MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

葉月 "葬艶-FUNERAL-"

 lynch.のボーカリストによるソロアルバム(2020年)。

 

 もともとはバンド本隊のライブの中の "ピアノ1本で歌う" という1コーナーから派生し、やがて彼の単独公演として確立していった「奏艶」と題された活動があり、その集大成としてリリースされた作品。なのでファンにとっても「ついにソロデビュー!」というよりは、ぬるっと始まっていて気がついたら浸透したもの、みたいな感じ(かな?)。内容も過去の「奏艶」に基づいており、公演で披露したlynch.のセルフカバー・他アーティストのカバー・オリジナル曲という3要素での構成で、ピアノ/ストリングスを主体としたクラシカルな編成で統一。カバーの選曲は、自らのルーツである黒夢LUNA SEABUCK-TICK、昵懇のPay money To my Pain、実は楽曲制作にも影響を受けたというCocco柴咲コウといった、彼の嗜好や背景をストレートに反映した、同世代あたりには特に親しみやすいセレクト。荘厳さや流麗さだけでなく、重厚さや迫力が浮き立つような曲や、尺八や胡弓などの和楽器を取り入れた曲などを、彼の "艶" めいたボーカルによって見事に表現しています。「至上のゆりかご」の超ローボイスや「水鏡」の節回しも見所だし、セルフカバーの「PHOENIX」やPTPの「Another day comes」におけるシャウトを伴う歌唱は、原曲のラウドなサウンドとは方向を異にした音を背負いながらも、そこに引けを取らない激しさと熱量が込められ、ただのバラードアレンジなどに終わらない、まさに彼/本作ならではの仕上がり。活動歴20周年を迎え深みを増していく「葉月」の狙う世界観が見事に体をなし、魅入られた人の心をブチ抜く逸品。至高の闇属性オーケストラ!

 

 

 以上、当ブログの主なテーマとはほぼ関係ない完全趣味枠な記事でした。管理人が2020年に最も再生した(ことになるかもしれない)アルバムということでひとつ!lynch.に関する記事は他にも書いていますのでよろしければ合わせてどうぞ(めちゃ長いですが)。