MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

I've / Evidence nine

I've Girls Compilation vol.9 「Evidence nine」

I've Girls Compilation vol.9 「Evidence nine」

  • 出版社/メーカー: I've
  • 発売日: 2014/09/26
  • メディア: CD
 

 アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによるGIRLS COMPILATIONの第9弾。

 

 I'veの本線とも言えるGCシリーズとしては約2年振りの9作目。パワフルかつアッパーに突き抜けていく頭のKOTOKOラッシュは掴みとしてかなり良いと思いつつも、あ、そうか、彼女はI'veから“卒業”したのではなくあくまで“独立”したのであって、だから今後もこうやってI've名義の作品に収まる歌手活動も並行するんだなと改めて気づく。頼もしく思う一方、一通り聴き終えると、結局最初のKOTOKOに対抗できる曲の少なさに物足りなさも抱く。思えば前作は、I'veベスト盤を挟み、黄金期を支えた専属歌手の主力の多くが卒業/独立した後の1作目でもあり、そこで“新しいI've”を体現するような仕掛けやラインナップが感じられたけど、今回はそこに続くまでに至っていないかなぁ。まぁ前作で重要なピースを担った詩月カオリMAKOがこの間にI'veから離脱したというのも大きいのだけど、その穴を埋め切れてないというか。楽曲の方にしても、川田まみによる良メロバラード「Timeless time」など良い曲はあるものの、手堅い楽曲がズラーっと並ぶ中盤以降は集中力が切れてしまう。1つ1つの曲は決して悪くないけど、それが集まったときの化学反応──1作品としての魅力はちょっと物足りないかな。唯一、KOTOKOと渡り合えていたと言っていいのはラストを飾る新人・柚子乃で、ガシガシとギターを効かせ間奏ではラップまで披露する高速4つ打ち「サブリミナル・アジェンダ」、じっくりと腰の据わったエレクトロニック/ダンスロック「Evidence nine」と「これこれ!」と喜びたくなる攻撃的な楽曲を連発する幕引きが格好良く、早くもその存在感を証明してくれました。