BUCK-TICK / 十三階は月光

十三階は月光

十三階は月光

 

 5人組ロックバンドの14thアルバム。

 

 メンバーのソロ活動期間を挟み、約2年振りのリリース。「ゴシック」をテーマにしたコンセプトアルバムで、構成するすべての要素がその世界観を忠実に表現するために徹底されています。お家芸の打ち込み等を用いず、というかむしろクラシカルなアプローチへ邁進したバンドサウンド、独立した登場人物を主役に短編集のように物語を紡いでいく詞世界。それらが一体となり、インタールードの演出も含めた全18曲(!)というボリュームで、一篇の映画や演劇のようなフィクションの一大絵巻を描いています。もともと彼らの中には(昔のヨーロッパ的な)ゴシックが大きなルーツの一つとして存在し、過去にはそれを打ち出した楽曲もあったにせよ、今(当時)の力量と環境で全力でそのルーツに改めて向かい合うという活動の結果、逆にこのような異色とも言える作品が生まれたということなのかなと。もちろんただ重く暗いだけでなく、逆説的な闇やユーモアを感じさせる部分もあり、心地よく聴かせる手腕は流石の一言。とは言えその見事なまでの全体の統一感や重厚感はあまりにも隙がなく濃密で、従来のファンやリスナーに対しても好みを分ける面は否めない。しかし長年活動を続け一定の地位を築きながらも、これだけ挑戦的な作品を生み出すその姿勢には拍手を送りたいです。一部のファンは櫻井敦司のことを敬意を込めて「魔王」と呼ぶけど、まさに「降臨」という曲名どおり "魔王降臨" な一枚。