MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Front Line Assembly / Implode

Implode

Implode

 

 カナダ出身のインダストリアル/EBMユニットの10thアルバム。

 

 「このジャケットに描かれている人間がそれまでのFront Line Assemblyを、抱えている奇妙な生物が前作の新路線を表していて、その2つが融合している異様な光景が、まさにこのアルバムの音楽性を示しているんだよ!」 Ω ΩΩ< な、なんだってー!!……と言ったのは誰だったか(たぶんジャイ宣(以下略)TCRさん)。ああ、じゃあ前作のキモイ微生物みたいなジャケも伏線だったのか…と、茶番はこれくらいにして(今の若い人には通じなさそうなMMRネタ)。本作は主要メンバーのRhys Fulberが抜け、元サポートのChris Petersonが加入した新体制(当時)での2作目。上述した通り、前作のサンプリングを駆使したテクノ路線を下地に、大部分でストリングスをフィーチャーしたりギターをアクセントに使用したりと、過去の手法も取り入れながら発展を目指したような形。実際、彼ららしいテクノロジカルかつ立体的なアレンジが目立つ最初の数曲は、傑作の8th「Hard Wired」をどこか彷彿とさせとても良かった。しかし4曲目の長大曲「Synthetic Forms」を境に徐々に不穏かつ大仰になり、以降はシンフォニック/エレクトロインダストリアル風のやや不気味な音像に集約。オペラコーラスを流したり繊細なブレイクビーツを部分的に走らせたりと技巧には凝りまくっているけど、基本的にはスローテンポだしボーカルも存在抑えめだしで、常に弱火をかけているような盛り上がりの無さがどうしても地味に感じてしまう。個人的には良くも悪くもBGM感覚で流すのが丁度いいです。