- アーティスト: SPK
- 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
- 発売日: 1992/09/01
- メディア: CD
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オーストラリア出身のインダストリアル/ノイズユニットの1stアルバム(1980年)。
もう単純に狂気と悪夢が支配するアルバム。ハーシュノイズ、機械的なノイズ、電子音が擦れているようなノイズ、話声をサンプリングしたノイズ、耳障りな金切り音、打撃音/破壊音、うめき声/叫び声…一つ一つを取り上げれば不快感すら覚えかねないマテリアルを絶妙なコラージュで重ね合わせ、混沌とした音楽に変えています。ただ単にぶち込んでガーッと大音量で鳴らすだけというわけではない技の冴えがあり、その上でどこかマイペースで淡々としているところが更に不気味。ユニットの背景(精神病院の看護人とその患者とで結成されている)ありきで聴いているせいかも知れないけど、そこには作為的なものではない天然で真性の狂気があるような気がして、おぞましさすら感じます。これより後に発表された楽曲や作品に比べるとまだ若干プロトタイプのような未完成感もあるけど、そこが良さでもあるし、リズムがちゃんと機能して楽曲の体を成しているので、前衛的なだけのノイズミュージックとは違う確かな聴き応えがあります。そうは言ってもこの商業性の無さはかなり堪えるけど、その唯一無二の衝撃は、発表から実に30年以上経った今も色褪せてはいません。半ば勉強という動機ではあるけど、聴けて良かった。