D'espairsRay / IMMORTAL

IMMORTAL

IMMORTAL

 

 4人組ヴィジュアル系ロックバンドの編集盤。

 

 バンドの結成10周年を記念したインディーズベストアルバム。メジャー移籍直後のリリースなので、概ねリリース時点でのベストと言っても差し支えないです。とはいえ、選曲対象にあるフルアルバムは2枚のみ、バンドとしてはまだこれからという時期にあったし、その選曲もメンバー自身が担当した割には聴くべきところを押さえきれてない感も。その上で汎ヴィジュアル系の初期~カジュアル化した後をざっと触りだけ詰めたようで、なんだかベスト盤というよりはダイジェスト盤と呼ぶ方がしっくり来そう。お陰でバンドの推すべきところがブレている節もあり、10周年という節目にこだわり過ぎたかなと。しっかし、1曲目「檻の中で見る夢」と最終曲「HORIZON」を比べると、そのあまりの落差にクラクラしてきます。この手のバンドには特にありがちな問題でもあるけど、自分たちらしさを保ちながら新しい挑戦を続けていくというのは難しいんだろうな…とも改めて思わされました。余談ですが、彼らについては元々好きで聴いていたけど、ある時インダストリアル・メタルのWikipediaに名前があるのを知り、それならばと当ブログで取り上げてみました。ただ、そういうサウンドを期待するにしても、またはバンド自体の魅力を説明するにしても、1stアルバムを通して聴く方がずっと良いと個人的には思います。

 

MELL / MIRAGE

MIRAGE 〈初回限定盤〉

MIRAGE 〈初回限定盤〉

 

 I've専属ボーカリストの2ndアルバム。

 

 前作とは異なるテーマを念頭に制作に臨んだというだけあって、全体を通した印象はまるで違います。今回インディーズ時代のレパートリーからは彼女を代表する名曲トランス「砂漠の雪」が収録され、それを真ん中に置きつつ、そのイメージに沿った比較的メロディの立つ楽曲が多め。それもシンセポップ/エレクトロ/ダンス系の歌モノからハードトランス/インダストリアルロックの域にある硬質な楽曲まで、4つ打ちを基調としながらもなかなかに多彩だし、発音の達者な全英詞曲もいつも通りお手のもの。また、彼女のライブサポート等で縁のあった元SOFT BALLET森岡賢も楽曲を3曲提供。タイプは違えどそのどれもがSOFT BALLETが透けて見えるような包容力を感じさせるもので、アルバムに更なる幅を与えると同時に、慈愛に溢れるような本作のムードをより確かなものにしています。大上段に構えたダークな前作にはあまり無かった一面だけど、それは彼女が昔から持ち合わせていた表情でもあり、それがI'veの粋を集めたようなサウンドと彼女の成長が理想的に噛み合うことで、一段上に上がった間口の広さと完成度で実現したのかなと。まさに渾身の一枚。興味のある方はアニソンという色眼鏡を外して、是非。ちなみに余談ですが、この本作と、川田まみ「LINKAGE」、KOTOKOイプシロンの方舟」の3枚はおよそ1年間の間に世に出ているのだけど、メジャーシーンにおけるI'veの三種の神器というか、当時の彼らの強力な勢いを象徴する好盤たちだと勝手に思っています。

 

Conjure One / Conjure One

Conjure One

Conjure One

 

 Front Line AssemblyやDeleriumでも活躍するRhys Fulberを中心としたエレクトロニカ/アンビエントプロジェクトの1stアルバム。

 

 Rhys FulberがFront Line AssemblyやDeleriumを離脱した1997年頃に彼のソロプロジェクトとして立ち上がったところから始まり、2003年にそれぞれのユニットに復帰してから現在に至るまでも活動は継続しています。その内容は、複数の女性ボーカリストをゲストに迎えた上質なトリップホップ/アンビエントポップという、彼が脱退する直前のDeleriumをそのまま踏襲するような体制と音楽性。完成度含め雰囲気がかなり近いので、パッと聴きだとあまり違いを感じられないほど。しかしよくよく聴くと、こちらの方がよりエスニック方面に傾倒している印象を受けます。伸びやかなシンセ/ストリングスから紡がれる神秘的なスケール、ピアノ/民族楽器/アラビア語のコーラスの映えるアレンジなどが非常に洗練されており、それも必要以上に長尺/複雑にならない範囲できっちりまとめられ、全体を通して味わい深く、かつ軽やかに聴き入ることができます。本当にジャケットのように異国──中東あたりの乾いた情景が浮かぶよう。当然というか、牽引力の高いボーカルを大きくフィーチャーした楽曲も素晴らしく、特に本作随一のキラーチューン「Manic Star」やそこに至るまでの流れは格別だし、また「Manic Star」のリプライズ曲で余韻を残しながら締めくくられる終わり方も痺れます。単純に「ポップになった」の一言で済ませるのはちょっと違うかもだけど、その隙の無さゆえにやや重たくも感じるDeleriumと比較すると、個人的にはこちらの方が断然馴染みやすかったです。 

 

 

ギルガメッシュ / MONSTER

MONSTERMONSTER
 

  4人組ロックバンドの6thアルバム。

 

 バンドの迷走や葛藤の末の活動休止を経て、約2年10カ月ぶりとなったアルバム。ここに来てようやく長いトンネルから抜けたという印象で、サウンドが以前とは比較にならないくらいにパワーアップ。弦を増やしチューニングを下げよりヘヴィになり、デジタルな要素も山盛り組み込みながら、ジェント/メタルコア/ダブステップ等の要素を貪欲に導入。音楽的にというよりは変革を迎え野心に満ちているという意味で傑作3rdアルバム「MUSIC」の頃の精神性を彷彿とさせるし、その上で溜まった鬱憤を晴らすかのように攻撃的な楽曲が続くアルバム前半部は過去最高にダイナミック。しかし一方で、後半部は軽妙なラップだったりシンガロングやクラップを意識した明るいメロディが目立つという、前半戦とは明らかに異なる空気感。そもそもが最新型の彼らを打ち出した前半、そこに至るまでの過程を収めた後半と、制作時期やテーマが明確に分けられた二部構成になっているそうだけど、自分たちの強みを活かすためにあえてそうしたというだけあって、後半の楽曲もしっかりと本作向けに作り込まれており、ただポップなだけには終わらない説得力を感じさせるところに、彼らの自信と確信が表れているよう。新たな挑戦と従来の持ち味のバランスが際立つ、集大成的な魅力も放つ作品。個人的にも特に大好きな一枚です。 

 

I've / EXTRACT

EXTRACT

EXTRACT

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによるGIRLS COMPILATIONシリーズの第7弾。

 

 主要な歌姫のメジャーデビューやその後の活躍により「謎の音楽制作集団」からすっかり業界のトップブランドへ成長したI've。その反面、本線とも言えるこのガールズコンピシリーズはしばらく途絶え、実に5年ぶりとなった本作の発表時には「出ないと思ってた」と安堵する声も出たほど。そんなブランクのせいか、2ndコンピ「verge」以来の2枚組となった本作だけど、それぞれに大きな差異があるわけでもなく、むしろ2枚ともそれまでのメインコンポーザー高瀬一矢に代わるように大部分の楽曲を井内舞子が手掛けるという、ある種の異例とも言える作品に。ただし、その影響か優良なミディアムポップが連続する流れはあまりにも安定・盤石としか言いようがなく、色に乏しい。KOTOKOが歌う楽曲が群を抜いて多いのもその印象を加速させているか。しかし、I've/KOTOKOを代表するクラスの名曲(「jihad」「HALLUCINO」など)が点在するのも確かだし、Disc2の方は2001年(!)の初期I'veサウンドが眩しい「同じ空の下で(KOTOKO)」、怒涛のインダストリアルメタル「Bizarrerie Cage(MELL)」、キュートなワルツ調「白い輪舞曲(詩月カオリ)」など聴き映えする箇所も多い。井内舞子は疑いようもなく優れた作家だし、本作で作編曲が一気に増えたC.G mixも良い仕事をしているのは確か。構成や見せ方という点で今一つかもしれないけど、良曲を集めた作品集としては期待を裏切らないかと。 

 

Front Line Assembly / Monument

Monument

Monument

 

  カナダ出身のインダストリアル/EBMユニットの編集盤(1998年)。

 

 内容は1989年~1994年にリリースしたシングルのB面曲を中心にセレクトしたもの。A面集のコンピ盤「Reclamation」(1997年)とは対になるような作品と言えると思います。オリジナルアルバム収録曲のリミックスが多い前半の流れは、「Big Money (Remix)」がメリハリがついたり攻撃的に強化されたりで良い感じだし、他の楽曲も彼らの中で名作と誉れ高い5thアルバム「Caustic Grip」(1990年)の楽曲が多く、原曲と比べて特段の変化があるわけではないにしろ、タイトで高クオリティなEBMのラッシュは素直に気持ち良いです。後半ではアルバム未収録曲が続いており、メタルギターを巧みに取り入れた「Transtime」やA面曲でもおかしくない「Re-Animate」、ダークなエレクトロインダストリアルを聴かせる「Laughing Pain」(ポストパンク/インダストリアル系ミュージシャンが多く参加した映画サントラの収録曲)など、1曲ごとに異なる表情を見せる良曲の流れがGOOD。「Reclamation」ではB面曲の続く部分がちょっとダルかっただけに、ここは思わぬ収穫。ある意味本作の肝ですかね。ラストは彼らの変名ユニットIntermixが手がけるハウス?っぽい曲。「Reclamation」とはまた違う形で彼らの旬とも言える時期の音がパッケージされており、彼らのファン、特にその頃が好きなら聴いて損はないかと。

 

D'espairsRay / REDEEMER

REDEEMER(初回限定盤)(DVD付)

REDEEMER(初回限定盤)(DVD付)

 

  4人組ヴィジュアル系ロックバンドの3rdアルバム。

 

 ヴィジュアル系バンドながら、かのBURRN!誌にディスクレビューが載ったとかいう逸話のある本作。前年の「Taste of Chaos 2008」を始め、これまでの海外での精力的な活動が目に留まったということかも。しかし本作は、1stアルバム以降のメロディや分かりやすさを重視した流れの行き着いた先とでも言うべきか、より一層カジュアルなものに。本作でメジャーデビューを飾ったというのもきっと無関係ではないのでしょう。売れ線へ走りまくったようなキャッチーさ炸裂の先行シングル曲は、えらく変わったなと驚く反面、これはこれで良いというか、スカッと爽快で結構好きです。何だか90年代後半のL'Arc~en~Cielっぽい。個人的にもカラオケでよく歌わせて頂きましたよ、ええ。ただアルバム曲に関しては、蠢くようなベースとヘヴィな音像の「REDEEMER」は抜群だし、逆にパンキッシュで開放的な「夜空」も振り切ってて良いけど、他の楽曲はバラードを中心に無難な感じで、シンセの乗せ方も含めアレンジも弱くて耳に残らない。良くも悪くもサラッと聴き流せてしまい、彼ら特有の濃さも新しい何かも感じさせないという点で幾分不満も残るかなと。歌モノのヴィジュアル系バンドは余所に人気どころが沢山いるし、そこに戦いを挑むには物足りない。「ダークと破壊」というテーマも今は昔というか、初期からのファンには特に賛否がありそう。