MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Delerium 『Chimera』

Chimera

Chimera

  • アーティスト:Delerium
  • Nettwerk Mod
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 カナダ出身、Front Line Assemblyのメンバーによるエレクトロニカ/アンビエントプロジェクトの11thアルバム(2003年)。

 

 90年代の終わりに本プロジェクトを離れ、似たようなConjure Oneを立ち上げたRhys Fulberが復帰し、元鞘の体制で制作された作品。前作にて気を配っていた親しみやすさ/聴きやすさを更に追求、本作に至ってはついになりふり構わずまさに全振り。思えば音楽性の転換点となった8thアルバムとはインスト曲/ボーカル曲の比率も完全に逆転し、2曲のインストを携え、残りは女性ボーカル曲。それもその殆どは、前作にて要所を彩った歌メロ曲が霞むほどにポップ化。前作までのDeleriumらしさ、つまり民族音楽や宗教音楽の要素が高水準で融合したエレクトロニック/ダンスという体裁は端々にギリギリ留まるのみで(というか曲によってはほぼ捨て)、アコースティック楽器や聖歌コーラスを用いたエレクトロニックな歌モノ~ダンスポップ/トリップホップにほぼ統一されています。万人受け、というか売れ線への歩み寄り方が一気に進んだ分、従来のファンには賛否を呼んだかも知れないけど、とは言えやっぱり最終的に物をいうのは楽曲だと思うし、そこについてはこれがもう文句なし。とにかく美麗メロディの応酬に次ぐ応酬、特に前半はどの曲もリード曲を張れるレベルで、幼い少女のような歌声の歌手も女神のような神秘的な歌声の歌手もアルバムの主役の奪い合いを演じ、哀愁/異国感/壮大さといった曲ごとの色を描きながら、総体としての説得力を確かなものにしています。聴いているとインダストリアルやメタルばっかり聴いた耳と脳が癒されていくのを実感できますよ(謎)。広くお勧めできる名盤だと思うし、個人的にもめちゃくちゃハマった思い出の一枚です。

 

 

 このアルバムを知ったのは当然のようにFront Line Assemblyからの流れだし、もちろん昔参考にさせてもらっていたサイトさんの受け売りでもあるんですが、本当に心を掴まれました。2曲目「After All」を聴くと、それを初めて聴いたときの衝撃──目を丸くしてスピーカーを凝視した思い出が蘇ります(笑)。発売したばかりのiPod nanoにこのアルバムとSkinny Puppyの「The Process」とかを入れてひたすらリピートして、当時公私ともに色々あった中での心の支えにしていたっけな…(遠い目)。好きな気持ちは今も全然変わっていないというか、絵に描いたような癒しを欲したときなんかはたまに引っ張り出してお世話になっています。そんなDeleriumも、もうすぐ約7年ぶりの新譜をリリース予定。チェックしてみようと思います。

 今回の記事に合わせ、過去に書いたDeleriumのアルバム4作品の紹介記事の文章を少し見直しているので、よろしければ合わせてご覧下さい。