Public Image Ltd、Ministryなどで活躍したイギリス出身のドラマー・Martin Atkinsを中心としたインダストリアルプロジェクトの1stアルバム(1990年)。
Public Image Ltdにていくつかの楽曲や作品に関わったのち1985年に離脱し、自身のソロバンドやNine Inch Nailsなど多方面で活動を続ける中、Ministryのツアーにて共にツインドラムを披露したBill Rieflinと意気投合し結成されたプロジェクト。2人を中心としながらも、多数の著名ミュージシャンが参加した一大スーパーグループとしてその名を轟かせています。本作にはNivek Ogre (Skinny Puppy)、David Yow (The Jesus Lizard)、Paul Barker (Ministry)、En Esch (KMFDM)など幅広い著名ミュージシャンが参加し、Steve Albini (Big Black)も一部の演奏や全体のエンジニアリングなどで関わっています。中でもTrent Reznor (Nine Inch Nails)の参加と、後の『Broken』にて再録された「Suck」を共作/歌唱していることが本作中の大きなトピックとなっています。
そんな本作、内容の方は結構独特。まるでフィーリングのように粗雑かつ豪快に打ち鳴らされるドラムがまず強烈で、そこに楽曲によってジャンクなベースやギシギシとしたギターが加わったり、テープ操作によるノイズコラージュが被さったり…ボーカルもほとんどはサウンドと歩調を合わせ感情を炸裂させるような歌い方というのもあり、まるで暗がりで狂人が暴れているかのような危うさを連想させ、言ってみればエクスペリメンタルなポストパンク/ノイズロックという趣きで、それはTrent Reznorが歌う「Suck」にあっても同様の空気を纏っています。多彩なゲストの割に打楽器やノイズを核とした前衛的な方向でかなり統一されているのは、もともと自分たちのツインドラムの手応えから本プロジェクトの着想を得た2人が、全曲に渡ってドラムを二分(あるいは重複)して担当していたり、全体を担うSteve Albiniの経験や手腕が大きいというのもあるだろうし、あるいは最初からPigfaceという看板のもと自由に好き勝手実験をやってくれ!的な意図すらもあったのかも。レーベルも自身のものだし。なのでTrent Reznorが参加してるのか!聴いてみよ~的な心持ちでうっかり手を出すと火傷しそうな(私のことです)劇薬のような作品とも言え、評論家やリスナーの間でも賛否の分かれた一枚でもある模様。しかしエレクトロニックとロックを掛け合わせたインダストリアルロックという意味ではなく、昔ながらの「インダストリアル」を「ロック」に近づけていく挑戦や過程のような作品として捉えると、大きな意義と刺激が垣間見える一枚かなと。
まぁ早い話、「インダストリアルのスーパーグループはハズレ多し」みたいな、昔からふわっとある言説の由来の大部分はこのPigface(と、Cyberaktif)にある…と個人的には受け止めていて、かつては自分もそれに茶化すように乗っかったりしたので言えた義理ではないのだけど…本作、(今聴くと)割と嫌いではないんですよ。てか結構楽しめています。こういう(どういう?)作品ももっと掘っていきたいなと思う所存。
今回の記事に合わせ、Martin Atkinsが(1作だけ)プロデュースしたUS/ミズーリ出身のインダストリアルロックバンド・Gravity Killsの4作品の紹介記事の文章を少し見直し(というかだいぶ古かったのでほぼ書き直し)ていますので、よろしければ合わせてご覧ください。こちらはもうザ・90's インダストリアルロックバンドって感じですね。
