BUCK-TICKのボーカリストによるソロプロジェクトのミニアルバム。
約11年ぶりとなった櫻井敦司のソロプロジェクトでありながらも、様々なアーティストから様々な楽曲の提供を受けた前回とは異なり、固定された5人編成のバンド形態という全く異なるフォーマットにて旗揚げされたもの。メンバーは村田有希生など前回のソロ活動にも何らかの形で参加した人物が名を連ね(ドラマー・秋山タカヒコのみ初対面だったとか)、基本的には信頼のおける顔見知りで結成したような形。そしてバンドは明確に「ゴシック」という方向性一本に振り切れており、前回のソロ活動で見せた一面の更なる追及、またはやりきれなかった部分への挑戦を思わせます。本作はオリジナル2曲にカバー3曲という構成で、Siouxsie & The Banshees「CITIES IN DUST」、The Damned「SHADOWS OF LOVE」、そしてタイトルにもなったBauhaus「Spirit」と界隈を代表する楽曲をカバー。前者2曲は櫻井敦司の訳詞によって日本語で歌われ、漆黒の世界がより鮮明に分かりやすく表現されています。こういった音楽が櫻井敦司のルーツなのはファンには周知の事実であっても、過去の活動でここまで直接的に表現した例は珍しく、またここでしか聴けないものなのでそれだけでも貴重。この1カ月後にフルアルバムが発売することから本作はあくまでも予告編的な位置づけだろうけど、カバー曲に負けない存在感を示すオリジナル2曲も含め、名刺代わりとしては十分すぎるほど十分な一枚。
合わせて読みたい…と書いちゃうと大げさですが、ソロ名義での2004年作「愛の惑星」の紹介記事をだいぶ前に書いていたので、リンクを貼っておきます(文章を見直してちょっとだけ整えました)。よろしければこちらもご覧ください。