今年~も穏やかに終わりを告げたね~ 彩られた記憶に寄せて~
…というわけで、今年のお気に入り新譜のご紹介になります。
イタリアのトラップメタル/エレクトロニックプロジェクトの2nd。秒で一目惚れしてしまった前作との出会いで期待値とハードルが上がっていたけどしっかりと超えてきてニッコリ。ルーツや好きなものやアピール材料などを詰め込んだ発射台のような前作を踏襲しながらも、Linkin ParkのMike Shinodaを始め更に広がったコラボの追い風を武器に一歩先へ進まんとする気概、エゴと地盤固めが色濃く出た盤石の一枚。
Becko - Darkest Days (Produced by Mike Shinoda) [Official Music Video] - YouTube
ドイツのメタルバンドの8th。10年振りだった前作から3年振りと早く感じるリリースがまず有り難い。意味深なテーマもオープニングからの流れにもどこか漂う時代/世相を反映するかのような感傷。これぞRammsteinと諸手を挙げたくなる遊び心に満ちた山場。そしてエンディングへ突き抜けていく激情。いくら掻き分けても薄れることのない濃密さ、重ねた年輪による確固たる説得力は他の追随を許さない!
Rammstein - Angst (Official Video) - YouTube
ノルウェーのオルタナティブロック/インダストリアルロックユニットの1st。トリップホップ、エレクトロニカ、インダストリアルロックといった要素を孕む陶然としたサウンドの切れ味と揺らぎ、そこに乗せられる淡雪のような女性ボーカルと融解していくようなメロディの響き。穏やかなのかそれとも危険なのか、はたまた両方なのかと迷わせる温度感の絶妙な加減がたまらなくツボでした。
オーストリアのチップチューン/シンセウェイブプロジェクトの1st?。なんと基本的に全編ゲームボーイの音源のみで構築された8bitインダストリアルテクノ。そして曲タイトルは超メジャーなインダストリアルバンド/曲名とスーパーマリオネタの合体パロディ。尖った要素しかない!聴く人が聴けば一刀両断モノかも知れないけど、個人的には何だか妙に引っかかるものがありました。お勧めはしません。
divmod - boo hast (chiptune / 8bit / electro-industrial) - YouTube
上田剛士によるソロプロジェクトのコンセプト作。昨年に限定販売、今年一般販売。管理人はMADもAA=もライトリスナーなりに楽しませてもらっているんですが、今作はパンデミックの影響とそれをテーマに、初めてライブを意識せず作られたという異質の作品に。物語的に綴られていく世界観と、寒々しい真冬の深い霧に迷い込んだような音像が却って何だか妙に惹き込まれました。
AA= - BORDER(Official Live Video from『LIVE from story of Suite #19』) - YouTube
Justin Broadrickによる新名義での作品。JK Flesh用に制作しつつも方向性がそぐわなかった楽曲がまとめられた、一種の気まぐれのようなリリース作品とのこと。しかし本線にも全く引けをとらない凄まじい内容で、初期JK Fleshを思わせるビートノイズと押し潰されそうなほどの過重力を思わせる重低音の層はまるで "電子化されたGreymachine" とでも言えそうな領域。JK Fleshでのリリースもあったのに多作&多彩すぎ。
ドイツのインダストリアルバンドの22nd。ロック色強めにギアを入れ直した前作の順当なフォローアップで、軽快さとユーモアと毒を併せ持つ彼ららしさ、新しい風を少しずつ入れ替えながらもユニークさに溢れる音楽を毎作のように届けてくれる信頼度は今回も安定の一言。高速メタルやドラムンベース、カントリーヨーデルにヒップホップにレゲエと忙しない。慣例のダサ格好いいジャケットも安心しますね(謎)。大好きだ。
Die KruppsのメンバーによるEBM/シンセポッププロジェクトの1st。Die Kruppsでは使えないアイデアを表現するための新名義とのことだけど、言っても今のDie Kruppsの自由度とアベレージは相当なものだろうに、なんて思って聴いてみたら納得。重厚かつ確信的に鳴らされる完全ギターレスのレトロフューチャーなエレクトロサウンドがKrupps節と相まってベタだけど最高。Kraftwerk meets Nitzer Ebbという感じ?
DIE ROBO SAPIENS - Tanz Mit Dem Roboter (feat. JG And The Robots) - YouTube
LUNA SEAのギタリストの編集盤。これまでにリリースされた全シングル曲を順番に収めた3枚組。しかしそれが彼の統一感のない多彩な音楽嗜好、変遷、背景、もっと言えば生き様すらもを刻み込んだヒストリー盤としてまさに最強のものに。彼の主な活動として今年は他にもSUGIZO × HATAKEN名義やSHAG名義でのリリースもあったしどれも良かったけど、個人的には今作の特別感に軍配。待ち望んだ一作。パロディジャケも面白い。
SUGIZO / MESSIAH - from STAIRWAY to The FLOWER OF LIFE (Official) - YouTube
アメリカのドローンメタル/ドゥームメタルプロジェクトの7th。昔の作品を1枚聴いたことがある程度だったんですが割と印象には残っていて、ふと最新作を聴いてみたらめちゃくちゃ良くてビックリ。お手製のマシンから生み出される機械/荒廃的なドローンノイズだけでなく、無情のシンセや鈍色のマシンビートと慟哭の歌による世界観の遷移と浸透力が凄い。特にToolのメンバーが参加した楽曲は個人的にJesuの「Man/Woman」にも比肩する神曲発見!とガッツポーズ。
AUTHOR & PUNISHER - Drone Carrying Dread (Official Music Video) - YouTube
以上、発売日順&特にお気に入りの一枚でした。
今年は他にもインダストリアルロック界のベテラン勢であるFear Factory、Celldweller、PIG、Skold、Stabbing Westwardらが新作、リイシュー、リミックスなど良作を出しているし、KOTOKOのオール電波ソングアルバムという爆弾もあったし、最近Devin Townsendを集中的に聴き返しているので彼の新作もかなり響いたりもしたんですが、今の気分で選ぶとこんな感じに。まぁ別に順位づけをしているわけでもないので10枚にこだわる必要もないんですが面倒で恒例なので。自分の好みの根本である「キャッチーなインダストリアルロック」の最たるものを必ずしも優先していないところが自分でも少し意外であり、それも含めて今年の自分なりの出会いだったのかなと。
一方、今年再生したアーティストの上位はこんな感じに…って、この報告別に要らないんじゃないかってくらい毎年ブログの方向性と乖離してますね。 やたらGLAYをヘビロテする日々、その中で自分の人生の中で最も特別なバンドであるSOPHIAやFtCの復活によるマイブーム再燃、V6やTOKIOは解散や脱退のロスを癒すリピート…という感じ。
音楽鑑賞に歌詞をあまり重要視しない管理人ですが、GLAYは最も歌詞が好きなアーティストの一つだったりします。人生2周目かってくらい老成したTAKUROの筆致はセールス全盛期をリアルタイムで追っていた頃も刺さり、年齢を重ねた今も最近の作品含め更に染みるようになったりで。題材や言い回しが自分の人生観にフィットするというか、彼が書いたものであれば「昨日食べたカレーが辛かった」とかそういうテーマでもめちゃくちゃ自分好みな歌詞を書いてくれそうな気がするのです(笑)。
V6はかつてSMAPやTOKIOほど熱心ではなかったけど、細かく追いかけてみると優良なJ-Pop/アイドルポップをずっと続けていたんだなと再確認。何だか今年は何か癒されたいモードだったのかも。
↓以下、音楽と関係ない話
今年一番ハマったゲームと言えばこれをおいて他にないですね。任天堂とモノリスソフトが送る名作RPG「ゼノブレイド」シリーズの最新作。管理人はかつてWiiで発売された同作の「1」をリアルタイムで遊んだときにRPGの価値観がひっくり返るほどの感銘を受けて以来大ファンになってしまい、Switchの「2」も楽しんで、そこから約4年を経て本作が発表されたときは飛び上がって喜びました。しかも "「1」と「2」の世界を繋ぎ未来へ旅立たせる新たな物語" という意味深な世界設定までも…!とはいえ、管理人の悪い癖というか、じっくりと浸り噛みしめる亀の歩みのようなペースのプレイが災いし、発売から数カ月経つのに未だにクリアには至っていません。が、シリーズの特長でもある「他にない舞台設定とオープンフィールドで表現される広大な世界」「やや複雑ながらも戦略的に戦えるシームレス・リアルタイムバトル」「ストーリー展開の高度な演出と丁寧なキャラクター描写」「名曲ぞろいの音楽」という点は本作でも健在。シリーズを重ねているだけにあらゆる部分がブラッシュアップされており、特に本作では導線の自然さや丁寧さ、「1」と「2」の要素のゲームの設定/世界観レベルでの様々な "融合" (本作のテーマでもある)、6人の主人公を始め多種多様で魅力的なキャラクターと、途中まで遊んだ部分から感じ取れるだけでも十分に本作の面白さ、作り込みの凄さ、底の見えなさが恐ろしいほどに感じられます。国内でも人気を着実に伸ばしているシリーズだけど海外でも好評で、ゲームの世界的祭典「The Game Awards 2022」にもノミネートされました。素晴らしい!クリアしたらきっと「1」「2」と同等に忘れられないRPG体験になりそう。来年も遊びたい新作ゲーム&積みゲー目白押しなので、近々ちょっと力入れてプレイ中。とはいえ、やり込みやDLCまで含めるとまだまだ先は長そうです(嬉しい悲鳴)。
終わりに。
「ブログで書きたいことに一区切りついた」とか「終活メンタル」とかをここ1年(もっと?)くらい言いつつも、過去記事の修正という自己満足を優先しながら、今年もまったりとしたペースで更新を続けてこれました。辞める辞める詐欺をしているつもりはないですが、どうしたって音楽は日々聴くし、インターネットも接する時間や範囲は個人的に減少傾向気味ながらも完全にやめることはないと思うので(最低でもニュース閲覧とか買い物で使うし)、この2つが結びついた自分なりの表現の場であるこのブログは、何か決心に至らない限りは別に無理に閉じる必要もないのかな、という風に今は考えています。決して規模を大きくしたい訳ではないですが(というかしたくても出来ないですが)、裏通りの隠れ家のお店のような、少数の常連さんやごく稀に来る一見さんに細く長く受け入れてもらえるような存在を目指して、例え更新が今より更に減ったとしても、それでも密かにゆるっとやっていけたらそれでいいかなと。このサブスク・SNS・動画サイト全盛時代に自分のやっていることはとっくに旧時代的だとは思うのだけど、個人サイト全盛時代の生き残り的なメンタルが根本にあるし、やっぱり運営の動機は自己満足第一なので。そんな訳で、こんなところまで読んで下さる方々には本当に感謝しています。"もうちょっとだけ続くんじゃ" 精神でひとまず来年も今年と同じようなペースや方針を目標にするつもりなので、よろしくお願いします。
最近は何かと物価が値上がりして厳しい日々ですが、個人的な二大趣味である音楽とゲームに関してはそういう面での影響が現在のところあまり感じられず有り難い限りです。もちろん制作の内部的には色々と苦労もあるだろうし、品薄やライブの延期/中止などの問題は長らく深刻ですが。しかし例の感染症の感染者数も、減ってきたかと思ったらまた増えての繰り返しでなかなかしぶといながらも、それでも最近は行動制限も減りライブなんかも普通に行われるようになってきているし、このまま決して油断せず、来年も少しずつ世の中が前に進んでいくことを願っています。そして、どうか少しでも平和で穏やかな世界になりますよう。
と、ここまで書いてきてなんですが、来年は待ちに待った「ゼルダの伝説」の完全新作が5月に発売予定でして、そこからブログの更新が数カ月単位で滞っちゃうかもだけどご了承いただければ(ええー!?)。
というオチは置いておいて。 今年の更新はこれで最後になります。ご覧いただきありがとうございました。
よいお年を。