イタリア出身のインダストリアルロック/エレクトロニックロックバンドの3rdアルバム(2009年)。
彼らにしては少し期間が空き約3年ぶりとなった3作目。日本語が密かに散りばめられたジャケットが目を引きます。時間をかけて制作されただけに内容も充実していて、実際に評価も高いようです。歌詞のテーマなどはこれまでと同じSF/サイバーパンクで、今作では一枚を通して一筋の物語性を持たせたコンセプト作の側面もあるそう。そのせいなのか、一部の楽曲の展開(終盤など)や楽曲同士の繋がりなど、構造や演出にさりげない範囲で少し凝ったところが見受けられ、歌詞を追わずともその特殊性を感じ取れます。そのサウンド面では、1作目ばりにシンセを重用する場面も復活しつつ、ギターもヘヴィな質感は保っていて、コーラスを取り入れたスピードチューンも、ノイジーなギター偏重の楽曲も、ゴシカルでグラマラスな楽曲もある。そしてシャッフルビートやブレイクビーツを巧みに取り入れた楽曲もある…と、本筋のアレンジの軸は保ちながら楽曲ごとの個性も強化。原点回帰ではなく、ここまでの3作分の蓄積を反映させ、丁寧に足元を固めた上で新しいアプローチにも果敢に挑戦。特にラストの11曲目がまた異色で、もともとは全10曲を予定していたところに追加された楽曲らしく、アコースティックギターのストロークとイノセントなピアノ、つまり生楽器の絡みから始まっていくという、彼らとしては逆に実験極まる一曲。しかしそこには新鮮なだけでは終わらない説得力があり、アルバムに心地よい余韻をもたらします。そういったバランス感覚が全体の完成度を底上げしている印象があり、本作の評価を高めているであろう点にも納得。順当な進化を証明した一作。
今回の記事に合わせ、彼らの1st~2ndアルバムの紹介記事の文章を少々見直したので、よろしければ合わせてご覧ください。
