MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Symbols

Symbols

Symbols

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの9thアルバム(1997年)。

 

 タイトルが読めない記号の羅列のため「Symbols」という通称がつけられています。前作とは打って変わってEn Eschの全面的な制作への関与、Raymond Wattsの協力などが復活。同時に、前作ほど盛り沢山ではないにしろゲスト参加のミュージシャンも多く、今回はSkinny PuppyのNivek Ogreや、元Shotgun MessiahのTim Skoldも一部楽曲で制作とボーカルを提供。そんな本作では音楽性がまた一つ急激に変化し、テクノに接近。打ち込み感を強調したキックやスクエアビート、分厚いエレクトロニックサウンドや飛び道具的に飛び交うプログラミングのフレーズ/装飾音など、新たな手法を駆使したデジタルなインダストリアルダンスが展開。全体的にはトーン抑えめというか、前作の一歩引いた実験性や小洒落たムードを引き継いだような雰囲気のために、派手めなキャッチーさは薄く淡々と過ぎるような時間帯も多いけど、映画にも使用された新たな代表曲となり得るオープニングナンバー「Megalomaniac」や、Tim Skoldの哀愁ボーカル&メロが炸裂する「Anarchy」といったシングル曲はもちろん、マシーナリーなギターリフが迫り来る「Spit Sperm」などアクセントとなる楽曲が外せないくらい素晴らしいし、インダストリアルロック然としたメタルギター/ギターノイズもしっかり残って存在感を示すしで、後々から振り返ると更にテクノへ走る次作への橋渡し的なアルバムながら、彼ららしい味やフックとなるポイントも欠かさない侮れない良作かと。