MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

川田まみ "PARABLEPSIA"

PARABLEPSIA(初回限定盤)

PARABLEPSIA(初回限定盤)

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 I've専属ボーカリストの5thアルバム(2015年)。

 

 前作よりベスト盤を挟み約3年ぶり、メジャーデビュー10周年イヤーにリリース。シングル曲については、近々の「Gardens」を外したり、ベスト盤にも収録済みの2012年作「Borderland」を再収録するなど、前作以降の4曲から2曲が選出。その理由は、本作には「E.M.R (Electric. Mami Kawada. Rock)」という明確なテーマが打ち立てられ、前述の「Borderland」を起点にしつつ一貫したコンセプトを前提に集中的に制作されたため。故に読んで字の如くというか、重厚なシンセ/エレクトロと激しいエレキギターが、I'veらしいダンスビートの上でいつも以上に全編に渡ってスパークしまくった、昨今の川田まみの代名詞や核となるような近未来的ロックが満載、なのです。耳慣れないアルバムタイトルは「錯視」という意味で、精神的な思いが込められているようだけど、そこから連想される規則的/幾何学的な意匠やジャケットデザインも、本作のテーマやサウンドの印象を後押ししているかも。Celldwellerばりのエレクトロニックロック、MELLの意思を継ぐような「BLACK LAGOON」タイアップの「Red fraction」系インダストリアルロック、ハードタッチなEDM/トランスなど徹底されていながらも、比較的柔らかい印象の楽曲による緩急もありギリギリ息苦しく感じないのは、多数の作家を擁するI'veの利点が出ています。反面、バラエティ感は控えめだし、初めて彼女を聴くような人にはやや不向きかもという気がしなくもないけど、これだけ高水準だと文句のつけようがないですね。川田まみの作品としても、I've+ロックという方向性でも、一つの極みに到達した傑作盤。