ベルギー出身のインダストリアルダンス/EBMユニットの5thアルバム(1991年)。
EBMというジャンルを代表するような前々作や前作の作風から雰囲気が変わり、全体的にダークな色合いを帯びています。ダンサブルなノリが完全に消失したわけではなく、リズム自体は踊れるものも多いけど、決してキャッチーとは言えないムードや表情のないボーカル、的確に牙を剥くサンプリングの効果もあって終始緊張感が張り詰めた感じになっているし、足元でうごめくようなミニマルなシンセベースの気持ち悪さが、まるで地面スレスレを低空飛行するかのようなグラウンダー感の演出も今までにない趣向で、同時に全体のインダストリアル度を大幅にアップ。今聴いてもパワーを感じます。ただその分ディープさも増しているというか、聴く人によって好みを大きく分けそうではあるけど、反復による麻薬的な快楽がもたらされるという持ち味は健在。個人的にも結構好きな一枚。ちなみに本作の国内盤の紹介文を布袋寅泰が書いているのは、この界隈では割と有名な話です。