MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Steroid Maximus "¡Quilombo!"

Quilombo

Quilombo

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 Foetusとしても活動するオーストラリア出身のJG Thirlwellによるビッグバンド/インダストリアル/インストゥルメンタルプロジェクトの1stアルバム(1991年)。

 

 JG Thirlwellが当時のアーティスト活動に一旦区切りをつけたのか、精力的に活動をしていた1980年代から一転、1990年代に入ると新作のリリースが(一時的に)ほぼ途絶え、リミキサーやプロデューサーなどの裏方的な作業が活発に。そんな折、今までの「Foetus ○○○」という形ではない新規プロジェクトが始動。彼は元々インストゥルメンタルの楽曲の制作にも意欲的であらゆる所で聴けたけど、それ一本にフォーカスする場として新たに立ち上げたものらしいです。管理人はお恥ずかしいことに、インダストリアルロック聴き始めでFoetusやPIGを知りどんどんハマっていった頃、このSteroid Maximusを「FoetusとPIGのコラボユニット」と勘違いしウキウキで手にしたら、中身が想像と全然違う全編インストのビッグバンドなアルバムでズッコけたという痛い思い出があります(苦笑)。ボーカルもメタルギターも入ってないじゃん!ヘコー!という、当時の稚拙とも言える感性で受け止めてしまったわけですが(まぁ、この嗜好は今もほぼ変わってないですが…)、時間が経ち聴き直してみるとどうして。Foetus印と言わんばかりの暴力的なビート、ラウドに響くホーンセクション、不協和音的なピアノ、地鳴りのような背景音など、かなり混沌としたアンサンブルではあるものの、それが一つの規律によってアカデミックに鳴らされているような印象もあり、不思議な存在感を示します。数名のゲストが参加しており、PIGのRaymond Wattsと共作したタイトル曲も、インダストリアルラテンジャズとも言うべき期待通りのカラーが素晴らしい。強弱のついた全体の流れも良く、Foetusが好きなら見逃せないアルバムです。