MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Bow Wow Wow 『See Jungle! See Jungle! Go Join Your Gang Yeah, City All Over! Go Ape Crazy!』

 ロンドン出身のニューウェイブバンドの1stアルバム(1981年)。

 

 かの伝説的なパンクバンド・Sex Pistols仕掛人でもあるMalcolm McLarenが次に手掛けたとされるバンド。自身がマネージメントをしていたデビュー直前のAdam And The Antsからバックバンドのメンバーを全員引き抜き(!)、クリーニング屋で働いていた当時14歳の少女にAnnabella Lwinという名を与え、ボーカリストに抜擢し結成。さらに有名な絵画「草上の昼食」のパロディを採用したこの作品のジャケットにてヌードを披露し、母親が怒りの提訴、発売の延期、US盤のジャケットの差し替えが行われるなど各方面で物議を醸しまくったとのこと。それもこれも全て話題作りの策謀なんだろうけど、目論み通り?実際に英米で結構売れたらしい。

 じゃあ内容の方は話題先行で不出来な代物だったかと言うとそうでもないようで、とにかく全編を貫くジャングルビートに彩られたサウンドの完成度が凄い。ブルンジ・ミュージックというアフリカ系の音楽に影響を受けたとされるエネルギッシュなドラム、常時技巧的なフレーズを鳴らし続けているかのようなベースというリズム隊コンビがいきなりレベルカンストしてると言っていいくらいのウルテクっぷりだし、そんな土台に玉虫色のフレーズが彩りを添えるギター、そして若々しく可憐な歌声で歌ったり叫んだりするボーカルが乗ることで、総体としては非常に明るく親しみやすいポップスとして一体となっています。やってることは(ボーカル以外)超ド級に難しいんだろうけど、不思議と全くそう聴こえないし、演奏が上手いバンドが少ないというイメージの(当時の)ニューウェイブ勢の中にあって、特に違和感はないのに確実に異端でもあるという何だか不思議な存在感。

 曲調が全体的に似通っているのが弱点とされるけど、短い楽曲が多かったり、楽曲ごとに主役となる楽器を微妙に変えて異なる見せ場を作っている巧妙さもあって個人的にはそう気になりはせず。1曲1曲をじっくり聴くというよりは、楽隊のパレードを遠巻きに眺めるようなイメージで、否応なく身体が動いてしまうワイルドビートにただただ全身を預け程よい距離感で楽しむという感じがベター。というか本当に直立不動では聴けないですねこれ。本能に訴えかけてくるようなものがある。『ジャングルでファン・ファン・ファン』という邦題の通り、その場が密林風ディスコ(?)に変わっていくような錯覚すら覚えること必至であります。

 日本でもツアーを敢行したりCMソングに使われたりとそれなりに人気を博したようだけど、彼ら自体の人気が長続きしなかったせいか、あるいは急造的なバンドの運命か、結成から僅か3年で解散と割と短命に終わってしまった模様。何度か再結成はされているし、何なら現在も活動しているようだけど、世間的にはどうやら一発屋的なポジション。しかし批評家筋からの評価は決して低くないようだし、後世の(特に女性ボーカルの)ニューウェイブバンドに与えた影響も大きいとされる、替えの効かない存在だったんだろうなというのは、今の耳で聴いても実感できるものがあります。

 管理人が彼らに興味を持ったきっかけについてはちょっと前にX(旧Twitter)でポストしたのだけど、ある日YouTubeでBauhausの動画をいくつか観ていたら、お勧めに彼らの動画が挙がって来たという出来事がありまして。無関係や偶然かもしれないけど、ダジャレかよ!と思わず笑っちゃって、これも縁だし聴いてみようじゃんと思い立った次第。同時代に同地域で活躍したバンドという以外なんの共通点もないと思うけど、というか性質的には正反対に近い気もするけど、ひょんなことからこういう“陽”全開のニューウェイブの良さを再確認したというお話でした。

 

 

 なんだかいつもに増してふわふわダラダラとした記事になってしまいました。いつかもうちょっとキュッと引き締めて書き直そうと思います。

 

 今回の記事とは関係ないんですが、昨年書いた記事「PIERROTのダイナミックな軌跡を今こそ振り返る」において、今年に入って彼らのベストアルバムとライブアルバムのサブスクが解禁されたことを受け、そちらへのリンクを貼って一部の文章を修正しました。

 それと、昨年末に書いた記事「2024年良かったCD」において、一部画像の入れ替え/追加とそれに伴う若干の加筆をしました。もしお時間があればチラッと覗いてみてください。