MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Devin Townsend (Punky Brüster) "Cooked On Phonics"

 カナダ出身のマルチミュージシャン/プロデューサー・Devin Townsendによる初のソロ作品で、Punky Brüster名義での(唯一の)リリース(1996年)。

 

 内容はほぼ企画盤というか、 全体がひとつの架空の物語に沿って展開します。そのお話は「とある売れないデスメタルバンドが、ライブの最中にギターの弦が切れてしまうというアクシデントに見舞われ、そんな状態でも演奏できる曲としてパンクを選択。そしてPunky Brüsterというバンドが新たに誕生し、パンクブームに乗って大ヒットを記録し…」というパロディ的な性質が強いもの。邦題は「史上最高の偽物パンク」。MCや観客の反応なども含めてライブシーンなどがしっかり描写されているし、途中途中で会話劇やナレーションなんかも結構入ります。曲タイトルに「Fake Punk」「EZ $$」とかあるけど、アンチパンクというわけではなく、あくまでブームに乗っかって一儲けしてやろうというバンドを皮肉ったジョークなんだとか。そんな時代だったのかな。パンクには全然明るくないので楽曲についてはあまり言及できないけど、そのお遊び感覚や2週間で制作されたという逸話からは考えられないくらいには曲としてしっかりと聴ける。Ministry「N.O.W」のイントロを模した「Larry's O」にはニヤリとさせられます。ただ、英語が全然分からないので、ストーリーを多めに語るパート(特に終盤など)は退屈だなーと感じたりも。そもそもが地元の音楽仲間と制作されたという身内間のお遊び感の強い作品のようで、今となってはファンアイテム的なものと受け取るのが吉か。