イギリス出身のJulian Beestonによるインダストリアルロック/オルタナティブロックプロジェクトの1stアルバム(2020年)。
Julian Beestonは、Nitzer EbbやCubanateといったイギリスの著名なエレクトロニック/EBMグループに在籍経験のある人物で、Nitzer Ebb『Ebbhead』(1991年)にてドラム/パーカッションで参加していたりします。Cubanateではリミックス数曲を手掛けるに留まったけど、脱退後はThe ProdigyやMissing Personsらのリミックスを担当したり、映像音楽の制作業で安定した活動をするなど、裏方としてのキャリアを積み上げていったようです。
そんな彼が、2020年に久しぶりに表舞台に舞い戻って立ち上げたのがこのFeatured。楽曲ごとに異なる女性ボーカリストを採用するコラボレーション型のプロジェクトで、全14曲に渡って10名ものボーカリストが歌っています。楽曲は基本的にはどれもエネルギッシュなインダストリアルロック/オルタナティブロックで、明朗な歌メロやギターのフィーチャー度の高さ、衒いの少ない作風がまず印象的。あまり複雑な音の装飾はせず、ボーカルを無駄に加工したりもせず、ストレートに歌の力=彼女たちの存在を届けることに力を注いでいる感じ。全体的にどことなく90年代っぽさを感じるのは、そういう作風によるところが大きいのだけど、収録曲が新曲だけではなく、過去(恐らくグループ時代)に書くも不採用となった楽曲も含むらしいことや、Steve White (KMFDM)、Dean Garcia (Curve)といったゲストの演奏により、彼らの出身バンドを彷彿とさせるアレンジを取り入れているところも、そういった印象を加速させているのかも。参加している歌手は、I Ya Toyahを除けば無名に近い人がほとんどのようだけど、全く気後れせず、どこを再生しても安定した歌唱が拝めます。楽曲の安定感も同様。ただそれだけに、アルバムの起伏は幾分平坦で、聴き進めるにつれて既視感も強くなる。だけど、もの凄く簡潔なプロジェクト名とアルバム名からは、Julian Beeston自身のエゴを放棄し、ただ書いた曲をまとめて出すだけの場であり、どの楽曲もボーカリストも並列に扱う…そんな割り切りすら感じさせるものがあり、そこまで(半ば強引に)読み取って聴くと納得。90年代インダストリアルロックに好意的な人ならば、きっと何かしら刺さるポイントがあるかなと。
