X JAPANのギタリスト・hideを筆頭としたオルタナティブメタル/インダストリアルメタルバンドのリミックスアルバム(1999年)。
デビュー作『3・2・1』のリミックスアルバムで、hideの没後から10カ月後にリリース。リミキサーにはJ、I.N.A/D.I.E./KAZ、Paul Ravenといったhide/zilchに縁の深い人たちはもちろん、SCHAFT、Charlie Clouser、Pitchshifter、Ministry、Praga Khan、Shaun Ryderなどのインダストリアルロック/エレクトロニカ界隈のトップアーティストが多数参加。好きな人にはかなりアガる面子だし、それだけにどの楽曲もクオリティの面でも外れなし。ドラムンベース/ブレイクビーツ、ハウス、ヒップホップ、ダブ、エレクトロニカ、インダストリアルロックなど多数のジャンルに跨りながら、どれもこれも安心して聴ける折り紙つきの完成度。全体的にややマニアックでディープな改変がなされており、決して聴きやすいとまでは言わないにしても、元の楽曲の雰囲気を残しながら別軸の領域へ挑んだような楽曲や、原曲の面影はごく僅かに残るのみというくらいに大胆な魔改造を施した楽曲が入り乱れ、結果似たような曲がほぼないのに不思議と統一感もあるなかなか聴き応えのある内容に。それはニューメタル/インダストリアルロック全盛の時代にありがちだった(気がする)雑なクラブリミックス的なものなどではなく、あくまでも元作品のオルタナティブな姿勢を崩さずに寄り添い、幅を与えたり広げたりするようなアプローチが多くを占めたからなのではないかなと。もちろん「なんじゃこりゃ」的な楽曲もないことはないけども、それもまた良し。概ね今聴いてもそれほど古くは感じない、それこそ『3・2・1 ver.1.5』(ややこしいな)みたいな捉え方もできる一枚かと思います。
ついでにhideの初のベスト盤を聴き返してみました。シングル集の紹介記事で「hideはオリジナルアルバムは3作しか出てないんだからベスト盤を聴くくらいなら全部聴けばよいのでは」的なことを言ったのだけど、や、これはこれで結構良かった(笑)。hideが生存中に完成させていた楽曲に絞り(これ割と重要かも)、その間のシングル曲を中心にアルバムの顔となるような楽曲やメインを張れるような楽曲を優先的に選出して再構成。隠れた名曲ポジとかの楽曲まで無理に拾い上げようとせず、分かりやすく弾けたり攻めたり騒いだりできるような内容でまとめられているのが潔いし、曲順もとても流れが良い。18曲も詰め込んだ弊害か一部の楽曲にイントロカットなどの編集が加えられているので、こだわる人にはちょっと残念な部分もなきにしもあらずだけど、サラっと流す分には申し分ない優等生なベスト盤と言えましょう。というわけで前言撤回!
zilchのオリジナルアルバム2作の紹介記事はこちら。よろしければ合わせてご覧ください。