歌手としての本当の意味での始まりとも言える本作だけど、内容は複数のシングル曲、提供6曲のセルフカバー(うち1つはライブテイク)という2001年の活動の集大成的な構造で、当時なりに前作の再現を目指したような形。しかしどの曲もやけにキラキラとしていてポップではあるけど引っかかりが薄い。歌い方も、モノマネ等で強調されていたようなアクの強さが(意識してかは知らないけど)薄まっている印象。大衆的であることを念頭に置きすぎた感があるし、当時のメディア露出の方向性の影響もあってか売上もさほど伸びなかった。しかし今になって振り返ると、全作品の中でも突き抜けたポップ感という独自の魅力も貴重なもの。

 

 2ndミニ。自身の初主演映画「ピカレスク 人間失格」と演じた太宰治の生涯にインスパイアされ制作されたコンセプト性の強い作品。モノクロのジャケや黒いCD盤面からも伝わるダークさ、それ以上に静謐で温もりのある曲、丁寧かつドラマティックな歌など、そのどれもが過去にない新鮮な響きでコンパクトな尺でまとまりもあり聴きやすい。アレンジがアレンジならLUNA SEAで披露しても違和感のなさそうな「So Deep」、最もポップながら作品に沿った色合いの「うたかた」、太宰治の "解放" を彼なりに最大限表現した壮大な「Stop the time forever」など名曲だらけ。個人的には初聴時の衝撃も大きく、彼の作品の中でも未だに1、2を争うくらい好き。未聴の方は興味あらば是非!

 

 初のベスト盤。2001年までの全シングル9曲+1stミニのリード曲「SE, TSU, NA」+最新シングル曲「Sugar Lady」のバラード版を収録。活動期間としても実質約2年強とタイミング的には早いし、内容もほぼシングル曲を並べただけで全11曲と、これをベスト盤と呼ぶのもちょっと早計な気はする。「シングル集」なら分かるんだけど、それにしたってフルアルバム2枚を手に取ればほぼ揃うわけで。あえて言うなら彼が積極的にメディア露出していた頃のヒット曲 "だけ" をまとめて聴ければそれでいい、という向きには簡潔で適しているか。しかし、彼の歌手活動は今後も順調に続くのに対し驚くことにベスト盤の類は一切リリースされていないので、実は現状唯一のベスト盤でもある。

 

 バラードベスト。タイミング的には前ベスト盤より約1年半後、レコード会社の移籍&新アルバムで再び積極的なメディア展開をしていた頃に、前レコ会社の総決算的な形で発売。彼の代名詞の一つでもある濃厚なバラードが集められ、シングル曲でないところにも当然ながらスポットを当て、「人間失格」の「Stom the time~」や、8cmシングルでしか聴けなかったウットリ系バラード「CIELO」など(非公認くさい作品ながら)割としっかりと選曲されている感はある。ただ「Sugar Lady」のバラード版をこちらにも入れるならベスト盤の方は普通ver.を入れてほしかった(結果アルバム未収録になってしまった)。彼が歌うバラードの良さ(と濃さ)を思う存分堪能できる一品。

 

 ビクターからコロムビアへの移籍第1弾・通算3作目のフル。本作以降、今に至るまで制作の共同作業者となり共にTourbillonも結成するなど、相棒的な存在となる葉山拓亮と初めてタッグを組み心機一転。これまで恐らく意図的に封じていたであろうギターメインのバンド体制を解禁し、J-Pop界の名だたる演奏陣が多数参加。程よくロック色が強まった小気味よくも贅沢なサウンドと生き生きとしたボーカルが印象的だし、社会的メッセージ性の強い曲・以前と違う気品をまとうラブソングなど全体のテーマや雰囲気もガラッと変化。「人間失格」はやはり変化球で本作こそがまさに新境地と呼ぶに相応しいリブート作と言え、個人的にも最高傑作レベルで好きだけどこの方向性は惜しくも本作限りに。

 

 初のカバーアルバム。当時のカバーブームへの彼なりの便乗回答といったところで、ファンであれば当然嬉しいアイテム。80年代を中心に、60~90年代と幅広い歌謡曲/J-Popの名曲がセレクト。全曲ラブソングというところ(多分)は彼のこだわりか。どの曲もバイオリン等の弦楽やアコギを中心とした音数の少ないアレンジに統一されボーカルがより際立つ上に、原曲へのリスペクトを強く感じさせるシリアスな歌声のため、ある意味で緊張感のある仕上がり。ブックレット上は他のカバー曲の並びと一線を引いた表記でLUNA SEA「I for You」セルフカバーもラストに収録。彼なりの謙遜なのかそれとも特別な扱いということなのか。ギター一本の弾き語り風でなかなか深みのある聴き心地。

 

 Tourbillonの活動を挟み、ソロのオリジナル作としては約3年ぶりとなる4th。ソロ10周年に合わせてアニバーサリー的に活動を再開し、Tourbillonの縁でいつもの葉山拓亮だけでなくINORANも1曲作編曲で参加。しかし再び積極的にメディア展開に打って出るわけでもなく、前作にて消化できなかった(恐らくロック方面の)制作意欲はTourbillonで発散した反動もあってかどちらかというと地味めの空気感。しかし余計なものを削ぎ落とし均したようなサウンドやスッキリとした歌い方は実に落ち着いて見えて、この良い意味での特別感の無さが、逆に彼の今のモードや余裕を表している。昔のようなマルチタレント路線ではなく歌手/音楽家としての真の再スタートに相応しい佳作。個人的にはかなり好き。

 

 10周年イヤーを締めくくるセルフカバー集+カバー集+ライブ映像集の3枚組企画盤。当時の最新シングル「Once Again」も収録。セルフカバーはほぼシングル曲でアレンジも原曲に忠実だが力が抜けさっぱりとした歌声で、歌い回しも一部手癖風に変えられ原曲との聴き比べが面白い。特に「Glass」の新展開が熱い!Disc-2のカバー集は今回90~00年代前半のJ-Popが多めに選曲され、アレンジや歌い方もややリラックスしておりLUNA SEAファン世代にはより馴染みがあろうものに。中でも「桜坂」は普段なかなかお目にかかれない全編低音ボイスな歌が聴ける。この頃になるともう熱心なリスナー以外には届いていなかっただろうけど、本作は性質上後追いでも入りやすく再入門にお勧め。

 

ピアノ

ピアノ

  • Nippon Columbia Co., Ltd.
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 オリジナルとしては約2年ぶりの5th。タイトル通りピアノがフィーチャーされ、コンセプトは "大人のバラード" 。バンド感やテンポ感のある楽曲も少なくないけど、そのどれもがギターレスもしくはギターの存在感が非常に薄めで、ピアノやストリングスを中心とした音作りと一段表現力を深めた歌声が心地よく、昔のように無理にヒット性を狙わず、ただ歌声や楽曲と向き合い静かに己を高めていく様が浮かぶようという意味ではコンセプト通りの印象は受ける。先行シングル「ヒロイン」での織田哲郎の起用にも驚いたし、和服のジャケや日本語のタイトル統一、「根付けの鈴」のように和楽器を用いる曲といった和への意識も感じられ、やや地味ながらも前後作とはまた違う聴き応えのある一枚。

 

Sora

Sora

  • アーティスト:河村隆一
  • エイベックストラックス
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 Tourbillonと同じエイベックスに移籍しての6th。前作より10カ月ぶりという短いスパンでのリリースだが、同年5月にLUNA SEAのREBOOTを控えていたせいもあるのかも。タイトルはそのまま "空" を指し、「高く舞い上がれ」「扉を開け」「放たれた」と歌う1曲目「大空の記憶」からして非常に解放感のある始まり。移籍に合わせて気持ちを新たにしたスタンスがそのまま音に現れたようでもあり、久々のタイアップシングル2曲ともポップソングとしての立ち方も素晴らしく、全体的にもアレンジの幅やチャレンジ面、聴き応えなど含め「VANILLA」辺りの作風と近年のモードが融合したような感覚で聴ける。久しぶりに根強いファン "以外" に向けても聴かせることに心を砕いた作品。

 

 クラシック/ジャズ/ポップスなど様々なジャンルの洋楽スタンダードのカバーアルバム。そのほとんどが一発録りで特にボーカルの録音にはかなり気を払ったとのこと。それだけに歌声のバリエーションもかつてない程に豊富で優しい声・太い声など自在に操り、曲によってはオペラ歌手のような領域にまで到達。これほどまでに異なる表情を見せるのかと驚かされ、自称する "歌手としての第1期黄金期"(!)の証明にも、また潔い作品タイトルにも偽りなしの作品。内容は格調も高く商売っ気も無いが、ほぼ日本語詞だしボリュームもあえて控えめにしたらしく敷居はそこまで高くない。「LUNA SEA」セルフカバー盤と発売日が非常に近く、同一人物が歌っているという事実にも改めて驚きを覚える。

 

Fantasia

Fantasia

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 「THE VOICE」からは3カ月ぶり、前オリジナルからは1年半ぶりの7th。LUNA SEAの本格的なREBOOT後初となる作品でもある。先行シングル「YO GA YONARA…」こそ震災の影響を微かに感じさせるが、アルバムの大部分はポップな聴き味でまとめられ、棘のないアレンジや匂い立つロマンチックは初期の作風とも共通するものがありどこか懐かしさも。しかし後半のLIV MOONとコラボした幻想的な「Symbolic Tower」、Tourbillon風のザラついたロック「Brain」、そして渾身のバラード「HANA」(名曲!)と続き終わる流れも近々の成果が上がっておりまた秀逸。改めて今現在の河村隆一の存在感を示すに相応しい作品。ただ、最終曲が異なる3種の複数商法はちょっとえげつない気もする。

 

The Voice 2

The Voice 2

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 4作目となるカバーアルバム。タイトルこそ洋カバー集だった前作の続編を思わせるが、内容は女性ボーカルのJ-Popヒット曲のカバーに初CD化のオリジナル2曲を忍ばせたもの。古くは「なごり雪」から最新はいきものがかりまで、情緒や懐かしさ、時代を彩ったヒット性の輝きを彼の歌声で改めて体験できる。近年でも特にフラットで癖のないボーカルやアコースティック中心ながら明るく響くバンドサウンドで、この時点までのカバー集4作の中でも最も構えず気軽に聴ける。ピアノバラード化した大名曲「Hello, Again~」、自身の過去曲でもここまでアッパーに弾けた曲はそうそう無かった点と上木彩矢のカバー(!)という点で二重に驚く「明日のために」といった幅もあり飽きずに聴ける一枚。

 

Life (HQCD+DVD)

Life (HQCD+DVD)

  • アーティスト:河村隆一
  • エイベックストラックス
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 現時点での最終リリースCDシングル曲を含む8th。それは久々に自身も出演した昼ドラ主題歌のバラードだったが、次のアルバムはロックに挑戦すると予告した通りの内容に。特にギターのアプローチに重点を置き、複数の著名プレイヤーに加えなんとSUGIZOINORANもギター/作編曲で1曲参加。また一部の楽曲では自らも演奏している。あくまでもバンド(LUNA SEA)とは違うロックを標榜しているが、年齢や経験を重ねた彼なりのロック観の表現が実に刺激的。一方で終盤にはバラードが連続するものの、その高い歌唱力や表現力を如何なく発揮する楽曲ばかりで聴いていて思わず息を呑む。ソングライター/シンガーの両面の充実が伺える作品。LUNA SEAファンには特に入りやすいかも。

 

Concept RRR  never fear

Concept RRR never fear

  • アーティスト:河村隆一
  • エイベックストラックス
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 「人間失格」以来となるミニアルバム3作目。"Rock" "Roots" "Ryuichi" で「RRR(トリプルアール)」というコンセプトが掲げられ "LUNA SEARYUICHI" を真っ向から意識した作品に。LUNA SEAでのREBOOT後初となるアルバム制作やツアーに触発された成果が素直に表現されており(当時なりの)LUNA SEAっぽい歌い方やその歌を覆うように鳴らされるバックのサウンドは、これまでも幾度か発表してきた "河村隆一流ロック" な曲とはまた一線を画す魅力を放つ。ほとんどの編曲は普段通り葉山拓亮のため劇的に変化したわけではないが、LUNA SEAファンであれば聴いて損はない一枚。特に「愛の唄」はSUGIZO編曲・真矢ドラムで、元は一度LUNA SEA用に曲出ししたという驚きの一曲。

 

Magic Hour

Magic Hour

  • アーティスト:河村隆一
  • エイベックストラックス
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 「RRR」より1年、フルアルバムとしては2年ぶりの9th。初めてシングルのない全曲新曲のフルとなり曲名が「Wisteria -ふじ-」「Promenade -散歩道-」のような型で統一。内容として "全編生楽器" "自身が60代になっても歌える大人のスタンダード" を目指したとのこと。一音一音までこだわり抜かれたような上質な音像やそれに呼応する滑らかな歌唱はブルーノートビルボードを意識したらしく、エンジニアの手腕もあり臨場感と説得力が抜群。ロック色の強かった近々の作品はあくまでも派生で本質はこちらだと言わんばかりに王道然としつつ「歌い方や歌いたいものが変わった」とする2007年頃からまた一つ曲がり角を迎えたような味わい、歌手以前に人間としての深みが漂う一作。

 

Colors of time

Colors of time

  • アーティスト:河村隆一
  • エイベックストラックス
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 1年ぶりとなる10th。曲名通り神が降臨するかのような「God's gift to man」、ベースの動きが印象的な「August」、文字通りギターリフから曲を起こした「Guitar Riff」、弦と篠笛で綴られるスリリングな全英詞「Colors of time」など、前作のスタンダードを土台に更にアイデアを膨らませ "大人のロック" を掲げた作品。地味な作風を "大人の~"  と誤魔化す訳でも、ただうるさめの音をロックと呼ぶ話でもなく。年齢や経験に沿った貫禄と余裕がクオリティに還元された有言実行の充実作。稼働中だったLUNA SEAに加え9年ぶりに再開したTourbillonも並行した制作は多忙を極めたと思われるが、変に差別化や意識をすることなく自然かつ大胆に今ソロで鳴らすべきロックを広義に形にしている。

 

Close to you

Close to you

  • VOX MUSIC
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 少し間が空き3年9カ月ぶりとなった11th。12thと同日発売であり、それどころか構想/制作はほぼ同時期に何と4作品が同時進行していた。本作は予てから "教会アルバム" と予告されており、ライフワーク化して久しい教会でのノーマイク・ノースピーカーライブにて過去配布された楽曲のバンドアレンジでの再録を軸としている。なのでいわゆる教会音楽風というものではない。しかしアナログ録音にこだわった柔らかさ・暖かさを感じる演奏は素朴さと上質さを高いレベルで両立し、特にローズピアノとサックスが牽引するムードで全体を強烈に統一。どの曲がというよりアルバム1枚で1曲という感覚で時間を贅沢に使って耳を委ねたい作品。なお本作より自主レーベルでの販路限定リリースに。

 

 11thと同日発売の12th。あちらが "教会アルバム" なのに対しこちらは "舞台アルバム" というコンセプトで、過去自身が出演した舞台などに提供した音楽を集めた作品とされる。ただしテンポ・キー・歌詞などあらゆる部分を一新し再録音したようで、殆どの聴き手にとっては全曲新曲と同義。聴いた感じだとピアノやストリングスを中心としたサウンドの上で多くの曲において女性ボーカルと積極的にコーラスや掛け合い等で絡むのが最大の特長で、前情報なしで聴いても舞台や演劇的なニュアンスを幾分想起させる点で異色作とも言える。一方で一部かなりロックに寄せた曲(というか「赤色の鏡」はプレ・LUNA SEAの領域)というアクセントもあり聴き味に厚みがあるのもまた魅力的。

 

BEAUTIFUL LIE

 7ヵ月ぶりとなる13th。前2作と同時期に制作されていた "提供曲アルバム" で、他者からの提供曲のみで構成。それも半数は "RYUICHIの人脈" というかLUNA SEAゆかりのロック畑の人選で、なおかつ先輩・盟友・後輩と世代も広くそれだけでも興味を引く。王道のバラードも多く全体の編曲がいつもの葉山拓亮ということもあり従来の作風と大きくかけ離れてはいないが、普段使わない言葉を意識したという詞作、提供者のこだわりと愛がクリティカルに出た「Whisper To Me」、故・足立祐二の生前最後のギタープレイを刻んだ「Moon Walker」など見るべき所も多い。提供者の面々に覚えのある人なら聴いて損のない意欲作。なお11~13thは完売により希少化していたが2021年より配信が開始された。

 

 

 以上です(ゼーハー)。突然の長編記事になりましたが、これは昨年4月1日公開のエイプリルフール風記事「SMAP「全アルバム」ミニレビュー&おすすめ紹介」の流れを汲む第2弾的な記事になります。もちろん、本来ならエイプリルフール的ネタとして4月1日に公開したかったんですが、3月下旬にちょっと色々あって執筆が止まってしまいまして。あーこれは間に合わないと判明した時点でのんびりペースにしチェンジしたらこんな時期になってしまいました(遅すぎ)。時期外れになってしまったけど、お蔵入りするのも惜しいので、4月中に間に合えばいいや精神で書き上げました。

 

 なぜ河村隆一なのか?というと、それは単純に好きだからというのもあるんですが、管理人にとってLUNA SEAというのは言うまでもなく人生を変えられた特別なアーティストの一つで、当然RYUICHIという存在も永遠のカリスマでありスターボーカリストでして。そしてここ数年の間に彼の身に起こった肺腺癌や声帯の静脈瘤の手術という出来事もあり、鉄人的なエピソードが目立つ彼の音楽活動、それどころか健康や命すら脅かされかねない状況に一時あったことで、改めてその認識を新たにし、彼の長く安定した活動も決して当たり前ではなく、大切に聴いていきたいという思いを強めたという流れがありました。

 その上で、圧倒的な存在のLUNA SEAはともかくとして、河村隆一としての活動はやはり注視している人や固定ファンにしかなかなか伝わっていないような感覚もあって。もちろん管理人もそれほど詳しくないライトリスナー側ではあるんですが、それでも河村隆一の音楽を好きな人間の一人として、自分にとっても良い振り返りとなる機会も兼ねつつ、アルバムヒストリーという形の記事を思い立ったという次第であります。この記事で彼のスタジオアルバムはたぶんほぼコンプリートしているはず。なんせ彼は、ソロ活動25周年を迎えているのに、かつてのヒット曲や積極的なメディア展開で世間を賑わせていた頃の「very best of songs...」「Dear...」以来20年以上もの間ベスト盤の類が出ていなかったりします。後から興味を持った人にとってはどのアルバムから聴けばいいんだろうという迷いが生じてもおかしくない。何か少しでも、そういったケースの一助になればいいなという思いもあります。カメラ目線でねちっこく愛を歌っているような大昔の彼のイメージで止まっているような人も少なくないかもしれないけど、年齢とともに進化をし、凄く上質な音楽を続けているというのは強調しておきたい! 

 近年の彼は、手術も成功し少しずつ従来の活動スタイルを取り戻している最中かと思われます(とはいえ先日は声帯の不調でライブが中止にも)。ソロでは11~13thアルバムと同時制作を公言していた "バラードアルバム" (バラードのオリジナル曲を集めた作品)もほぼ完成しているようで、もしかしたら近いうちに正式な発表があるかも(なんと2枚組の予定だとか)。そうなると彼の療養のために活動を休止しているLUNA SEAも、そう遠くないうちに再開されるかも?楽しみだけど、とはいえ決して無理をせず、いつまでも音楽活動を続けて多くの人を感動させてほしいところ。自分に大きな影響を与え青春を捧げた人物やバンドが、今の時代にもこうして現役であり続けているのは本当に有り難いし素敵なことだと実感します。

 

 なお、今回の記事も "ブログの普段のカラーと少し違う趣味をぶちまける場所" として書いていてめちゃくちゃ楽しかったけど、同時にめちゃくちゃ大変でもあったので(分かってたけど)、来年はどうするかな~と迷い中。嵐とか、INORANソロとか、最近復活した個人的超特別大好き好きバンドSOPHIAとか、候補だけは浮かぶんですが…(笑)。