MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Team Cybergeist "How To Destroy Something Beautiful"

How To Destroy Something Beautiful

How To Destroy Something Beautiful

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 DopeやGenitorturers等で活動するドラマー・Andrew "Angel" Bartolottaを中心としたインダストリアルメタルプロジェクトの1stアルバム(2009年)。

 

 かつてAngel Bartolottaが在籍した、もしくは制作に関与したバンドを始め、多方面から名うてのミュージシャン/プレイヤーを招聘した大規模なコラボレーションプロジェクト。参加する面々は、Virus (Dope)、David Vincent (Genitorturers)、Roy Mayorga (Soulfly)、Morgan Lander (Kittie)、Raymond Watts (PIG)、Nero Bellum (Pyclon Nine)、Jason C. Miller (Godhead)などなど…他にも書ききれないくらいの多さ。更には、ボーナストラックも含めると18曲にもなる本作の楽曲は、ほぼ全て彼自身が制作/アレンジを手掛けているとか。え、この人そんなに凄い人だったの?と、驚きとともに興味津々。その内容は、曲ごとに違う色でカッチリ作り上げ、それを1枚にまとめたオムニバス的な聴き味。教科書通りのポストインダストリアル、ニューメタル寄りの激しい曲、更に激しさを推し出したハードコア/エレクトロコア、FiXT系エレクトロニックロック、ハードEBM、エレクトロゴシックと曲ごとに微妙にバラバラ。しかも途中まで男女のボーカルが交互に並べられているために、余計にその印象は加速。それが悪いのかどうかは聴き手によるところが大きそうで、ぶっちゃけ一つの作品としてのまとまりやエゴ、伝わる世界観などは無いものの、基本的には全体を通してポップで明快な方向で貫いてはいるので、かつてのインダストリアルメタルブームが好きな人や、そっち系をよく知らない人の入門向けなんかに、カタログとか見本市的な感覚で聴く分には悪くはないかも知れないな、と個人的には思いました。「スーパーグループの作品は迷作多し」というこの界隈の通説(このネタ何回擦るねん)から多少身構えはしたけど、これはこれで一つの解かなと。

 

Klank "Still Suffering"

 アメリカ/ニューヨーク出身のDaren "Klank" Diolosaを中心としたインダストリアルメタルバンドの1stアルバム(1995年)。

 

 Klaytonを中心としたUSのインダストリアルロックプロジェクト・Circle Of Dustの制作やライブの一部に参加したギタリスト・Daren "Klank" Diolosaが、Circle Of Dustの1995年の活動休止及びライブメンバーの解散を受けて自身の活動を開始。次回作以降はバンド形態となるけど、今作時点ではソロプロジェクト状態で、Klaytonがプロデュースに留まらず一部演奏や制作等にも幅広く関わっており、全面的なバックアップの元に主に2人で作り上げたようです。という訳で、まず耳に飛び込んでくる音・曲はどこかSF風かつ無機質で、まさにCircle Of Dustのそれ。本家よりはメタリックなギターの存在感や重さに重点を置き、打ち込みながらもバンドグルーヴを再現しようとしているような趣も幾分感じます。かと思ったら、Daren "Klank" Diolosa主導の楽曲は、激しく切り込んでくるメタルリフとユニゾンするように連打されるキック、そしてアグレッシブな全体像がまんまFear Factory。どっちをやりたいんだよ!とツッコミを入れずにいられないこの二面性には思わず笑ってしまいます(笑)。よくよく聴き込むと比較的単調で、10曲しか入っていないのに最後は飽きてしまうのだけど、90年代インダストリアルロック/メタルが好きな人であれば、このコントラストをそこそこ楽しめるのでは。

 

I've / しょーとサーキットDS2

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 アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによる電波ソング集(2016年)。

 

 コミックマーケット91にて限定販売された新・電波ソング集の第二弾。ちょうど1年前の前作に引き続き、I've新人専属歌手の柚子乃 & RINAの固定ユニットにて "妄想" 全開の電波ワールドが展開されます。今作は北海道の同人音楽サークル・IOSYSがリミックスと楽曲制作で1曲ずつ参加。I'veの歌手とそれ以外の作家が絡むことは稀にあるけど、I've名義の作品に収録されることは相当珍しい…はず(多分)。前作の楽曲をフューチャーベース系に塗り替えた「Darlin'♥Darlin' ~ふたりのカノジョ~ (IOSYS TRAX Remix) 」がありがちなラストではなく2曲目に配置されたり、続く「悩んだときはバカヤロー!! -キュンキュン☆DIMENSION-」に至っては、UKハード調の押せ押せビート、突然のドヴォルザーク(だっけ?)のフレーズを引用しての転調、いい感じにIQ低そうな激甘萌えコーラスやラップパートなどが渾然一体となった超絶カオスな楽曲で、その並びは今作の印象を決定づけるくらいの強烈さ!逆に、I've作家の楽曲は8ビートロックやカチっとした歌ものトランスなど、電波ソング集に入れずとも普通に聴けそうな楽曲も混在。あえてバランスを取ったのかは分からないけど、6曲入りという小品ながらもベタな電波一色にならない、振り幅が軽く意識されたかのような一枚になっています。これはこれでアリかなと。

 


 久しぶりにI've関連CDの紹介記事を書いてみました。ブログの目標の1つでもあった川田まみの引退ベスト盤までの紹介記事を書き終えたところで自分の中で一区切りとしてお休みしていたけど、 "もうちょっとだけ続くんじゃ" 状態で約1年ぶりにプチ復活。川田まみ引退後の半分惰性でチェックしたI've作品をここから少しずつ紹介していくかもしれません。しないかもしれません(えっ)。今回は電波ソング集の作品になります。過去に書いた他の電波ソング集の紹介記事などもよろしければ合わせてご覧下さい。