大阪出身のロックバンドのコンピレーションアルバム(2003年)。
活動休止中に同時リリースされた3種のベストアルバムのうちの1枚で、休止前までの21作のシングルからアルバム初収録となるカップリング12曲を収録したもの。ごく個人的な話になってしまうけど、興味のあるアーティストの深みにハマっていくきっかけとしてカップリング曲っていうのは結構重要だったので、その一助として大変お世話になった作品でもあります。繊細なアコギの音色と疾走感が融合した「Brilliant Years」やファン人気が異様に高い「I'm so happy」といった初期ラルクの幻想性が蔓延する前半を経て、ファンキーでダンサブルな曲調とhydeのフェイク?スキャット?が印象的な「THE GHOST IN MY ROOM」やacid android用の曲をラルクで演っちゃいました感のある超ダウナー&ノイジーな「a swell in the sun」など、都会的なニューウェイブ色や実験性の強さが目立つ後半へ繋がるように、彼らの打って変わる音楽性がギュッと濃縮されているのが特徴であり魅力。偶然だろうけどhyde作曲曲の割合が多く、彼らの楽曲でもhyde曲に特に相性を感じる自分としてはそれもまた好みのポイント。ただ改めて聴くと、作曲者に関わらずyukihiro加入後の楽曲は彼の技術やセンスがかなり介入しており、鍵となっていることがよく分かります。しかし…彼らのリリースラッシュ時期に乱発されたリミックス曲や、いくら映画使用曲とはいえ1分ほどのインスト曲「hole」まで入れたのはちょっと余計だった気がしなくもない(笑)。ともあれ、ちょっとしたバンドの歴史と他のアルバムとは一味違うカラーを同時に楽しめる良盤として、今も昔も結構なお気に入りでよく聴いています。今となっては彼らの「カップリングだけの曲」っていうのも貴重だしね。
こちらは唯一のリミックスアルバム(2000年)。紹介の順番が前後しちゃうけど、本作は活動休止前、8thアルバム『REAL』や初の4大ドームツアーを控えた人気の絶頂期にリリースされたもの。yukihiro加入後しばらく後に、矢継ぎ早にリリースされるシングルのカップリングに彼の手によるラルクの既存曲のリミックスが収録されるのが恒例になり、その音源を集めたもの━━ではなく、その再リミックス曲や新規リミックス曲などをまとめ、トラックダウンや全体のプロデュースまでyukihiro自らが手がけるという力の入った作品。他のメンバーはほぼ関与していないという点でも実にソロ色が強いと言えます。
しかし、リリース当時の頃の自分はリミックス曲というものに免疫がなかったし、上の方でも書いた通りカップリング曲も楽しみにしていたので、このリミックス曲がカップリング曲のポジションに置き換わるという現象はあまり好意的に見ていませんでした。つーか、ぶっちゃけ残念とすら思った。なのである意味でそんな苦い記憶の象徴(すいません)でもあるこのアルバムももちろん発売当時に知ってはいたけど、そういう気持ちもあって手に取ったのは確か何年か後だったりしたっけな。それでも、初めて一通り聴いたときはやっぱりピンと来なくてしばらく寝かせたりしたような。
で、yukihiroの嗜好や実績をより深く知り、電子音楽にも以前よりもちょっとは慣れ親しんだ耳で改めて聴き直すと…あれ、聴けちゃうな(現金)。どの楽曲も、基本的にテクノ/エレクトロニカ、ダブ/トリップホップなど、J-Popではあまりお目に掛かれないような同時代的でオルタナティブなエレクトロ/ループミュージックと接続され、本来の楽曲の持つ耽美や退廃といった陰影の部分を増強しながら再構築されています。元々の選曲が割と癖強で揃ってたせいか存外違和感は少ないし、混沌としたノイズシンセポップになった「fate (everybody knows but god mix)」や酩酊した世界を彷徨っているような不思議な浮遊感をもたらすアンビエントハウス「metropolis (android goes to be a deep sleep mix)」、元の曲の構造が複雑なため面影を無視しリメイクしたインダストリアルドラムンベースな「浸食 〜lose control〜 (ectoborn mix)」など、原曲と距離のあるリミックス曲がまた良質で個人的にかなり発見でした。とはいえ、全体的にはあのtetsuyaのウネウネ動き回るベースの代わりに無表情な低音がずーっと続くので単調なところはとことん単調だし、なまじバックが本格的なだけに、hydeの歌声があまり加工されていない曲なんかはちょっと中途半端に聴こえちゃうかも。そういうところに目を瞑れば、今聴いても楽しめる耐用年数の高さが伺えます。このカップリングというポジションでyukihiroの存在と嗜好を印象づける場としたのだろうし、それがあったからハイペースなヒットシングルのリリースが可能になり一気にスターダムに駆け上がったのだと思うと、やはり必要な企画だったのだろうと思えます。たぶん。
というわけで、カップリングという観点から見たL'Arc~en~Cielの隠れた良盤?とも言える2作のご紹介でした。yukihiroの手腕によるところも大きいけど、ニューウェイブやインダストリアルロックというジャンル感との普段以上の接点も感じさせる作品だとも思います。管理人は彼らのアルバムの中で『heavenly』が一番好きで(過去何度か言ってきたけど、これひょっとしたら最も少数派なのでは?と勝手に思っている)、彼らのカップリングベストはそれに負けず劣らずよく聴いてきた思い入れのある大好きな一枚でもあります。
今回の記事に合わせ、yukihiroがL'Arc~en~CIel以前に在籍していたバンド・DIE IN CRIESの1st・2ndアルバム、またDIE IN CRIESに合流する前に室姫深と結成していたOPTIC NERVEのアルバムの紹介記事の文章を少し見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。

