MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

BUCK-TICK / 97BT99

97 BT 99

97 BT 99

 

 5人組ロックバンドの編集盤。

 

 彼らがMercury Recordsに在籍した1997~99年にリリースした音源の収録曲を時系列に沿ってそのまま並べたもので、10thアルバム「SEXY STREAM LINER」(以下:SSL)とその前後のシングルがまとめられています。メンバーが制作に関与していない編集盤の1つだけど、これが実はとても聴き応えがあり、捨て置けない名盤になっているのでした。内訳はDisc 1がシングル「ヒロイン」と「SSL」の収録曲を並べたもの、Disc 2がその後にリリースされた4枚のシングル収録曲を並べたもの。後者のシングル曲はオリジナルアルバムには未収録となっているのでお得で、しかもそこにはRaymond Watts(PIG)、Günter Schulz(KMFDM)、布袋寅泰、横山和俊らといった豪華な面々が参加し、それぞれの方向性で個性的かつマニアックなインダストリアル/ダブ/ハードコアテクノなどに走ったリミックス楽曲などもひしめいているし、オリジナル曲も「月世界」「My baby Japanese」「ASYLUM GARDEN」といった彼らのディープな部分を凝縮したような楽曲が多く、コアなリスナーやインダストリアル系のサウンドが好きなファンにはたまらない仕上がり。反対に1999年作は新たなポップサウンドへ出発しており、中でも「ミウ」は高い人気の名バラード。またそれらの楽曲は何の意図もなく放り込まれているのに、不思議とそれ自体で1つの作品のようにまとまりがあるのも面白く、Disc 2に関しては特に前衛的だったSSL期の延長と締めくくりを兼ねるかのような非常に興味深い一枚になっています。彼らは多数の編集盤がリリースされているけど、本作はテクノ/エレクトロ方面へのマニアックさが凝縮され、結果論ではあるけど完成度も非常に高く、(アルバムとしては)ここでしか聴けない曲も少なくない。かなりのお勧めの作品です。