Front 242のボーカリスト・Jean-Luc De Meyerらによるエレクトロニック/EBMユニットの1stアルバム(1997年)。
Front 242の活動休止中にJean-Luc De Meyerら3名で結成されたユニットで、他のメンバーも近しいジャンルにて多方面で活動する人物が名を連ねるため、しばしばEBM界のスーパープロジェクトとも扱われたりしているようです。もともとは、デビューEPをリリースしたレーベル名をそのまんま拝借したThe Cyber-Tec Projectというユニット名だったけど、それを縮めてC-Tecとなり、この1作目がリリース。EPのときとはメンバーが入れ代わり、当時Cubanateで活動中だったMarc Healが加入しています。
内容としては、Front 242由来のEBM的なアプローチは残しつつも、構造的には結構違っていて、テクノやドラムンベース主体のビートを意欲的に取り入れつつ、時にはそれらが混合したIDMっぽい複雑な一面も見せるなど結構マニアック。またそれだけでなく、実験性が先行するアンビエントな楽曲の存在が本作の流れに緩急を与え、同時に音響的な妙味も生み出す。一部の楽曲は、鮮やかなシンセアルペジオと明快な歌の対比が今聴くとフューチャーポップの雛型のようにも思えて興味深い。特に最終曲は、それまでと異なり肉体ではなく感情に訴えかけるような異色の展開が素晴らしい一曲。それでいて全体的にはインダストリアルを通過したノイジーな加工や硬い音のアクセントも豊富で、一定のダークさ/クールさにも包まれており、まさにタイトル通りだし、その辺りのバランスの見事さには、歴戦のメンバーが集った強みが現れていると思います。EBMを究めたFront 242と、テクノ/インダストリアルロックを融合させていたCubanateのそれぞれの延長線が交差し、同時代のクラブ/エレクトロミュージックのトレンドの変遷に目配せしながら、実験と模索の過程をそのまま形にしたような興味深い一枚。
彼らはもともとは本作をもって終了する予定だったけど、継続して活動をすることを選択。しかし2作目のリリース後に活動は止まってしまいました。残念。しかしそこから18年も経過した2018年に、1作目と2作目をセットにしたリマスター盤がリリースされ、その後にツアーを目的とした一時的な再結成もなされたようです。
今回の記事に合わせ、C-Tecの参加メンバー・Marc Healの本隊であるCubanateの3rdアルバムの紹介記事の文章を見直しているので、よろしければ合わせてご覧ください。
