harshrealm / [asile/litanie]

[asile/litanie]

[asile/litanie]

 

 2人組エレクトロニック/インダストリアルロックバンドのミニアルバム。

 

 当時、既にタイトルも明かされ制作中だった2ndフルアルバムへの先行EPという形で発表された作品。EPと言っても全7曲のうち2曲はインタールード、うち2曲は海外のミュージシャンによるボーナスリミックスで、実質的な新曲は3曲。だけどその3曲ともが素晴らしい。表立った主張的なシンセとダイナミックなギターリフ、小さなギミックも駆使したメリハリと細工の効いた音使いで、よりインパクトのあるエレクトロニックロックを展開する「eNvy」「LiE」(名曲!)、どこかPIGの「Cry Baby」を思い出す、日本語詞も飛び出すバラード「litanie」。陰鬱なムードを強調することで求心力を高めていた1stに比べると、新たなアプローチがそのまま作品に流れる新鮮な空気に繋がっているし、それまでの彼らの音楽が好きな人の期待にもしっかり応える内容かと。結局、後に2ndアルバムの制作が白紙になり、結果として単発のEPになってしまったんだけど、練られた構成も手伝い、フルサイズのアルバムをそのままミニサイズにしたような感触もあり、一つのパッケージとして十分に魅力的な作品になっていると思います。

Skold / Anomie

Anomie

Anomie

 

 スウェーデン出身のマルチミュージシャン/プロデューサーTim Sköldによるソロプロジェクトの2ndアルバム。

 

 1stアルバム以降、KMFDMやMarilyn Manson(以下:マンソン)などで活躍していたものの、ソロとしては何と約15年ぶりとなったアルバム。その間、次回作について何度か話が出ては立ち消えたり延期したりしていたらしいので、待ち望んでいた人にとっては、嬉しさよりも本当に出たのか!という驚きが勝ったことでしょう。ソロ2作目と言っても、インダストリアルロック界でトップクラスのバンドの中心を担い続けていたため、放たれるサウンドは熟練そのものと言ってもいい仕事ぶり。全体的には、彼のマンソンでの最後のプロデュース作品「Eat Me, Drink Me」を彷彿とさせる、どこかブルージーでアンニュイなギターアンサンブルがまず印象的。そこにマンソンのお株を奪うようなシャッフル、ハーシュEBM、攻撃的なギターリフとブラストビートの直球インダストリアルメタル、2009年発表の「Skold Vs. KMFDM」をフォローアップさせたようなエレクトロダンス…といったフックの強い楽曲が混在。そしてどの曲にも共通するのは、トーンを落とした陰鬱なメロディの妙と、そこに同調する完成度の高いインダストリアルロック。スローな曲が多いけど、全14曲を飽きさせずに聴かせてくれます。積年のキャリアとアイデンティティが炸裂した、Skoldの新たな名刺代わりに相応しい傑作。

 

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詩月カオリ / SPYGLASS

SPYGLASS <初回限定盤>

SPYGLASS <初回限定盤>

 

 I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターのミニアルバム。

 

 メジャーデビュー後初となるアルバム。シンガーソングライターと言っても、本作では一部の作詞のみにとどまり、基本的にはプロデュースを担当したI'veの作家陣が主導で制作。内容は軽くデジタルアレンジされた正調ガールポップという感じで、タイアップ曲はどストレートな甘さに胸焼けするけど、書き下ろし曲はバラードソングとして普通に良質。何と言っても本作から感じられるのは、例えばKOTOKO川田まみのような「アニソンで天下取ったる」的な野心ではなく「ソロデビューの話が来たから歌ってみました」的な(実際はそんなことないと思うけど、あくまで例えで)プライベートな感触で、作為的なギミックの少ない曲や歌唱で彼女の素朴さやオトナの可愛さを上手く表現しており、結果他のI've歌手とは異なる魅力を獲得。新規のリスナーの耳を引くような派手さには欠けるけど、しっかり地に足の着いた佳作です。「Lemonade」は2003年にI'veで発表した「レモネード」のリテイク。アイドル少女のような歌い方だった原曲から、6年の歳月を経て立派な大人の女性への成長が感じられる仕上がり。また、彼女にはゴスペルの素養があり、その種明かしが隠しトラックで少しだけ披露されています。

 

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I've / The Front Line Covers

The Front Line Covers

The Front Line Covers

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによる企画盤。

 

 コミックマーケット75と通販にて販売され、後に一般販売もされた作品。KOTOKOを始めとしたI've黄金期を象徴する5名の専属歌手による、I've最初期(GIRLS COMPILATIONシリーズ1st~3rd)の楽曲のセルフカバー集。I've10周年記念作品でもあります。最初期の頃はゲストボーカルや短期で引退した歌手の割合が多かったので、全盛期のI'veの魅力を改めて発信するにあたり、とても意義のある企画だったと思います。選曲は割合的に過去当時「どさんこポップ」と銘打たれた爽快なシンセポップが主(ちなみに有名な「Kanon」「AIR」のテーマ曲は、後に設立されたKey Sound Labelに管轄が移ったためか未選出)。リアレンジは割と原曲に忠実で、溌剌としたメロディや曲調はそれだけで90年代的な青臭さがあるけど(それがいいんだけど)、新たに追加されたフレーズや時代の進化を感じさせる音色・音圧でしっかり「今の音」として蘇っています。I've最高峰の名曲トランス「Disintegration」がIDM風アレンジで生まれ変わったのは本作最大の聴きどころ(歌い手もLiaMELLと実力派同士!)。新規のリスナーはもちろん、年季の入ったファンも時代を繋ぐカバーとして楽しめる好盤。それにしても「LOW TRANCE ASSEMBLY」を標榜するI'veの「The Front Line Covers」…"アレ"を連想せずにはいられません(笑)。高瀬一矢も「会心のタイトルをつけたぞ!」とほくそ笑んでいたりして。

 

Powerman 5000 / Tonight The Stars Revolt!

Tonight the Stars Revolt

Tonight the Stars Revolt

 

 US出身のニューメタル/インダストリアルメタルバンドの2ndアルバム。 

 

 3曲目「When Worlds Collide」がPIERROTの楽曲「パラノイア」(2004年)と完全に一致!特徴的なキメのリフ、そことユニゾンするメロディも瓜二つです。最初に知ったときは思わず爆笑しました。日本のヴィジュアル系バンドに明るい人で、この曲を知らない人は是非とも聴き比べてみてください。以上。…とそれだけ書きたかったんですが、一応内容の方にも軽く言及しておきます。えーと、彼らは音楽活動や映画監督など多方面で活躍するRob Zombieの実弟Spider Oneを中心としたロックバンド。1stはレゲエ/ファンクとラップを掛け合わせたようなニューメタルだったそうで(未聴)、この2ndアルバムからインダストリアル要素を取り入れたとか。ざっと聴いた感じだと、アッパーな曲もねっとりと聴かせる曲にも共通するノリの良さ、テンションの落差を程よく利用した勢いの演出、全体を牽引するボーカルのパワー。Rob Zombieやその前身のWhite Zombieよりは、初期のMarilyn MansonやDopeに近い。適度なサンプリング込みで変にまとまりも良くて、いかにも当時の流行という感想がまず出てきます。惜しいのは、もう少し良い音で録られていたらなぁと。 あとジャケットもちょっと。

 

石川忠 / DUCTILE

DUCTILE サウンドトラック SHINYATSUKAMOTO?S FILM/MUSIC BY CHU ISHIKAWA

DUCTILE サウンドトラック SHINYATSUKAMOTO?S FILM/MUSIC BY CHU ISHIKAWA

  • アーティスト: 映画主題歌,サントラ,石川忠
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 2000/01/26
  • メディア: CD
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  ZEITLICH VERGELTERやDer Eisenrostでも活躍した映画音楽家/メタルパーカッショニスト石川忠による編集盤。

 

 映画監督・塚本晋也の映画作品にそれまで提供してきた数々の映画音楽からセレクトされたベスト盤。サントラ盤の「鉄男 (TETSUO)」を始め「双生児 (GEMINI)」「BULLET BALLET」「A SNAKE OF JUNE」やDer Eisenrostと共同名義の「TOKYO FIST」からも選出されており、ここまでの彼の映画音楽家としての創作を統括するような内容。例によって映画は一切観たことはないですが、作品に通底するという鉄・暴力・血・肉体・エロスといったテーマを具現化させるかのようなサウンドが本作には満載。木目細かく多重に鳴らされるメタルパーカッションの金属音は単純に迫力があるし、肉体的/直感的なビートがとても心地よい。そこにオーケストレーションや民族楽器などを融合させ、情景を描写しながら精神を煽り立てるような演出をもって迫ってくる楽曲は、変にマニアックに陥ることなく、聴き手の正面から届けようとする潔さを感じます。選出元によって雰囲気に大きな差はないけど、「TOKYO FIST」からの楽曲はギターをガッツリ導入した超速インダストリアルメタルがとてもカッコいい。またラスト3曲はボーナス(レア)トラックとの位置づけで、ここだけ明らかに他の曲よりも完成度が高い。奥行きを感じさせるミキシングで荒廃的な空気感が素晴らしい。思うさま鉄筋インダストリアルに浸っちゃいましょう。

 

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I've / master groove circle

master groove circle 【初回限定盤】

master groove circle 【初回限定盤】

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームのリミックスアルバム。

 

 I've名義では珍しい(初?)メジャー流通盤。なぜか特殊缶ケース。外部アレンジャーを招へいして制作され、G・M・S、Eat Static、SINE6、Juno Reactor、Eric Mouquet(Deep Forest)など国内外の著名エレクトロ/トランス系アーティストとコラボレーション。かなり本格的なトランスリミックス集となっています。なんせCDを再生して3分近く経過しないとボーカルが聴こえてこない。CD2枚組なのは曲数の多さというより1曲が長くて入りきらないから。トランスとはそういうものだと言われたらそうなんだけど、原曲の別の良さを引き出すみたいなことではなく、まずトランスという手法ありきで、素材にI'veの曲を使ったという感じ。歌詞カードが無いのも「音だけ聴け!」というメッセージを感じます。もともとI'veのバックボーンの柱にはトランスがあるから相性も良いだろうけど、どっちかというと本格派のトランスリスナーやクラブ/DJ文化に理解のある人向けかなとも思うし、そもそもがファン云々以前にI'veとして「一度作っておきたかった作品」なのかも。個人的には一本槍にトランスが並ぶ中だと、ダークな原曲をダークエレクトロでより悪辣にした「UZU-MAKI [EAT STATIC Re-mix]」、またそれとは逆に、詩月カオリの持つ純朴さを可愛らしいテクノポップに昇華した「Change of heart [soyuz project remix]」が印象に残りました。というか後者めっちゃ好み。