MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Stabbing Westward "Wither Blister Burn & Peel"

 アメリカ/イリノイ出身のオルタナティブメタル/インダストリアルロックバンドの2ndアルバム(1996年)。

 

 ゴールドディスクを獲得した彼らの出世作。前作からドラマーが交代、また作曲の大部分に関与していたギタリスト・Stuart Zechmanも脱退し、その穴を新たなメンバーではなく既存メンバーで埋めながら制作されたらしく、その際にソングライティングの大きな柱となったのは、新ドラマーでありThe The やNin Inch Nailsなどにも参加経験のあるAndy Kubiszewskiとのこと。その影響かは分からないけど、どことなくギターの音色が荒々しくなっているし、またそれだけでなく、バンド全体の音がグッとアグレッシブになっています。しかしデジタル/プログラミング要素の方も後退はぜず、打ち出す楽曲の世界に的確に味つけをするように、メリハリをつけながらより強調。その合わせ技の結果、緊張感や悲しみを帯びた雰囲気が底上げされ、バンドの個性もより際立ったのではないかなと。特にそれが顕著なヒットシングル曲「What Do I Have To Do?」は、映画的というか映像的な曲展開が秀逸で胸を打たれました。ちょっとくぐもったような音質や音作りだった前作も、薄暗い闇をイメージさせる彼らの雰囲気とマッチしてはいたのだけど、順当な進化を感じさせる今作の方が好き。ソングライターが代わった割には、彼らの特徴である哀愁とインパクトが同居するメロディラインも健在だし。1曲単位での静と動の落差の演出や、全体的にちょっとスローな曲が多いところなんかは、まだ発展途上というか好みが分かれるところかも知れないけど、これもまた彼らだと言わしめる個性でもあります。