51 Peg / Strange Appointments

Strange Appointments

Strange Appointments

 

 US出身のシンセロック/インダストリアルロックバンドの1stアルバム。

 

 バンド名は「ペガスス座51番星」より。彼らを知ったのはだいぶ前だけど、今でもなかなかネットに情報が転がってないし、作品もそんなに数出てないし、こんなマイナーなバンドをどこで知ったのかもよく覚えてない…何か気になるバンド名とジャケットにピンと来たのは確かだけど。彼らはバンドの編成自体が少し変わっていて、ギター、シンセ、そしてギターシンセを擁するけど、ベースが不在。だけど低音が物足りないとかそういうのは当然なく、厚ぼったいギターをかき鳴らし、浮遊的なシンセが彩り、変幻自在のギターシンセが支えるサウンドは、残響多めでアトモスフェリックに音空間が広がる感じで、バンド名に違わずちょいダークかつスペーシー。貫禄たっぷりの男臭いボーカルが歌い上げる様もあって、近々のシンセロック系にありがちなサイバーな作り込みやスマートさはなく、どちらかと言うとヘヴィロック的なノリで、荒々しいミックスも合ってると思います(低予算なだけか?)。彼らはNine Inch NailsDepeche Modeに影響を受けたらしく、またそれらやMarilyn Mansonなどに例えられたりもするようだけど、ハードル上げ過ぎでは(笑)。個人的によく聴く範囲であえて言うならOrgyやMisery Loves Co.あたりを彷彿とさせるところはあるかも。ともあれ、無名なのが不思議なくらい良いと思いました。スローナンバーがやや単調なので、そこにもう一工夫あれば更に良かった。

 

zilch / 3・2・1

3・2・1

3・2・1

 

 X JAPANのギタリスト hideを筆頭としたプロジェクトバンドの1stアルバム。

 

 The Professionalsの元ギタリスト Ray McVeigh、Killing JokeやProngの元ベーシスト Paul Ravenを加えた3名を中心とし、楽曲ごとに元Sex PistolsのSteve Jones、元Nine Inch NailsのChris Vrennaなど幅広い一流ゲストを迎える体制。hideの「海外進出」「純粋にやりたい音楽の制作」等の実現を主な目的にしていたとのこと(※本作はhideの没後に発売)。それだけに音の方は世界基準というか、それこそ海外のトップバンドにも比肩する程にヘヴィでグルーヴ感に溢れ、かつ身軽で遊び心にも満ちたもの。メタルやパンクやインダストリアルだけでなく、ヒップホップやサーフロックなど多方面からのミクスチャー感覚を元に見事なまでに一本化。また、イヤホン等で隅々まで聴くと色々な仕掛けにも凝られているのが分かるし、それが過剰にも冗長にもなっていない絶妙さにも舌を巻くばかり。攻撃的な側面と聴く者を楽しませるユーモアの両立ぶりや、それをポップに響かせる優れた手腕は、まさにhideの唯一無二のセンスそのもの。また、ソロで発表済みの「DOUBT」「POSE」、X JAPAN「DRAIN」のhide版とも言える「WHAT'S UP MR. JONES?」等は本作向けの苛烈で理想的なセルフカバーとなっているし、本作の「INSIDE PERVERT MOUND」を「LEATHER FACE」としてソロでカバーした点からも、彼の創作に対する境界線のない姿勢や、本作が一種の集大成的な作品であることが伺えます。"大人の事情"で発売が1年延びなければもっと違った評価を得ていたと唱える声もあるし、個人的にもこんなに魅力的なロックアルバムにはそうそう出会えないと今でも強く思います。

 

KOTOKO / ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

ヒラく宇宙ポケット

 

 I've出身ボーカリスト/シンガーソングライターの5thアルバム。

 

 メジャーデビュー5周年を機に打ち出した「今後は(小文字の)kotoko名義でI've外の活動も行う」という計画も結局のところそれほど遂行されず、その約2年後にはI'veからの独立を発表した彼女。事務所/レコード会社の移籍第一弾となった本作は、これまで通り自身の曲・I'veの提供曲に加え、全く外部の作家(主にボーカロイド界隈で活躍した同人系クリエイターを含む)による作編曲も多数収録。さぞバラエティに富んだアルバムになりそうなものだけど、実際のところは散漫さが先行しあまり魅力を感じないという。同人系は管理人は1ミリも知らない世界なので、期待も不安も持たずフラットに聴いたのだけど、取り立てて良くも悪くもなく。KOTOKOを活かすための曲というよりは、それぞれの手グセに収まっている感じで、従来のリスナーを惹き込むほどの化学反応は無いかな。kotoko名義の曲の方がよほど格好いい。かと言ってI'veの曲も、まさか外部の作家に遠慮した訳でもないだろうけど、大半が地味。何よりも、各曲がバラバラの方向を向いていて、1つの作品としてのまとまりに欠けるのがイマイチに聴こえる原因か。印象に残ったのは、ストリングスと並走する爽快な王道のポップ/ロック「開け! ソラノオト」くらい。実は本作は初の全編セルフプロデュース作でもあるのだけど、彼女はボーカリストとしては確かな実力を有していても、プロデュース能力は発展途上というか、新しい環境の中、まだフルアルバムをまとめきる段階にはなかったということなのかも。

 


Laibach / Jesus Christ Superstars

Jesus Christ Superstars by Laibach (1996-05-03)

Jesus Christ Superstars by Laibach (1996-05-03)

 

 スロベニア出身の前衛音楽/インダストリアルバンドの5thアルバム。

 

 様々なモチーフを取り入れる彼らの中でも、「Kingdom Of God」やら「Cross」といった曲タイトル、そしてアルバムタイトルからも想像できる通り、宗教をモチーフにした作品とのこと。テーマに沿った複数のカバー曲とオリジナル曲から構成されています。例によって詳しいことは知らないけど、サウンドの面でハッキリと分かるのは、彼らの中でも異例の手法とも言えるメタルギターを大々的に取り入れ、全面的にインダストリアルメタル化していること。それも、オペラコーラス、パイプオルガン、ストリングスを重ねた荘厳さや、軍隊の行進のようなどっしりと力強いリズムトラックと一体となったゴシック方面へのアプローチが強力で、重厚なコーラスに負けないMiran Frasの威厳ある低音ボーカルも含め、彼ららしい風格のある仕上がり。その変化というか落差には驚かされるけど、決して手軽に流行を取り入れたような安易さはなく、実験的な手法の多いであろう活動の一端として(でも)、どんな音楽性も手練手管で呑み込んでしまう強靭(狂人)さを感じます。彼らに影響を受けたRammsteinをむしろ想起させる音像だし、全体がコンパクトなのもあって、聴きやすさも抜群。インダストリアルメタルが好きならば聴かない手はない逸品。余談ですが、初っ端から凄まじい迫力の1曲目「God Is God」は、日本の超有名な某テレビ番組のコーナーBGMとして使用されていることで一部で有名だったり。

  

acid android / remix

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 L'Arc~en~Cielのドラマー yukihiroによるソロプロジェクトの5枚組ボックスセット「alcove / #1」(2011年)に収録されたリミックスアルバム。

 

 期間限定の公式モバイルサイトで13カ月に渡って順次配信されたリミックス音源をまとめてCD化したもので、参加したアーティストが個人的にとても興味を惹かれる豪華な面々(iLL、TK(凛として時雨)、101A藤田勇(MO'SOME TONEBENDER)、朝本浩文藤井麻輝(睡蓮)、ミヤ(MUCC)、O.N.OTHA BLUE HERB)ら)でそれとなく注目していました。そのうち聴きたいな~と思いつつ、いつかボックスセットからバラ売りされるかも…と淡い期待を寄せていたけど 何年待っても結局出なかったので 諦めました。acid androidの音楽と言うと、作品毎に多少移り変わりはあるものの、一枚を通してだと割と良くも悪くもワンパターンが貫かれている印象は否めなかったのだけど、「remix」では数々のアーティストが楽曲を思うまま料理し、ダウナーなエレクトロ、EBM風、インダストリアル/シューゲイズ、テクノ、EDM、ドラムンなど、親和性が高くも幅広いジャンルと少しずつ融合。多くは大胆な変革と言えるけどそれ程原曲の世界とかけ離れてもおらず、核となる部分を損なうことのない新たな解釈といった感じで、1曲ごとの格好良さやインパクトは勿論、全体を通した聴き応えも(当然ながら)抜群。彼の曲は素材としてかなり優れた可能性を秘めてますね(褒めてるのか?)。なんとも贅沢かつ興味深い一枚だけど、それだけに「alcove / #1」以外で聴く手段がないのは勿体ない気もします。