MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Adios

Adios

Adios

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの10thアルバム(1999年)。

 

 黄金期を含めここまで活動してきたメンバーラインナップでの最終作となったアルバム。大きなトピックとしては、前作より制作に参加した元Shotgun MessiahのTim Skoldが大半の楽曲にてボーカル/プログラミング/作曲を担当するなど全面的に協力。その主要な立ち位置や貢献度からしても、本作はもはや別名義──例えば「KMFDM feat. Skold」──でリリースしてもいいくらい。その分、Sascha Konietzkoと不仲だったと思われるEn Eschは隅に追いやられるような形になり、いよいよ本作をもってバンドの解散を迎えることに。そんな本作はタイトル通り解散が前提にあったのか、いくところまでいくぜ状態とも言える内容で、前作の方向性を強化し本格的にエレクトロニックサウンドを展開。ギターの存在感は相当に希薄、曲によってはゼロで、テクノ/ドラムンベース/ビッグビートといった音楽性を炸裂させています。しかしそれも熱量の入った音楽性の追求というよりは遊び心を伴った実験という感じで息苦しさは感じないし、一枚通して遊んだ分逆にやや画一的ではあるものの、大胆なオーケストレーションと進行する「D.I.Y.」やSkold節の哀愁が表出する「Today」、従来型のKMFDMらしさと融合した「That's All」といった秀逸な楽曲も華を添え、全体の聴き応えは相変わらずの安心・安定の一作。ロック/メタル寄りの音楽ではないことを事前にしっかりと理解していれば、インダストリアルロック好きでも十分すぎるほどに楽しめるかと。90年代のKMFDMはこれにて完結。