アメリカ・ワシントンD.C.出身のインダストリアルロック/EBMデュオの3rdアルバム(2004年)。
1997年に活動を休止した彼らが、2003年発のEPを経て約8年振りにリリースした作品。プロデュースには自身の他に、Acumen NationのメンバーやNitzer Ebb/Cubanateにも加入経験のあるJulian Beestonが名を連ねています。そんな本作、以前とあまり変わっていない…かに見えて、実は結構変わっているような。全体的には、音への執着やこだわりよりも楽曲主体になったというか、ギターとボーカルをサウンドの中心に据え新しい表現を模索している感じ。その分、実態としてはEBMともインダストリアルロックともつかないその狭間で揺れながら、比重の置き場に迷いが見られる印象も。ダンスパンク/ニューウェイブ、ビッグビート/テクノ、アンビエントや真っ当な歌モノタイプのミドル曲など、過去にないようなアプローチの楽曲も見られるのだけど、やや中途半端にも思え、どれも「彼らにしては新鮮」の域を出ていない節もあり、総合的な見せ方や突き抜け方が一歩足りない気がします。16voltの90年代末あたりの作品でも似た感想を持ったのだけど、90年代インダストリアルロックの衰退に対して、答えを出し切れていない感じ。ただ、プロデューサー間の意見の相違で内容が制作初期と大幅に変わったという証言もあり、その紆余曲折も含めた最適解をパッケージした作品と捉えれば、これはこれで一つの正解と言えそう。個々の楽曲はサラッと聴く分には悪くない完成度ではあるので、先入観やジャンルへのこだわりを持たない人であれば、割と入りやすい一枚かも。
なお、本作のプロデュースに関わったJulian Beestonは、2020年からFeaturedというコラボレーションプロジェクトを展開中。多数の女性ボーカリストを迎えた90年代インダストリアルロックリスペクトなアルバムをリリースしています。結構格好良いので、それ系の音が好きな方にはなかなかお勧め。聴いたら思わず笑顔になっちゃいますよ。
今回の記事に合わせ、過去に書いたChemlabの1st~2ndアルバムとコンピレーションアルバムの紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。
