ROSEN KREUZ / THE CRACK EDGE MONSTERS' MOVIE SIMULATION RAPE OF FRENCH CULT

 後にDEF.MASTERで活躍するベーシストYU-MIが、DEF.MASTER以前に在籍していたゴシック/インダストリアルバンドの2ndアルバム。

 

 まずアルバム名の長さに面食らいますね。サブタイトルではなくまとめて正式タイトルのはず。そして曲名も同様に長く、1曲目が「LOUD SONIC CHAIN SAW YOUR MACHINE, EXTACY」。意味がよく分からないけど、その響きだけで何だか最高じゃないですか?そして名は体を表すとでも言うべきか、高速で繰り出されるスラッシュギター&デジタルシンセが融合したリフ、チェーンソーやらドリルのような機械音のサンプリングが渾然一体となって襲ってくるという、まるでMinistryの同時代の代表曲「Thieves」や「Burning Inside」を彷彿とさせる迫力と禍々しさ。エレクトロニックを中心に置いた曲、逆にジャパメタな曲もあるけど、特にハイスピードな曲の破壊力やサウンドの有りようは、彼らが強い影響を受けたであろうMinistryがスラッシュメタルを取り入れて行った変遷が重なるし、彼らの出自でもあるゴシック/ポジティブパンクの空気感も相まって、とても強い衝撃を生んでいます。当時としてもかなりぶっ飛んだ音だったと思うけど(ライブではもっと激しかったいう逸話も)今の時代に改めて聴いても打ちのめされるものがあります。日本のインダストリアル(ロック)の数少ない、そして間違いなくマストな一枚。

 

KOTOKO / KOTOKO ANIME'S COMPILATION BEST

ANIME'S COMPILATION BEST<通常盤>

ANIME'S COMPILATION BEST<通常盤>

 

  I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターの編集盤。

 

 一応はKOTOKOのメジャーデビュー5周年を記念した、初の(そして現在においても唯一の)ベストアルバムということになっているけど、実際のところはアニメタイアップのついたシングルA面曲を収録したコンピレーション。なので、一部ではあるけど収録されていないシングル曲もあるし、アニメタイアップのついた非シングルの名曲(「Suppuration -core-」など)も当然収録されていない。本当に作品タイトル以外の何物でもないというか。もっと言うと、メジャーデビュー前にI'veで歌っていた楽曲も当然選曲対象外で、名バラード、電波ソング、マニアックなインダストリアル系の楽曲などを器用に歌いこなすKOTOKOのゼネラリスト的な魅力は本作では一切伝わらないのが、古参のファンにはちょっともどかしいかも。まぁI've初期からの膨大なアーカイブからメジャー後までを含め、彼女の多面的な表情や実力を網羅するようなベスト盤を作ろうとしたら、この時点でもディスク3枚組になりそうなくらいなので、あくまでも本作はアニメを通した新規リスナーの門戸として、また従来ファンにとってはアルバム未収録の一部シングル曲を回収するアイテムとして割り切ると吉。「Re-sublimity」「Face of Fact」「being」などは文句なしに彼女の代表曲ですしね。

 

ギルガメッシュ / GO

GO

GO

 

  4人組ロックバンドの5thアルバム。

 

 再生すると、清涼飲料水のCMソングとかが似合いそうなウルトラ爽やかなラブソングが入れ代わり立ち代わり流れてきて脱力。初めて聴いたときは開いた口が塞がりませんでした。形は悪くない出来だけど、これまでの音楽性を考えると「これを彼らがやる意味はどこに?」と腑に落ちない感情に包まれること必至。ダメなポップ化の見本みたいな。前作「NOW」でもかなりポップ化は進んでいたのに。本作発表時は「自分たちの音楽をお茶の間に届けたかった」とのことだったけど、ずっと後に「当時は事務所に言われるがままだった」と種明かし。そして本作リリース後に解散寸前の活動休止…と、バンドが明らかに大きく迷走していたこの時期を象徴するような迷作となりました。ヘヴィなダンスロック「MISSION CODE」、ウェディングパンク(何だそれ)「Never ending story」というライブで定番化した名曲という救いもあるけど、後のベスト盤に強化され収録されたので、本作ならではの価値はと言うと…個人的には哀愁の表現が秀でているラスト曲の「イノチノキ」くらい。ちなみに初回盤は丸々1枚のライブ盤や内容色々のDVDが付いてお得。ファンへの埋め合わせってのは考えすぎか。

 

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Delerium / Poem

Poem

Poem

 

 Front Line Assembly等でも活躍するカナダ出身のBill Leebを中心としたエレクトロニカ/アンビエントプロジェクトの10thアルバム。

 

 本作では、プロジェクト発足以来ずっと関わっていたもう一人のプロデューサーRhys Fulberが不参加の模様。高貴な雰囲気のエスニックなエレクトロニカを展開する新生Deleriumの一つの到達点とでも言えそうな前作の延長上にありながら、明らかに女性ボーカルメインの楽曲の比率や存在感が強まっているのが大きな違い。それも強烈に立った歌メロと、それを生かすことを前提にしつつ、アコギの滑らかなフレーズや、彼らにしては躍動的なアップビート等で分かりやすく耳を引くアレンジの合わせ技で、聴く者の心を貪欲に掴みにかかります。前作収録の「Silence」が記録的なヒットになったのを受けて、よりポップな方向性へ向かったのか、それとも新しいファン層を意識したのか。完成度の高さで言えば前作だと思うし、そこが好きだった向きには賛否が分かれる変化かも知れないけど、その隙の無さが逆に少し馴染めなかった管理人にはむしろ望むところ。我儘な言い分ですが。ポップになったと言っても決して安っぽくなってはいないし、「Innocente」を歌うLeigh Nashの素朴な歌声や、「Fallen Icons」の儚さ爆発(何だそれ)メロディは好み一直線!ただ、次回作がこの路線で更に高みに上っているので、後から振り返るとその橋渡し的な位置づけだと感じてしまいます。

 

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Der Eisenrost / ARMORED WEAPON

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 かつてZEITLICH VERGELTERで活躍した映画音楽家/メタルパーカッショニスト石川忠を中心としたメタルパーカッションユニットのアルバム。

 

 塚本晋也監督の映画「鉄男」等のサウンドトラックを担当した石川忠を中心に、塚本監督の助監督だった川原伸一、EBMユニットC.H.C. Systemの関伸一らが加わり、「鉄男」の世界観をライブで再現することを目的に結成されたというユニット。2作のアルバムを発表しており、こちらは「LIVE DOCUMENTS '93-'94」というサブタイトルにもある通り、主にライブ音源で構成されています。初期のTest Dept.を彷彿とさせる、正しく金属音をフィーチャーしたザ・インダストリアルなサウンドは、石川忠名義のサントラ音楽に比べるとかなりプリミティブで刺激的。唸りを上げるボーカル、荒々しい演奏に覆い被さるドリル音、耳に刺さるようなノイズと化したメタルパーカッションの激しい連打やユニゾンなど、どれもおどろおどろしく生々しい迫力。メタルパーカッションを叩く強弱すらも手に取るように聴こえてライブの臨場感も抜群だし、その狂気的であろう画も浮かび上がるかのよう。終盤の2曲はスタジオ録音の楽曲で、インダストリアルノイズメタルとでも言えそうな鋭利な音の洪水が圧巻。本ユニット以外でも様々な音楽活動で多大な功績を残した石川忠は、2018年に向けて新たな音楽活動の準備を進めていたとのことだけど、同時に闘病で入退院を繰り返す生活だったらしく、残念ながら2017年末にお亡くなりになったそうです。ご冥福をお祈りします。

  

2017年良かったCD

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 今年もそろそろ終わりです。というわけで、2017年新譜のお気に入りをご紹介。

 

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KOTOKO / イプシロンの方舟

イプシロンの方舟 <通常盤>

イプシロンの方舟 <通常盤>

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターの4thアルバム。

 

 タイトルは方舟と書いて「ふね」と読みます。同年にメジャーデビュー5周年を迎え、その時これまで通りのI've内での活動に加え、I've外では小文字の「kotoko」名義としても活動する方針を発表。それと関わりがあるかは分からないけど、本作ではそれまで(ソロ名義では)大部分を自身で担っていた作曲からも距離を置き、ほぼ作詞/歌唱に専念。その結果、4作目にして(1曲を除き)I've作家陣の作編曲/プロデュースによる「I've特化アルバム」に。ただ、後に彼女はI'veから独立する道を選ぶので、名義を分けた意義もうやむやになってしまい、同時にI've在籍時の最後のオリジナルアルバムにもなりました。作風としても、タイトルからは想像がつかないダークさを纏った「リアル鬼ごっこ」(同名の映画の主題歌)や、浮遊感漂うトランス、またそれに準じたダンストラックの存在感が強く、KOTOKOの表現力がI'veの定番とも言える型で存分に生かされています。ラストにはManic Street Preachersのカバーまでも。やや優等生的にまとめられ過ぎている感もあるし、他の収録が見送られたシングル曲を差し置いて入った「ハヤテのごとく!」が少し浮いていなくもないけど、程よいアニソンロック/ダンスポップが楽しめるという点において、彼女のアルバムの中では最も一枚を通した一貫性や安定感があると思います。