MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KOTOKO / ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

 

 I've出身ボーカリスト/シンガーソングライターの5thアルバム。

 

 メジャーデビュー5周年を機に打ち出した「今後は(小文字の)kotoko名義でI've外の活動も行う」という計画も結局のところそれほど遂行されず、その約2年後にはI'veからの独立を発表した彼女。事務所/レコード会社の移籍第一弾となった本作は、これまで通り自身の曲・I'veの提供曲に加え、全く外部の作家(主にボーカロイド界隈で活躍した同人系クリエイターを含む)による作編曲も多数収録。さぞバラエティに富んだアルバムになりそうなものだけど、実際のところは散漫さが先行しあまり魅力を感じないという。同人系は管理人は1ミリも知らない世界なので、期待も不安も持たずフラットに聴いたのだけど、取り立てて良くも悪くもなく。KOTOKOを活かすための曲というよりは、それぞれの手グセに収まっている感じで、従来のリスナーを惹き込むほどの化学反応は無いかな。kotoko名義の曲の方がよほど格好いい。かと言ってI'veの曲も、まさか外部の作家に遠慮した訳でもないだろうけど、大半が地味。何よりも、各曲がバラバラの方向を向いていて、1つの作品としてのまとまりに欠けるのがイマイチに聴こえる原因か。印象に残ったのは、ストリングスと並走する爽快な王道のポップ/ロック「開け! ソラノオト」くらい。実は本作は初の全編セルフプロデュース作でもあるのだけど、彼女はボーカリストとしては確かな実力を有していても、プロデュース能力は発展途上というか、新しい環境の中、まだフルアルバムをまとめきる段階にはなかったということなのかも。