BUCK-TICK / 天使のリボルバー

天使のリボルバー(初回生産限定盤)(DVD付)

天使のリボルバー(初回生産限定盤)(DVD付)

 

  5人組ロックバンドの15thアルバム。

 

 メジャーデビュー20周年の節目に制作された記念すべきアルバム。前作にあたる「十三階は月光」の大仰なゴシックの世界から一転、かなりシンプルかつストレートなロックンロールにシフトチェンジ。元々アルバムごとに作風を大きく変えるバンドでもあるし、一つの方向性で濃い作品を作ると、その反動を次回作で形にすることもあったけど、この変化(回帰?)もまた驚かされるものがありました。デジタル/エレクトロニックな要素をオミットしたバンドサウンドという構造だけは共通ではあるけど、閉じた世界観でディープに作り込まれた前作と比較すると、驚くほど開かれたムードで耳馴染みが良く、聴く人を選ばない一枚とも言えそう。コアなファンにとってはそこがちょっと薄味で物足りないと映る向きもあるかも知れないけど、これだけ年輪を重ねてきたバンドが、ここに来てまだこれほどに瑞々しく、同時に安定感と説得力もあるグルーヴを聴かせてくれるというだけでも嬉しくなります。新しい王道を感じさせる「RANDEZVOUS ~ランデブー~」は名曲だし、個人的には星野英彦作曲「Snow White」も大好き。ホワイトアウトを連想させる緊張感のあるサウンドに「真白な世界/眠れる君の夢か 幻/たった一筋/モノクロームの頬に紅差す」と強烈に情景を喚起させる詞がマッチした渾身のバラード。

 


[480p] BUCK-TICK - RENDEZVOUS ~ランデヴー~ PV

Ice / Bad Blood

Bad Blood

Bad Blood

 

 UK出身、Godflesh/Jesuで活躍するJustin K. Broadrickの関連グループであるインダストリアルヒップホップバンドの2ndアルバム。 

 

 詳しくは知らないけど、Justin K. Broadrickが90年代にKevin Martinとタッグを組んで展開したサイドプロジェクトの1つかと思います(他にはGodやTechno Animalなど)。流動的なバンド編成、特に多くのゲストボーカル(Einstürzende NeubautenのBlixa Bargeldも全面的に参加)を擁した本作は、ダブやヒップホップをベースにした沈鬱かつ重圧的なトラックと、生気の無いボーカル、ごくごく少量のシンセノイズ的なエフェクト/残響がごちゃっとラフに一体化したエクスペリメンタル/インダストリアル。例えばJustin K. Broadrick自身のGodfleshや、彼にゆかりのあるScornに似てなくもないけど、それほどキッチリした型は定まっておらず、恐らくはラップミュージックとしての手法諸々も実験性の一つとして用い、その上でノイズ/インダストリアルのコアな部分と結びつけられており、当然キャッチーさは微塵もなく、それどころか相当にマニアック。だけど恐らくはこのときの成果が後の彼の活動(特にThe Blood Of Heroes)にも繋がっていったのだと思います。本作より更に入手困難な1stも聴いてみたい…

 

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harshrealm / [arrhythmia/blood of another]

[arrhythmia/blood of another]

[arrhythmia/blood of another]

 

 福岡を拠点に活動する2人組エレクトロニック/インダストリアルロックバンドのリミックスアルバム。

 

 1stアルバム「[she/underwater]」からの2作目となるリミックス集で、本作もUK、US、イスラエル、フランス、ブラジルなど世界各国のリミキサー/クリエイターが参加。全体的にトランス/テクノ、フューチャーポップ、アンビエントダブステップなどのクラブ系リミックスが多い印象があり、原曲の断片を元に別物のダンスミュージックとして再構築しているような聴き心地。狙いがあったかは分からないけど、1作目と比べたらかなり大胆に原曲のイメージとかけ離れたアレンジが多く、リミックスアルバムかくあるべしといった感じ。意欲的な楽曲もあるけど、一本調子な楽曲も多く、やはりここまで無菌状態で小奇麗にまとめられると、彼らが本来持つ色気みたいなものが漂白されてしまい、どうにも退屈。実際、良いなと思う曲は何かしらの特徴や分かりやすいポイントがあったりするし(ラウンジミックスやセルフリミックス等)。収録曲の多さもそこに拍車をかける形になっているかな。ラストに収められたRazed In Blackのリミックスもやけに地味。1作目くらいのバランスでまとめて欲しかったかも。

D'espairsRay / Coll:Set

Coll:set

Coll:set

 

 4人組ヴィジュアル系ロックバンドの1stアルバム。

 

 初のフルアルバムにして、ここまでの決定版。ヘヴィで爆発力のあるサウンドや野性味溢れる荒々しいボーカル/シャウトは順当に凄みを増し、要所でシンセやSEを効果的に融合させて作り上げる音世界は重厚で奥行きがあり、ひたすらにどす黒く禍々しい。過去作の中途半端さや試行錯誤感は綺麗さっぱりなくなったし、曲によってはゴシックでハードなインダストリアルメタルとしても説得力十分。これに関しては彼らの素養というよりはマニピュレーターやプロデューサーの手腕かも知れないけど、他のこの界隈のバンドにはありそうで無い魅力。暴れる曲から聴かせる曲まで、どの曲も雰囲気は似通っているために同じような景色が広がるけど、そうした分が聴き手をグイグイと引っ張るカタルシスにも繋がっているし、自分たちの信じた道を突き詰めたかのような自信に溢れ、実に頼もしい。そして個人的には、変わり種も増えていた当時のヴィジュアル系(以下「V系」)シーンにおいて、これだけの剛速球で勝負できた新鋭のバンドというのも稀有で嬉しいところだったり。V系ファンだけでなく、地下ゴス/インダストリアルシーンを支持する層や、邦楽/V系も許容範囲の洋楽リスナーなどにもお勧めできそうな作品。

 

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川田まみ / SAVIA

SAVIA (初回限定盤)【DVD付】

SAVIA (初回限定盤)【DVD付】

 

  I've専属ボーカリストの2ndアルバム。

 

 前作より2年振りで、その間の彼女の成長が刻み込まれた作品。楽曲に関しても、ギターをより前面に押し出した曲や、流麗かつ重厚なトランス風の曲、時に勢いのあるパンキッシュな曲と幅が広がり、染み入るようなバラードもその分顕在化。そんな楽曲群を、彼女自身も「まみぶらーと」と呼ばれる独特のビブラートや、ウィスパー気味な歌い方、羽目を外したかのような歌声と、溌剌とした歌唱で堂々と乗りこなす。その相性の良さや飛躍っぷりは見事という他なく、その道のりやそこに裏づけられた自信はアルバムタイトルにも確信的に表れています(前作「SEED(種)」に対し今作が「SAVIA(葉脈)」で、発芽/成長の意味を込めたとか)。全体的にインダストリアルロックのエッジな部分が上手くアニソン/ポップスに落とし込まれ、聴く人が聴けば諸手を挙げてガッツポーズしそうなトラックの作り込みがとても良いです。収録曲の大半がタイアップ曲であり(しかも殆どは同一シリーズ)、派手な耳当たりの曲が続くことがちょっと大味に感じる面も無くはないけど、I've愛好家以外にも広くアピールできそうな良作だと思います。個人的には「翡翠 -HISUI-」が大好きで…あの字余り気味なメロディとストリングスで切迫感いっぱいに展開していく流れでご飯3杯いけます。これぞC.G mixマジック。

 

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ギルガメッシュ / MUSIC

MUSIC

MUSIC

 

  4人組ロックバンドの3rdアルバム。

 

 初のヨーロッパツアーを通過した収穫か、ここで音楽性が大きく変化。シーケンシャルなビートに乗っかった従来型のラウドなサウンドが、シンセやサンプリングを山盛り取り込んでパンキッシュかつスピーディに駆け抜けていく。その突き抜け方や開き直り方は爽快ですらあり、Tシャツ革パンでモッシュにダイブといった新しいライブの図も浮かぶよう。しかし迷走したバンドにありがちな安直な脱ヴィジュアル系や路線変更では決してなく、彼らがそれこそ初期から少しずつ推し進めていたミクスチャースタイルの進化形であり、デジタル/ラウド/ダンサブルのバランスや構築、直接的な日本語詞を用いたダサカッコ良さを伴うシャウト/ラップを自在に操るボーカルも合わせて、とても頼もしい完成度。曲によってはLinkin Park、Static-X、THE MAD CAPSULE MARAKETSなどを思い起こさせるし(彼らもそういった影響を公言している)、一部にはインダストリアルメタルとして聴ける/カテゴライズできる要素も含んでいると(個人的に)思います。彼らの音楽性の激しい移り変わりの中で、後にも先にもここが最もニュートラルだと思うし、カッコ良さと聴きやすさを兼ね備えているんじゃないでしょうか。

 

Halo In Reverse / Halo In Reverse

Halo in Reverse

Halo in Reverse

 

 US出身のJoshua Steffunによるインダストリアルロックプロジェクトの1stアルバム。

 

 どう聴いてもNine Inch Nails(以下「NIN」)です。本当にありがとうございました。…で終わってもいいくらいにNINに似ています。ピアノの音色を際立たせ、一音一音が重く響き渡る暗黒世界に、突如感情が高ぶったかの如くノイジーなギターが炸裂する様だったり、場面に応じてテンションを自在に変化させる歌い方だったり。強いて言うなら「The Downward Spiral」「The Fragile」あたりを彷彿とさせるものがあり、分かりやすくあの曲のオマージュだろうなという曲もチラホラ。かつて山ほどいたNINフォロワーバンドと違い「影響」ではなく「再現」レベルだし、フラットに聴いても唸るほどの完成度。これには脱帽。そもそも、NINはオフィシャル作品に独自に「Halo」のシリアルナンバーをつけていて(現在はHalo 30まである模様)、彼のプロジェクト名はそこからつけられているであろうだけに、確信犯的な意志があったのだろうと思います。2ndアルバムは出ていないようだけど、一発ネタで終わらせるのは惜しい。Skinny Puppyのハイレベルな再現で度肝を抜いたNecro Facilityと合わせて、感心しながら聴きたいリバイバル・インダストリアル。