MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Xtort

Xtort

Xtort

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの8thアルバム(1996年)。

 

 バンドの中心人物の一人でもあったEn Eschはごく一部に関与するのみになり、前作にて久々にバンドへ復帰しタッグを組んだRaymond Wattsも自身のPIGに集中するために離脱と、Sascha Konietzko主導となって制作された作品。その代わりに助っ人的なゲストやスタジオミュージシャンが大勢招聘され、前作をゆうに超える大部隊がクレジットされています。その中にはMinistryなど界隈で広く活躍するChris Connellyや、1989年以来の参加となった元Einstürzende NeubautenのFM Einheitといった著名な人物も名を連ねています。一方で、作品が志向するサウンドはより絞られたものになり、前作の成功の単純な延長にはない、足し算で豪華にしていくだけが全てではないと言わんばかり。彼ららしいスラッシーなインダストリアルロック、ホーンセクションや女性コーラスを重用するソウルフルなインダストリアルダンスという特色はそのままに、シンプルに削ぎ落とした音数/フレーズや今までにあまり見られなかったような仕掛けが目立ち、実験的な要素を惜しみなく織り交ぜながらも一本筋の通った内容でまとめられています。捻くれてはいるけど難解さはなく、彼ららしいユニークさや小気味よいノリがしっかりと感じられじわじわと惹き込まれます。FM Einheitの打撃音サンプリングとナレーションで進行する「Dogma」は顕著で、一聴すると地味だけど凄くクールな一曲!またシングル曲「Power」や「Son Of A Gun」といった従来路線の新たな代表曲クラスの名曲の存在も大きく、総体としては名盤と名高い前作「Nihil」に肩を並べる傑作とされているのも納得の一枚。