MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

櫻井敦司 / 愛の惑星

 BUCK-TICKのボーカリストによるソロアルバム(2004年)。

 

 BUCK-TICKの各メンバーがソロ活動を行った年に発表された、彼の本格的なソロ活動作品としては初となるもの。自身はほぼ作詞と歌唱のみに専念し、楽曲は外部からの提供という形がとられています。提供者にはRaymond Watts(PIG)、J.G. Thirlwell(Foetus)、Bryan Black(Motor)、Ronny Moorings(Clan Of Xymox)、Robin Guthrie(Cocteau Twins)などインダストリアル/ニューウェイブのビッグネームを始め、岡村靖幸土屋昌巳など一人一人を挙げてもきりがないほどに国内外問わず様々な一流ミュージシャンが参加。そこから生み出される個性的な14の楽曲は、ゴシック/インダストリアルメタル/ミニマル/ビッグバンド/エレクトロ/ファンク/オルタナなどといった思い思いの方向性で、一口にロックと言ってもバンドサウンドですらない楽曲も決して少なくないくらいに雑多。しかしそれらを見事なまでに束ねているのは他ならぬ櫻井敦司の歌声で、その存在感や表現力で見事なまでに自らのものにし、圧倒的な説得力をもって一つの世界を完成させています。BUCK-TICKほどの分かりやすさは無いかも知れないけど、決して風化しないであろう強い芯を持ち、独自の耽美や退廃といった美学にも溢れた会心の一枚。何だろう、例えば全て自身の手による作詞作曲──みたいな "いかにもソロ" なタイプの作品ではないけれど、むしろこれぞ櫻井さんというか、彼以外の誰がこれら楽曲群を歌いきれよう、とすら思えます。BUCK-TICKファンのみならず、参加ミュージシャンのファンやコアな洋ロックリスナーでも聴き応えは十分なことでしょう。