カナダ出身のポップロック/インダストリアルロックプロジェクトの3rdアルバム(2010年)。
Skinny PuppyやMarilyn Mansonなどのスタジオワークで名を馳せる、この手のジャンルの著名プロデューサー・Dave Ogilvieによって結成されたプロジェクトバンドで、1~2作目にはNine Inch NailsのTrent Reznorもプロデューサーとして(特に1作目は作曲や演奏という形でも)関わっていたことで知られています。
本作は約4年ぶりとなった3作目。2007年にボーカリスト・Katie Bがソロ活動に専念するために脱退し、新ボーカリストとして元The Perfect StrangersのChrystal Leighが加入。そして新しいレーベルを探しながら単発のライブやWeb上で新曲を発表するなどの活動を経て、2010年に新レーベルと契約。そういった経緯があったために少し間が空いたのだと思われます。Chrystal Leighの歌声は、やや舌足らずで少し幼さを想起させる歌声で、それがこのプロジェクトや作品の持つ雰囲気──どこか不思議の国のアリス的な寓話性に貢献。Katie Bにも劣らない魅力が感じられます。しかしサウンドの方は、シンセやオルガンを多用したエレクトロなポップス/ニューウェイブが主軸で、ロック要素のある楽曲が少なめ。逆に際立つとも言えるけど、インダストリアル色も薄く、代わりにこれといった目を見張るアレンジでもない。本作でも多数のゲストミュージシャンが参加しているようだけど、Trent Reznorの不在の影響か、あるいは意図的なものか、もともとのファンベースであるインダストリアルリスナーの耳を引くような、それこそ1作目のような絶妙なバランスがあるとは言い難い。ロックバンド感やアコースティックサウンドに大きく注力した前作からは軌道修正したかのように見えなくもないけど、1作目に重点を置くリスナーであれば賛否が分かれそうな作品というのは変わらないかな。しかも本作、ほんの数曲だけど男性ボーカルとのデュエットやゴスペルに接近した楽曲もあったりして何だか蛇足に感じるし、中でも「Magnolia」の多幸感溢れるコーラスワークには異ジャンルすぎてひっくり返りそうになった。ただ、本作をもってJakalopeは活動を停止したようだけど、それはそれで残念というか、この先を見てみたかったというのはあります。
今回の記事に合わせ、彼らの1~2作目の紹介記事の文章を少々見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。
