MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Skold / The Undoing

The Undoing

The Undoing

  • アーティスト:Skold
  • Metropolis
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 スウェーデン出身のインダストリアルロックシーンのマルチミュージシャン/プロデューサー・Tim Skoldによるソロプロジェクトの3rdアルバム(2016年)。

 

 前作より約5年ものスパンが空いているけど、その間もリミックス、プロデュース、KMFDMへの参加やコラボアルバム制作など多方面で音楽活動は継続しており、なんならトラブルがあって2年ほど発売が延びたらしく、傍らに持ち続けていたソロへの意欲がようやく形になったという感じなのかも。グッとシンプルになったアートワークの意匠がまず印象的で、サウンドの方も大きく様変わりし、前作のギターアンサンブル重視の生音志向から一気にエレクトロ重視になりシンセ/打ち込みの配分を強化。エレキギターもほぼ全編きっちりと鳴っているけど、層作りやノイジーさの付加といった補助的な役割が先行。だからこそたまのギターソロが登場するとよりグッと来たりもしたり。当然というか彼のペンによる楽曲自体の雰囲気/持ち味は変わっておらず、哀愁強めの歌メロ・インダストリアルロックという根幹は据え置きだけど、要所でフックとなるリフやフレーズなどがそのままエレクトロニックに置き換えられたという感じで、その上で前作までに数曲あったような分かりやすいアグレッシブなスピードナンバーがなくなり、ダンス/テクノ/ダブステップにも手をかけたリズム主体のアプローチに重きが置かれています。これが色々な活動の成果なのかそれとも時流や嗜好の変化の影響なのかは分からないけど、クリエイティブの安定感と底上げに繋がることで本作を力作たらしめていると思います。

 

 

 今回の記事に合わせ、過去に書いた彼のソロアルバム1作目と2作目、また彼がかつて在籍し1993年に解散したヘヴィメタルバンド・Shotgun Messiahの中で唯一聴いたことのある3作目の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧下さい。