Limp Bizkitのギタリスト・Wes Borlandを中心とするオルタナティブロック/インダストリアルロックバンドの1stアルバム(2007年)。
2001年にWes BorlandがLimp Bizkitを(一時)脱退した後に結成されたスーパーバンド・The Damning Wellがほとんど幻で終わり、そのメンバーからRichard Patrick (Filter)を除く2名━━Danny Lohner (Nine Inch Nails)、Josh Freese (A Perfect Circle)とともにソロアルバムに着手。そこにメンバーの意向やTrent Reznorのアドバイスが加わって予定よりもバンド色の濃いものになり、それがBlack Light Burnsという新バンドの結成(2005年)とデビュー作である本アルバムの完成に至ったという経緯があるようです。Limp Bizkit在籍中からよりパーソナルな表現の場を別プロジェクトに求め模索してきた中でこれが自身の今後のメインになるバンドだと断言したり、The Damning Wellに向けて作られていた曲のリメイクやLimp Bizkit用に作った没曲が収録されていたりすることからも、当時の彼にとってやりたかったことを可能な限り詰め込んだ本命の一作と言えるのかも。
さて、前置きが長くなったけどそんな本作。やっぱりゲスト含め関わっているメンバーが歴戦の猛者であり、長い時間をかけ作られただけにクオリティにはケチのつけようがなく、Wes Borlandの鮮やかなギターワークを中心にド安定のサウンド。ボーカリストがなかなか見つからなかったから自分で歌うことにした、という経緯の割には歌の方も上手いし声も男前!軸となるのはダークでメランコリーなオルタナティブロックで、時折内面の鬱屈を爆発させるようにギターを掻き毟るグランジっぽさがあったり、ポストパンクのようなドタバタした軽快な曲やファンク/ヒップホップのテイストを感じさせるノリの曲もあったりと自由度が高い。そこにメタルに寄りすぎない程度のヘヴィさを保ちながら、ディレイがかった玉虫色のフレーズやサイケなソロなども駆使し、Wes Borland自身が手がけるシンセやプログラミングなども取り入れ、表現すべきテーマを冷静かつ緻密に練り上げています。このバンドはインダストリアルロックにもカテゴライズされるし、実際にそういう質感を伴った曲も幾つかあるけど、それありきではなくあくまでも多彩な表現や実験の一環という感じだし、終盤のアトモスフェリックなスロウナンバーの連打~8分のインストで終わる構成から感じられる一種の芸術性がまた見事という他ないというか、良質なサントラを聴き終えたかのような読後感を味わえます。総じて、Wes Borlandの常軌を逸したセンスや才能が(サイドプロジェクトのBig Dumb Faceと違い)正攻法で封じ込められたと言える渾身の一枚。ここまで好き勝手言っといて何だけど、一定のジャンル感や先入観に捉われすぎずフラットに聴くのが正解かも。
今回の記事に合わせ、Black Light Burnsの前身になったバンド・The Damning Wellにてボーカリストを務めていたRichard Patrickによるインダストリアルロックバンド・Filterの5thアルバムの紹介記事の文章を少々見直しています。
ほぼ幻に終わったThe Damning Wellのアイデアは、Black Light Burnsの1stアルバムだけではなくFilterの4thアルバムにもいくらかは引き継がれたようなので、ある意味では枝分かれした“対になる”アルバムと言えるのかも。最近文章を書き直した記事のリンクを貼りつけておきますので、5thアルバムともどもよろしければ合わせてご覧ください。
「好きなゲーム音楽と遊んだゲームの思い出」こぼれ話①
さて。本記事のここまでの内容とは全く関係ないですが、今年の4月に書いた長編記事「好きなゲーム音楽と遊んだゲームの思い出」にて、書ききれなかったことや公開後に思い出したことなどをちょっとこの場で書き記しておこうかなと。
とりあえず、記事内で大きく取り上げなかったけど、特に好きだったり思い出に残っている音楽のゲームを思いついただけ。『バルーンファイト』『シティコネクション』『チャレンジャー』『光神話 パルテナの鏡』『忍者ハットリくん』『ドラえもん』『カトちゃんケンちゃん』『クインティ』『キャプテン翼II』『ナイトガンダム物語』『ロックマン3』『シムシティー』『スーパーマリオUSA』『ワイルドアームズ』『風のクロノア』『テイルズオブデスティニー』『ギルティギア』など。初めてサントラを購入したきっかけは『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』。あとは神曲だらけのタイトルの中でも『スーパーマリオカート』の「レインボーロード」、『FF5』の「決戦」、『FF6』の「仲間を求めて」、『クロノ・トリガー』の「シルバード」、『ロマサガ(全部)』の「バトル曲(全部)」(ズルいな)は、魂レベルで刻み込まれています。それとここ数年だと『UNDERTALE』の「MEGALOVANIA」は数年に1曲クラスの名曲だと感動しました。
コナミのゲームも『グラディウス』『悪魔城ドラキュラ』シリーズを始め音楽面の評価や人気は高いけど、リアルタイムだとそこまで遊び込めていないのであえて省いています。しかし不思議とどのソフトにも共通する独特の浮遊感や華やかさがあって、当時から耳に残っていたっけ。それから、レトロゲームとRPGが好きなのに古代祐三の名を挙げなかったことに勉強不足を指摘されるかもですが、こちらもリアルタイムで彼の関わったゲームに触れるきっかけがなかったからでして。『アクトレイザー』の名曲ぶりとその逸話、『イースI・II』の伝説的な評価が自然と目に入るようになった頃くらいから名前を知り興味を持ち、そこからは後追いで色々楽しんだり現在進行形で注目したりしています。
最近はこれらレトロゲームのプレイ動画をサントラ代わりに流すような時間が増えたので、お陰で普通に音楽を聴く時間が若干圧迫されているという…下手したら今年の音楽総再生回数にも影響しちゃうかも。まぁそれはそれでありのままの結果だし別にいいか。
というわけで、以上になります。お付き合いいただきありがとうございました。
