MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

16volt 『Demography: The Basement Tapes』

Demography

Demography: The Basement Tapes

  • アーティスト:16 Volt
  • Cleopatra
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 アメリカ・オレゴン出身のEric Powellを中心としたインダストリアルロックバンドのコンピレーションアルバム(2000年)。

 

 彼らの1stアルバム以前の最初期の未発表音源などをまとめた編集盤。タイトルや副題から読み解くと、デモ音源やそれに近しい未完成のトラックをかき集めたもので、彼らが正式なCDデビューを果たす以前の制作の記録を拝める作品のようです。例えば1曲目の「Imitation」は彼らがRe-Constriction Recordsとの契約に至ったとされる楽曲で、7曲目の「Out Of Time」は1stアルバムのアウトテイクなのだとか。全体的には、1stアルバムのSkinny Puppy風のサウンドへ繋がる予兆のようなものも見えなくもないけど、もっと教科書通りのEBMだったり、あるいは初期のMinistryを彷彿とさせる高速&無機質といった感じのEBMが印象的。ギターレスではないけど存在感は薄めで、制作された時代を思うと納得感があるけど、16volt=ギター比率の高いインダストリアルロックというイメージからはちょっと距離があります。というか、それどころか散発的にメタルパーカッションを叩き爛れたボーカルを挟む、言ってみればEinstürzende Neubautenかぶれな楽曲や、あまりにも安直にニューウェイブ/ポストパンクに手をかけた楽曲なんかもあって、だいぶ乱雑。しかしその統一感のなさは、インダストリアル/EBMに類する音楽を、的を定めず広くスタンスを取り貪欲に試していた顛末と考えれば腑に落ちるし、そこから垣間見えるアマチュアリズムもまた貴重。Eric Powellという人物の人格までは見えてこないけど、彼のバンド、あるいはこういった音楽ジャンルに興味のある向きであれば、意外とオリジナルアルバム並に楽しめる一枚ではないかなと。

 

 

 今回の記事に合わせ、16voltの1st~2ndアルバムの紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。