MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Tommi Stumpff / Mich Kriegt Ihr Nicht (Back Up 1982-1985)

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 ドイツ出身のパンク/ニューウェイブバンドDer KFCのフロントマンTommi Stumpffによる編集盤。

 

 このアルバムはタイトル通りTommi Stumpffの1982~1985年のディスコグラフィから選出されたベストアルバム的な編集盤で、インダストリアル/EBMの視点から見ても非常に優れた作品です。序盤はシンセベース&ハンマービートの組み合わせにジャンクなメタルパーカッションをアクセントに置く薄いノイエ・ドイチェ・ヴェレのサウンドがそれなりにカッコいいんだけど、クラウトロックの巨匠Conny Plankと共に手がけた4曲目以降にて空気が一変。変則的なリズムが重なりつつ、時折強く硬質なビートが打ちつけられるリズムトラック。ボーカルは声を荒げエレクトロニックが不穏なムードを生み出し、要所でノイズが形を変えながら差し込まれる。80年代インダストリアル(ノイズ除く)の核ともなるファクターをハイレベルに磨き上げ、Einstürzende Neubautenの難解さやDAFの汗臭さといった強烈なカラーとはまた別のところでシンプルに組み上げられたそのサウンドは、まさに最高にスリリングなインダストリアルパンクス。飾り気も派手さもないけど敷居は決して高くなく、EBMのルーツとしても興味深く聴けます。入手困難品だけど「インダストリアルはメタル系しか聴かない」という人も含め、機会があれば是非とも一度聴いておきたいアルバムです。