カナダ出身のインダストリアル/EBMユニットの3rdアルバム(1993年)。
強烈なノイズを巧みに操り、EBMやアンビエントといった曲調/アプローチに独特の特性を付与するという彼らがもともと持ち得ていた個性がここにきて一気に研ぎ澄まされ、楽曲の完成度──というか不気味さや恐ろしさが格段にスケールアップ。楽曲単位、延いてはアルバム全体の流れにおいても緩急の付け方がより鮮烈になり、予測を裏切るようなノイズの重なりやグラデーション、痙攣を彷彿とさせるような突然の暴走ビート、曲中での意図的な流れの分断など、複雑な曲調や先の読めない展開をもって興味を引き寄せながら、聴き手の意識を作品の奥深くへ引きずり込んでいきます。一聴しただけだとボーカルや楽曲の勢いは前作以前から若干落ちたようにも思うけど、それはあくまでも表層的なもので、叙情的な深みや怨念めいた迫力を取り込み背筋が凍るかのような緊張感を醸し出すサウンドは、早くも円熟味すらも感じさせるほど。彼らは以前より評論家筋から「まるで悪夢のよう」という評価を得ていたし、過激すぎる歌詞が物議を醸したりもしたようだけど、ついにその本領がここにきて最大限発揮されたと言えるのではないかなと。個人的に初めて聴いたときの第一印象は「まるで騙し絵を見ているよう」でした。もう一つ例えるならば、80年代までのSkinny PuppyやMinistryのサウンドをバラバラに切り刻み、それをグチャグチャのまま継ぎ合わせたかのよう。それくらい異形で狂気的。それら先達の影響も当然あるのだろうけど、それを完全に自らの血肉と化して鋭く磨き抜き、このジャンルを代表する名盤と何ら見劣りしない作品を作り上げたことが驚嘆の一言。本作は間違いなくインダストリアル/EBMのマスターピースの一つでしょう。
