MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Conjure One / Extraordinary Ways

Extraordinary Ways

Extraordinary Ways

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 Front Line Assemblyなどで活躍するプロデューサー・Rhys Fulberによるエレクトロニカ/アンビエントプロジェクトの2ndアルバム(2005年)。

 

 元々は彼がソロになり "一人Delerium" 的に始めたプロジェクトながら、2作目の本作にして早くもユニット復帰後の制作。しかしそういった経緯や環境の違いは影響として特に見受けられないほどに前作を踏襲した内容。Deleriumでいう「Karma」ほどに高貴というほどでもなく、かと言って「Chimera」ほどポップにも寄っていないバランスで、楽器やコーラスや打ち込みを丁寧に折り重ね紡いでいくトリップホップ/エレクトロニカが健在。強いていうなら本作では中東あたりの民族弦楽器と思しき音色がリードする曲、無機質なリズムトラックの上にシリアスな展開美が乗る半インスト曲、ダブの要素を取り入れた曲、更にはRhys Fulber自身がボーカルを執るBuzzcocksI Believe」のレゲエ風カバーといった具合に、Deleriumよりもエスニックな色合いが強いという本プロジェクトの特長を、前作とはまた少し違う角度で強調/強化することにより、より独自性や方向性が浮き出る結果になったかと。そもそもが実際に地中海を旅した経験などが本プロジェクトの着想元となったらしく、それだけにこのブレのなさも頷けるし、完成度の高さも流石といったところ。前作収録の一から十まで完璧な大名曲「Manic Star」ほどのキラー曲がないところがやや残念とはいえ(贅沢)、本作タイトル曲などは十分に匹敵する佳曲だし、本作そのものも前作やDeleriumの良作群にもひけをとらない好盤だと言えると思います。

 

 

 前作の紹介記事はこちら。よろしければ合わせてご覧下さい。