MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KOTOKO / ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

 

 I've出身ボーカリスト/シンガーソングライターの5thアルバム。

 

 メジャーデビュー5周年を機に打ち出した「今後は(小文字の)kotoko名義でI've外の活動も行う」という計画も結局のところそれほど遂行されず、その約2年後にはI'veからの独立を発表した彼女。事務所/レコード会社の移籍第一弾となった本作は、これまで通り自身の曲・I'veの提供曲に加え、全く外部の作家(主にボーカロイド界隈で活躍した同人系クリエイターを含む)による作編曲も多数収録。さぞバラエティに富んだアルバムになりそうなものだけど、実際のところは散漫さが先行しあまり魅力を感じないという。同人系は管理人は1ミリも知らない世界なので、期待も不安も持たずフラットに聴いたのだけど、取り立てて良くも悪くもなく。KOTOKOを活かすための曲というよりは、それぞれの手グセに収まっている感じで、従来のリスナーを惹き込むほどの化学反応は無いかな。kotoko名義の曲の方がよほど格好いい。かと言ってI'veの曲も、まさか外部の作家に遠慮した訳でもないだろうけど、大半が地味。何よりも、各曲がバラバラの方向を向いていて、1つの作品としてのまとまりに欠けるのがイマイチに聴こえる原因か。印象に残ったのは、ストリングスと並走する爽快な王道のポップ/ロック「開け! ソラノオト」くらい。実は本作は初の全編セルフプロデュース作でもあるのだけど、彼女はボーカリストとしては確かな実力を有していても、プロデュース能力は発展途上というか、新しい環境の中、まだフルアルバムをまとめきる段階にはなかったということなのかも。

 


Laibach / Jesus Christ Superstars

Jesus Christ Superstars by Laibach (1996-05-03)

Jesus Christ Superstars by Laibach (1996-05-03)

 

 スロベニア出身の前衛音楽/インダストリアルバンドの5thアルバム。

 

 様々なモチーフを取り入れる彼らの中でも、「Kingdom Of God」やら「Cross」といった曲タイトル、そしてアルバムタイトルからも想像できる通り、宗教をモチーフにした作品とのこと。テーマに沿った複数のカバー曲とオリジナル曲から構成されています。例によって詳しいことは知らないけど、サウンドの面でハッキリと分かるのは、彼らの中でも異例の手法とも言えるメタルギターを大々的に取り入れ、全面的にインダストリアルメタル化していること。それも、オペラコーラス、パイプオルガン、ストリングスを重ねた荘厳さや、軍隊の行進のようなどっしりと力強いリズムトラックと一体となったゴシック方面へのアプローチが強力で、重厚なコーラスに負けないMiran Frasの威厳ある低音ボーカルも含め、彼ららしい風格のある仕上がり。その変化というか落差には驚かされるけど、決して手軽に流行を取り入れたような安易さはなく、実験的な手法の多いであろう活動の一端として(でも)、どんな音楽性も手練手管で呑み込んでしまう強靭(狂人)さを感じます。彼らに影響を受けたRammsteinをむしろ想起させる音像だし、全体がコンパクトなのもあって、聴きやすさも抜群。インダストリアルメタルが好きならば聴かない手はない逸品。余談ですが、初っ端から凄まじい迫力の1曲目「God Is God」は、日本の超有名な某テレビ番組のコーナーBGMとして使用されていることで一部で有名だったり。

  

acid android / remix

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 L'Arc~en~Cielのドラマー・yukihiroによるソロプロジェクトの5枚組ボックスセット「alcove / #1」(2011年)に収録されたリミックスアルバム。

 

 期間限定の公式モバイルサイトで13カ月に渡って順次配信されたリミックス音源をまとめてCD化したもので、参加したアーティストが個人的にとても興味を惹かれる豪華な面々(iLL、TK(凛として時雨)、101A藤田勇(MO'SOME TONEBENDER)、朝本浩文藤井麻輝(睡蓮)、ミヤ(MUCC)、O.N.OTHA BLUE HERB)ら)でそれとなく注目していました。そのうち聴きたいな~と思いつつ、いつかボックスセットからバラ売りされるかも…と淡い期待を寄せていたけど 何年待っても結局出なかったので 諦めました。acid androidの音楽と言うと、作品毎に多少移り変わりはあるものの、一枚を通してだと割と良くも悪くもワンパターンが貫かれている印象は否めなかったのだけど、「remix」では数々のアーティストが楽曲を思うまま料理し、ダウナーなエレクトロ、EBM風、インダストリアル/シューゲイズ、テクノ、EDM、ドラムンなど、親和性が高くも幅広いジャンルと少しずつ融合。多くは大胆な変革と言えるけど原曲の世界と大きくかけ離れてもおらず、核となる部分を損なうことのない新たな解釈といった感じで、1曲ごとの格好良さやインパクトは勿論、全体を通した聴き応えも(当然ながら)抜群。彼の曲は素材としてかなり優れた可能性を秘めてますね(褒めてるのか?)。なんとも贅沢かつ興味深い一枚だけど、それだけに「alcove / #1」以外で聴く手段がないのは勿体ない気もします。

 

I've / 「TRIBAL LINK-L」「TRIBAL LINK-R」

TRIBAL LINK?L

TRIBAL LINK-L

 
TRIBAL LINK?R

TRIBAL LINK-R

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによる企画盤。

 

 I'veの楽曲をI've内外のボーカリストでカバーしたシャッフルアルバム。全てインディーズからの選出だけど、L・Rと題された2枚それぞれに収録された楽曲はかなり幅広く、代表的な曲、マニアックな曲、レア曲、果ては電波曲までとかなりの範囲を網羅。バランスだけで言うなら通常のガールズコンピ盤を更に凌駕した、ある意味ベスト盤並の豪華さかも。参加した外部ボーカリストは、奥井雅美橋本みゆき榊原ゆい、nao、飛蘭桃井はるこ佐藤ひろ美といったこれもまた第一線で活躍する豪華な面々。と言いつつ、この界隈に詳しくない管理人は殆ど初めて聴く人ばかりだけど、誰もが楽曲のカラーに添って盤石に歌い上げていて、十分に惹き込まれます。中でもアングラ寄りの曲を堂々たるパワーで歌い上げる飛蘭や、電波曲を完全に自分のものにしている桃井はるこあたりは、それぞれ全く違うベクトルながらも強烈な凄みすらも感じ、原曲を聴き込んでる側からみても相当なインパクトがありました。I've内でも、当時活動を一時休止していたMELLを除く全員が持ち歌をシャッフルカバーしており、例えばKOTOKOのデビュー曲「Close to me…」を島みやえい子が歌う等、ファンには興味深い取り合わせがなかなかに新鮮。しかし何よりも驚きだったのが、I've最初期以来約6年半ぶりとなったMAKOの復帰。そのハスキーで芯の強いボーカルを、既に耳馴染みのある曲のカバーという形で再び耳にすると、やはり少なくともI've内では一味違う存在感の稀有な歌声だと強く実感します。収録曲はキーを変更するなどしている曲も一部あるけど、基本的にはリアレンジ等は無し。しかし企画盤としてのバリューは十分。参加歌手や選曲コンセプト等に特に違いが無いのに2枚に分けてのリリースなのは若干謎だけど(これこそ2枚組で良かったのでは)、本作を元にしたライブも行われた通り、枠組みを超えたお祭り感覚で楽しめる作品。

 

 

lynch. TOUR’18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」

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出典:lynch. official web site http://pc.lynch.jp/

 

 誓い交わした あの場所へ──

 

 はい、というわけで。あとは11/4のTOKYO DOME CITY HALLでのファイナルを残すのみとなった、lynch.の全国ツアー「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」に参戦してまいりました。地方の田舎町で引きこもりがちな生活を送っている人間のライブ参戦記再び。

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